3、異世界でTS成功?
ひとまず、ここまで。
できるだけ急いで編集を終えて、次以降の話を出すつもりではあります。
目を開くと木々の生い茂る森だった。
振り返っても木と草があるばかり。
辺りを見渡せど自分の周りが少し拓けているくらいで、やはり植物しか見つからない。
「どこ?…っ!!」
声が!声がかわいい!!なにこれ!
そうだ、俺は変な爺さんに声をかけられトントン拍子で異世界に行くことになったのだ。
「これが、生まれ変わった俺?」
いけない、この声で一人称が俺は一部に需要があるかもしれないが俺の趣味ではない。
「あー、あー、私。そう、私はー。」
気をつけよう。間抜けな俺のことだ、頭の中で考えるときの一人称も私に変えないといざというとき俺と言ってしまいそうだ。
しかし数多のラノベを読み、いつしか叶わぬと思いつつも俺…じゃない私の夢となっていたTSがまさか叶うとは。
しかも異世界にハイスペックボディまでついた超特盛のセットつきで。
ボディ…そうだ、ボディだ。
目線を下に向けるとそこには確かなふくらみが、などということはなくなだらかで平坦な胸部。
足元が見づらいなどということもなく、肩こりの心配も無用なほどである。
「おぉ、おぉぉぉ。」
感涙に咽ぶ私。
何を隠そう、いや隠してなどいないが敬虔な薄胸愛好者である私は感動に震えた。
「爺さんすげえな。」
いやほんとすごい。記憶を覗いて云々かんぬんと言ってはいたが完璧ではないか。
しかも、しかもだ。下を向いたとき、僅かに視界に入った髪は白銀であった。
これもまた個人的な嗜好ではあるが、二次元の白髪や銀髪は私の好みのドストライクなのだ。
「すごすぎるよ爺さん。もう足を向けて寝れねえや。」
どこにいるかもわからないし、そもそもこの世界に恐らくいはしないであろうが私の心は爺さんへの感謝でいっぱいだ。
喜びを全身で表現すべくその場で飛び跳ねる私。それに追従して揺れるスカート。
そう、今の私の服装は軽めのゴシックドレス風なのだ。あくまで自分で見える前部分から判断するにだが。
思い出すのはかの昔、TSもののラノベを読み自分も可愛くなりたいと思って形(服装)から入ろうとした俺…じゃない、私。
しかし自分の顔も体の骨格も完全に男のもので鏡を見て悲しみと吐き気を催したものだ。
今の私は見える範囲で少女である。手は白くて小さいし肩幅も狭い気がする。
だが顔、顔は自分の目で直接見れないのだ。当たり前ではあるが。
「鏡、鏡はどこかに…。」
辺りにあるのは相変わらずの木々。鏡など欠片も見つかりそうにはない。
「考えろ、俺…じゃない私。ラノベでもよくあるシーンだ。そう、水。水の反射だ。川を探せ。」
蓄えたラノベ知識が火を噴くぜ。早速耳を澄ましてみる。
ちちちちちっ
キョーキョー
トッテンリン
だめだ、水の音らしきものは聞こえず謎の鳴き声のようなものしか聞こえない。
というかトッテンリンてなんだ?異世界だから奇妙な生き物もいるのかもしれない。
ガサガサッ
そのとき草むらが揺れ木々の間から何かが飛び出して来た。
「うおっ!」
それはリスのような外見だった。まるでリスだった。その大きさが1メートルくらいある部分を除けば、であるが。
「トッテンリン」
その巨大リスは首を傾けながらそう鳴いた。
トッテンリンは、お前だったのか。