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変な依頼

自分の身の回りの事にちっとも気が回らない生活をしている聡・・・・そんな聡がへんなお願いをされているのだが・・・

智雄、亜希子、エリカの一件が落ち着くまで1ヶ月の時間を要したが、聡は聡で忙しい毎日を送っていた。店も年間を通して二番目に客数が多い時期であり、


おまけに『岩堀』が首謀者なのは間違いなさそうなのだが、このビルと向こう二軒の古いビル、合せて22軒の飲み屋、飲食店が、集まって商工会のような組織を作ることになったという。


前回の大同商会との一件で、各オーナーの危機感が一致したのと、解決したのがどうやらあのセント・ウェーブというバーの若いオーナーらしいという噂が立ってしまい。自衛や交流の為にもぜひ会長を!とお声が掛ってしまったのである・・・・


もちろん丁重に辞退したのだが・・・・なかなか諦めてくれない。とうとう説得にみんなの中の顔役が駆り出されてきた。












「だから、何度もお断りしてるじゃないですか!勘弁して下さい。今俺は一人でやってるんで・・・まじで困るんです。」


「判らない奴だなぁ、俺も手伝うって言ってるだろうが!お前が抜ける時はうちのチーフを回すから!な!受けてくれよ!」


説得に来ている岩堀はこの日は特にしつこかった。いくら断っても、ガンとして引かない。

何か、引けない理由でもあるのだろうか?・・・・聡は探ってみる事にした。


「そんなに言うなら岩堀さんが引き受けてくれたらいいじゃないですか。」


「俺はそういうのは苦手だからな!なあ頼むよ、俺を助けると思って!!な!」


やはり怪しい・・・・


「じゃ、他に引き受ける奴がいないかどうか俺も当たってみますから・・・・」


そう言うや否や、


「他はダメだ!俺が見たところお前じゃないと・・・」


「・・・誰に頼まれたんですか??ちょっと怪しいなぁとは思ってましたけど。」


「いや、別に誰にも・・・」


「じゃあ、はっきりお断りしていいんですね!」


「いや・・・それは・・・・」


「頼まれてますね・・・誰です?」


「・・・困ったなぁ・・・口止めされてるんだよ。」


「やっぱり・・・事と次第によっては受けても構いませんから。全部吐いて下さい!」













岩堀の話によると、今回の件は元々このビルの管理会社から依頼されてきたという。それも聡には絶対ばれないように・・・それで、岩堀は大袈裟に先日の件を吹聴して回って、こういう流れに持っていった。もちろん謝礼として家賃半年、管理費一年サービスすると言われているとの事。


「なんでまた・・・理由がしりたいですね。」


「・・・だよな。」


「まったく、岩堀さんともあろう人が理由もわからずになんでこんな話受けたんです?」


「・・・・まぁ・・・家賃半年はかなりおいしいし・・・面白そうじゃないか。」


「ハァ???なにが、どう面白いっていうんです?」


「まあ種を明かすとな、今回の件、管理会社に依頼してきた人間がいるらしいんだ。」


「誰です?」


「それも内緒だと・・・ま、調べられない事はないんだが。知りたいだろ?」


「・・・・先に調べて下さい。それからです。」


「なんだよ、先に引き受けてくれないのかよ?」


「あたりまえでしょ!とにかく相手次第ですから。いいですね!」


岩堀は多少肩を落として帰っていった。

それにしてもまったく意味がわからない。たとえ聡に受けさせたとしても相手に何の得があるというのか・・・・・














岩堀から連絡があったのはそれから3日たってからだった。

聡はオープン前の16:00に指定された通り『宝島』にやってきた。


「おう、悪いな・・・今日は俺一人だったからな。」


「いえ、で?何か判ったんですか?」


「ああ、今エスプレッソ入れるから・・・待ってろ。」


どうりで入口にまでいい香りがしている訳だ。しかし、聡は苦笑いで答える。


「・・・また高くつきそうですね。」


岩堀は済まして答える


「・・・・・どうかなぁ・・・高いか安いか、お前次第だろうなぁ。」


そういいながらデミタスカップと砂糖をテーブルに置く。聡は普段ならエスプレッソもブラックで飲むのだが、岩堀の入れたものを飲む時はキチンと砂糖を入れて飲む。その方がより旨く飲めた。


「まず言っとく・・・実は、情報が入ってこない。まだだれの差し金で今回の件が始まってるかはわからん。」


「ええ?・・・・じゃ何故今日呼んだんですか?」


「まあ話は最後まで聞け!お前『木之元興産』って会社知ってるか?」


初めて聞く名前である。思い返して見ても今まで接点をもった覚えはない・・・


「・・・いえ。」


「そうか・・・恐らく、その木之元興産とは無関係じゃあないと思うんだが・・・なんせ証拠が出てこない。うちのビルの管理事務所とのつながりでいくと他には考えられないんだがな・・・」


「だいたい何をしてる、どんな会社なんですか?その木之元興産って。」


「不動産売買、管理、それから燃料屋かな。」


「燃料屋?スタンドとかですか?」


「ああ、あの中州の九石あっただろ、それから薬院の駅前の九石。あの辺全部だな。GSの支店は全部で10店くらい持ってるんじゃねえかな。地場の中じゃあ結構手広くやってる会社だな。不動産も結構持ってる筈だ。」


聡の中でなにかがひっかるのだが・・・・やはり自分とは結び付かない気がする。

思い出した事が一つだけ。確かその九石は親友の智雄が絶対利用しないスタンドだった気がする。一度理由を尋ねた事があったが、答えをはぐらかしていたようだった。





何か判ったらまた連絡するよと、岩堀に言われて店に帰った聡だったが・・・・

やはり気になる。







何か判るかもしれない。と智雄の携帯に電話をかけてみる事にした。



















智雄に聞けばすべてが明らかになるのか?

それとも事態はますます複雑に絡み合うのか・・・

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