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7、たとい、臆せず攻めども勝ち取れず

「毎度毎度、うっとーしーことこの上ないのです。しかも、すこしづつとはいえ厄介さが増してきてるのです。」


 光の娘はぼやきながら空中に漂っている。


 これはチャンスなのではないだろうか。現状、この世界についてなにもわかっていないが、彼女ならば教えてくれるのではないだろうか。少なくとも私よりは詳しいはずだ。ここは第一村人ならぬ第一異世界人…いや、初めてはどちらかといえば穴の娘だし、そもそもあの輝く光の輪と羽をもった風貌で人と呼んでいいものなのかもあやしいが、ともかく意思の疎通は図れるんじゃないか。

 問題があるとすれば、知らない人に話しかけるのが苦手な私の性格。あと、彼女の性質。だってちょっぴり口が悪いし、レーザー撃つし。

 頑張れ、私。今こそ勇気を出して話しかけるのだ。


「あ、あの…、すみません。」


 自分の声を聞いて思い出す。そうだ、今の私は声はかわいく外見も美少女。臆することなどないのだ。


「では、帰投ー(きとー)。」


 私の努力はむなしく、娘はフラッシュとともに消えてしまった。

 かなしいなぁ。



 ひとりになり、冷静に考えればわかることだった。

 ハイスペックアイとハイスペックイヤーのおかげですぐ近くのように感じていたが、そもそも米粒くらいに見えるほど距離が離れているのだ。近くの人に話しかけるつもりで喋って聞こえるわけがない。それこそ向こうもハイスペックイヤーとかを持ってない限り。


「どうしよ、これから。」


 フラッシュとともに消えたので、どこに向かったのかもわからない。だから追いかけることもできない。


 状況ノ安定ヲ確認。準警戒状態ヘ移行。


 そうか、脅威は去ったのか。

 リスモドキ…トッテンリンを倒したときは異世界武力無双も夢じゃないって全能感が湧いたけれど、今はすっかりしぼんでしまった。

 だってレーザーはずるいよ。遠距離攻撃の手段を持ってない私はもしも敵対したとすれば、きっと一方的にやられるだろう。

 そもそも、あのトッテンリンだってこの森では地球でいうミジンコレベルの強さなのかもしれないし。

 とにかく、自分の強さがこの世界でどれくらいのものなのかを知るまでは、軽率な行動は控えるべきだろう。レーザー以上の理不尽だってあるかもしれないのだから。

 せっかくの異世界、即座にリタイアなんて絶対嫌だ!

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