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『或る小説的思想集』

『実質的に階段を登る思想』

『実質的に階段を登る思想』



人間は誰もが、高い場所へ行こうとするのだ。神が居る場所へと生き急ぐのだ。

しかし、それが死後の世界だとしたらどうだろう、実質的には、人間は生き神になろうとする。



困難を乗り越えて、地平線の先にある、高くない場所へと行くと、本来の幸せはある。

高い場所へと行き急いだものは、生きながらにして地獄へと行くだろう。



また、一人だけ勝とうとする、エゴイズムもまた、神の怒りに触れるのだ。

周囲を見渡して、周囲の人々と一緒に、遠方へと急ぐ人々は、神に守られている。



人間の本来の姿とは別に、不可視の世界に於いて、どの様にすれば幸せに辿り着くだろうか。

それは、急速なエゴイズムではなく、実質的な意味あいとして、空へと階段を登ることだ。



走ってはいけない、ただ、一歩ずつ、片手に水などを持って踏み締めるように階段を登るのだ。

神はそれを見て、敬虔な精神を感じ取り、その見えない姿で、その人を天井で待つ。



実質的に階段を登る思想とは、こういった、地道な努力のことを言うのである。

ただ、手を取り合って、少しずつ、階段を登っていく姿に、神さえも、打ちのめされるであろう。

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