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親子

さて現在の聡だが、肝心の大同商会の大野からなんのアクションもない・・・・

どうした事だろうと思っていると以外な客が・・・

その日も、大同商会の大野は訪ねてこなかった。

壁掛けの古い時計は4:30を5分ほど過ぎたところを指している。

もう2時間お客さんもない・・・・・そろそろ締めようかと聡が片付けを始めた時にドアが開いた。女性客が一人で入ってくる。


「もう・・・看板?」


「いいえ、まだまだ大丈夫です。・・・・・久し振り優香ちゃん。」















親友の片山智雄と元妻の優香との間でひと悶着あってから早半年が過ぎていた。


「元気だったかい?大分の別荘にいたんだろ?」


「うん・・・お母さんの知り合いのお医者様が別府で開業してるから、半年もゆっくりしちゃって・・・太っちゃった。」


「もう・・・・大丈夫なのかい?病気の方は・・・」


「うん・・・ごめん・・・あたし来ないほうが良かったかな?」


「なに言ってるの!そんな事ないよ!優香ちゃんみたいに可愛い女性はいつでも歓迎するよ。」


「・・・・だって・・・・あの時も聡さんには迷惑かけちゃったし・・・」


「いいんだよそんな事きにしなくても。それより何か飲む?」


「うん・・・でもまだアルコールは止められてるの。コーヒー飲ませてもらっていい?」


「医者に止められてるの??」


「ううん・・・お母さん。今日も一緒にホテルに泊まってるんだけど・・・聡さんの顔見たくなっちゃって・・・無理いって出てきた。説得する間にこんな時間になってしまって・・・」


「・・・ありがとう。医者に止められてないのなら・・・アルコール低めの、アイリッシュコーヒーにしよっか!」


「わあ・・・美味しそうだね・・・じゃあお願い!」


「かしこまりました。」









優香は一人でゆっくりと話し始めた。

半年前の事を、もともと智雄との離婚はしたくなかったが、親に逆らえず納得したふりをして、離婚した事や、それからエリカに智雄との事を相談された時も自分を押し殺して応援していた事。そして・・・自分でも自分が止められなくなったいった事・・・・・



聡は黙ってただうなづくだけ、ゆっくりと時間が過ぎていった。








結局8:00まで優香の話を聞き続け、聡は看板を下げた。


優香を泊まっているというホテルまで送ると申し出たが・・・結局遠慮して一人で帰っていった。もう通勤の人で街はにぎわっていたので素直に返したが、まだ完全には回復していない様子の優香を一人で帰してよかったのかどうか・・・・








聡が店を閉め終わる頃には


『心配してくれてありがとう。もう部屋についてます。お母さんに叱られたけど(笑)』


というメールが届き、安心して帰宅する聡だった。








次の日、仕込みがあったのでいつもより早めの2時に店を開けた。

仕込みを始めると同時に岩堀が入ってきた。


「おつかれさん・・・・ちょっといいか?」


「・・・・何です?大同商会が来ましたか?」


「いいや・・・風神会の若頭がさっき電話してきた。」


「ええっ・・・なんでまた?」


「いや・・・それが、今回の大同商会からのミカジメ請求の件で、俺が仕切ってるのか?とな」


『まさか・・・俺の名前だしたんじゃないだろうな』そう思った聡だが・・・


「それで?なんて答えたんです?」


「・・・それがな・・・もし俺なら無条件で大同商会から手を引かせるけど・・・」


「けど・・・・何です?」


「他の奴がまとめ役なら・・・・・・会長がぜひ会いたい。・・・と」


「まさか・・・飲んだんじゃないでしょうね。」


「・・・だって大野にお前推薦したの判ってて聞いてきたんだから・・・」


「・・・ああ、なんでそこだけ馬鹿正直に答えちゃうかな・・・」


「まあいいじゃねえか!」


「よかないですよ!!」















その夜、客足が一旦引いた23:00に約束通り二人の護衛を引き連れて、風神会会長がやってきた。背の高いその男は細見のスーツを着こなし、決して堅気には見えない風貌である。隣に座る男も到底堅気には見えず、骨の髄まで極道に浸かりきった雰囲気である。


「久し振りだな・・・・・聡」


「ご無沙汰しております。・・・・・北見さん。会長就任おめでとうございます。それと今野さん。若頭になられたそうで。」


「かぁ〜・・・お前がそんな殊勝なセリフはくようになったんじゃあ、俺らもいい歳ですね、オヤジ。」


「・・・そうだな。」



「・・・で?今日わざわざ来ていただいたご用件は?」


「せっつくな。まず一杯シングルモルトの美味いの貰おうか・・・Barなんだろ?」


「・・・かしこまりました。今野さんは?ビールですか?」


「おう!よく覚えてるな。」








しばらく誰も喋らず時間だけが過ぎた。聡は北見が口を開くのを黙って待つ。










「うまいなぁ・・・」


「ありがとうございます。気に行ったなら、一本差し上げましょうか?ちょっと遅いけど就任祝いで・・・・」


「馬鹿野郎!こういう酒は、こういう場所でいいバーテンが入れるから旨いんだろうが!また寄らして貰った時にでも頂くよ。」


「判りました。」


「オヤジ・・・そろそろ・・・」


「そうだな・・・聡、お前、大同が来た時に何ですぐ俺のところに言ってこなかった?」


「北見さん・・・俺は・・・堅気です。ヤクザが来たからって、ヤクザに頼む堅気がどこにいます?」


「そんな事言ってるんじゃねぇ・・・・お前、樫村が死ぬ時、兄弟になったんだろう。」


「・・・・ハイ。」


「その時の媒酌人は誰だ?義兄弟になる時の媒酌人といやあ、『親』に当たるだろうが?」


「いや・・・でも・・・」


「でもじゃねえ!ヤクザに頼むんじゃなくて、親に頼るんなら問題ねぇじゃねえか!」


「・・・こんな細かい事で忙しい方のお世話になんかなれませんよ。」






不意にドアが開き、またヤクザ者が3人入ってくる。

今野が慌てて立ち上がりドアの前に立った。北見も立ち上がりドアに向かう。


「お疲れ様です!!」


全員が挨拶する。ドアの外から大柄な男が窮屈そうに店内に入ってくる。


「待たせたな・・・北見」


「いいえ、本家で忙しいのにスミマセン!お呼び立てしまして」










「い、いらっしゃいませ。」


「うーん・・・様になってるな!兄ちゃん。くっくっく」









そこには、広域暴力団『四矢組』5代目組長になった山本がいた。










結局ヤクザが出ちゃうんです・・・・すみません。

引き続きお楽しみください(笑)

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