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優香

何とか丸くおさまった優香と聡、あの日優香はどんな気持ちで過ごしていたのだろう・・・・

あたしはその日、結局聡さんと顔を合わせる事は出来なかった。お父さんと話をしに来た聡さんに朝一でメールを送って、自室で待機していた。(越した部屋の家具や家電っは、ほとんど新しく買ったので、この部屋はいつ帰ってもそのまま使えるようになっている。出来ればここで暮して欲しいと両親に言われているようで、ちょっとプレッシャー)もし話が険悪になったらお母さんが知らせてくれる約束になっている。テレビをつけたりパソコンを弄ったりと暇を潰していたが、二人の会話がどのようになされるか・・・心配で何も手につかない、何も考えられない状態だった。


二時間程して、玄関から声が聞こえてきたけど、お母さんから内線で


「お父さんと外に出られる事になったけど・・・見送りはしない方がいいわ」


そう言われたので、今日だけはおとなしくしておこうと思う。

お父さんがお客さんと外に出る。という事はおそらく話が旨くいって自分のお気に入りの店で飲み直すという事。そう考えると多少気が晴れた。




お母さんが二人を送り出した後、キッチンに行って手伝いながら二人がどんな話をしたか聞いた。



まだちゃんとプロポーズされていた訳ではないのに、「結婚を前提にお付き合いさせて下さい。」と、聡さんが言ったと聞かされ、驚き、喜びと『先に言って欲しかった』という複雑な気持ちが芽生えて、泣き笑いしてしまった。見ればお母さんも泣いていた。


「良かったね、優香ちゃん良かったねぇ」


そういいながらいつまでもめそめそする母の肩をだいた。









帰ってきたお父さんは上機嫌だった。

それだけで安心できたが、あたしを居間に呼び、こう言った。


「彼はしっかりした人間だ。出来ればああいう跡継ぎが欲しいと思ったが、お前はどう思う。」


愕然とした。前の結婚がその事が元で(原因は色々あるにしても)駄目になっているのに・・・

この人はまったく同じ事をしようとしているのだろうか?


「聡さんは自分の力で生きている人です。」


「・・・それで?」


「彼は多くを望んでいません。ただ、今の仕事が好きで、自分の店が大事な人なんです。だから・・・・もし婿養子にとお父さんが望むなら、あたしは彼から身を引きます。」


それからしばらく考えていたお父さんだったが


「やはりそうだろうな・・・実は今日そんな話はしていないんだ。ただ二人でいい酒の話や、いい飲み屋の話をしただけだ。うん、さっきの話は忘れてくれ。まあ結婚については、もう大人なんだから・・・じっくり二人で話し合いなさい。私は反対しないから。」


それだけ言うとさっさと立ちあがって『風呂でもはいるか・・・』と、居間から出ようとする。

あたしは慌てて両手をついて頭を下げ、お父さんに声をかけた。


「おとうさん・・・・本当に、本当にごめんなさい。いろんな心配をかけてしまって・・・・あたし、自分を大事にするから!もう心配掛けるような事しないから・・・」


お父さんは振りかえる事なく


「うん、わかった。幸せになりなさい。」


そう言って出ていった。





その日はお店に慌てて戻っていった聡さんに連絡はしなかった。他人に店を任せる事をしない聡さんがあたしの為に、特別にそうしてくれていたのだ。仕事の邪魔をしてはと、気を使ったつもりだったが・・・・結局寝る前に聡さんから連絡が入り、交際の許可を貰ったと報告を受けた。














それから一週間がたった。まだあたし達はデートどころか手もつないだ事がないままだ。

28才の女性としては、これってどうなんだろう・・・・そう考える事もあるが、焦らない事にしている。



とかいいつつ、あたしは、来週の月曜日(saint・waveは月曜がお休み)に二人で旅行に行こうと誘うつもりで、パンフをみて予約がとれるか確認の電話をかけた。今はオフシーズンでぎりぎりでも大丈夫ですよ、との事。新しく始める仕事が再来週からなのでチャンスはここだけだ。








聡さんの息子の洋介君は面識もあり、なついてくれている。立場が変わっても(母になっても)仲良くできるかどうかはわからないが、エリカとも仲良くいれそうだし相談にも乗ってもらえるだろう。












「あ、聡さん♪、今度の月曜・・・早起きして旅行に行きませんか?熊本の温泉なんですけど・・・・」










補足を入れないとわかりにくいかなと・・・

オムニバス形式でリアルに描こうかとも思いましたが、呼んでて面白くなさそうだったのでやめました。

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