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アラウザル 〜無限の力、覚醒の時〜  作者: 逆さのかかし
2章 新入生歓迎トーナメント開始!
9/13

新入生歓迎トーナメント編 Battle 4

今回はほとんどが戦闘シーンになる可能性があります。



第4試合の開始の合図とともに

ジョンとジョニーは突っ込んで来た。


「いくぜ!ジョニー!」

「OKー!ジョン!」


ダナンとアミティエは作戦通り

それぞれで防御態勢を取った。

「ぐっ!来るか!?」


だが、ジョンとジョニーは普通に走る速さで

向かってきた。


ダナンとアミティエはそれに拍子抜けした。


「そりゃ!」

「おら!」


ダナンとアミティエに大してダメージは無かった。

ダナンがジョンとジョニーに聞く。


「能力使わないのか?さすがに手加減しすぎじゃないか?」


すると2人は攻撃を止め、少し距離を取った。

ジョンが答えた。


「いきなり能力を使ったら盛り上がらなくてつまらないだろ?

だが、使って欲しいのなら遠慮なく行くぜ」


「ジョン、やるんだな。いつでも良いぜ。

そっちのタイミングに任せる」


ジョンとジョニーは構えて動かなくなった。

15秒程静止した後、急展開する。


「ソニック フェイズ1…ダナン、瞬きするなよ」

「集中して見てろよ?」


体の周りから透明な熱気のようなものが出ている事に気付いた。

目は瞬きをしなければ渇く。

瞼が1人でに降り、瞬きをした。

1度瞬きした途端、ジョンとジョニーは目の前から

姿を消した。

辺りを見回し2度目の瞬きをした時には

ダナンは右から殴られていた。

驚く事すら出来なかった。


アミティエはダナンが殴られた事に気付いたが

自分の左側から接近してくるのに気付き

刀でガードをした。

刀身に蹴りが入りその場で踏ん張ったが

そのガードは呆気なく崩れた。


「うっ!あっ…!」


アミティエは後ろに飛ばされたが

刀を地面に突き刺し、遠くへ飛ぶのを抑制した。

顔を上げダナンの方を見た。


ダナンは地面にうつ伏せていた。


ダナンは顔の右頬が強く痛み

口の中が血の味がした。

体をゆっくり起こしジョンとジョニーを探した。

2人は少し離れた所に立っていた。

アミティエのいる所まで歩き合流した。


「ダナン君、顔大丈夫…?」


「少し痛いけど大丈夫。

それよりアミティエ、さっきのどうなった?

俺には2人が消えたように見えた」


「さっきは高速で近付いて来て

それで私たちやられたんだよ」


「そうか。それでこれからどうする?

俺の能力は予想通り使えそうにない」


アミティエがダナンの顔を見て言う。


「1つだけ試したいことがある」

そういうとアミティエはダナンに耳打ちした。


「なるほど!それなら試す価値はありそうだ!」


ダナンはアミティエの後ろに下がり

アミティエは刀を目の前に構えた。



ジョンとジョニーは

まだ2人が戦う意思がある事に気付く。


「まだ戦う気かよ。さっきお前ら吹き飛ばされただろ。こっちに勝機があるのは明白だ。諦めろ」


ジョンは大きめの声で言ったが

ダナンとアミティエが構えるのを解く事は無かった。

ジョンは軽く舌打ちしてジョニーに合図する。


「行くぞ、ジョニー」


ジョニーは上に2回上にジャンプすると高速で突っ込んで行った。

ジョンもそれに続いた。


アミティエは向かって来ている事に動じず

目を閉じ周りの音が聞こえない程に集中力を高めた。

高速で近づいて来るジョンとジョニーの場所が次第に目で見えているように分かってきた。

アミティエは技を出す前に

予備動作として出ていた緩い風を利用して

相手の位置を意識的に感知する事が出来るようになっていた。

アミティエには自分を中心として広がった風の波紋を掻き分けて物体が動いているように感じられていた。

物体が近づくにつれて肌を指で撫でられている感覚が強くなり

少し悪寒がする技だった。

これはトレーニング中に習得したものなのだ。

2人が突っ込んでくる5メートル前で目の前で構えていた刀を体の周りで大きく振り回し技を繰り出した。


「私たちを包め!旋風!!」


風のドームががダナンとアミティエを包んだ。


そのドームが形成されたがジョニーとジョンは止まることは無かった。

だが、風の壁へ手を伸ばそうとした瞬間に

視界の片隅にあった小石が切れたのを見ていた。

それに気付き出していた手を咄嗟に戻して

風の壁の寸前で立ち止まった。

だが、ジョンに知らせるまで気が回らなかった。


「うわぁぁぁぁ!」


ジョンの叫び声がした。

ジョニーはジョンの方を見ると跪き

右手が紙で切られたかのように無数に切られていた。


「ぐっ!くそ!なんだこれは!」


「ジョン!言うのが遅れた!すまない」


「腕の事なら良いさ。なんとかまだ繋がっているからな。

まさか、これがあのアミティエって奴の能力なのか?」


ジョンとジョニーにさっきまでの余裕は無くなっていた。

近づき直接攻撃するしか攻撃手段が無い2人にとって近づく事が出来なくなってしまったのは

あまりにも致命的だった。

状況は圧倒的に不利になった。



試合の組み合わせが発表され、個人ステータスを見た時から2人は気づいていた。

対戦相手がEランクであるが、何より能力の詳細が全く記載されてなかった。

初等部からアカデミーにいるジョンとジョニーは見たこともないイレギュラーだと感じていた。

担任の先生からトレーニング期間にしっかりとした対策を考えておけと言われていたが

そもそも相手の能力が分からない時点で対策を練ることは不可能だった。

Eランクという判定が出ているのだから、一方的な試合になれば

それが周りの反感を買ったとしても1番ベストな勝ち方になる。

だがもし、想定外の能力を持っていたとしたら……。

ジョンとジョニーはそれに対応しきれるだけの案を持っていなかった。

そしてその想定外が目の前で起きたのだ。



風のドームの中では驚いたダナンが騒いでいた。


アミティエの後ろからダナンが言った。


「うお!アミティエ凄いな!こんな事が出来たのかよ!」


「うん。この風を発生させている間は

相手は手出しをして来ないと思う。

でも、こちらも向こうに攻撃出来ない。

長期戦も出来ない。

攻撃のチャンスは1度きり。

だからダナン君にこれから言うことをちゃんと聞いて欲しいの」


ダナンはぎゅっと拳に力を入れ顔を前に出した。


「分かった。いいぜ」


「あの2人の弱点は常に2人で同時に攻撃してくる所にあると思う」


「確かに、俺が殴られた時も

アミティエに攻撃してるのが見えてたぜ」


「そう。そこで危ないかもしれないけど…

私がこの壁を1度消す。そしたら相手はすかさず

攻撃してくるはず。

その攻撃が当たる直前に技を出して2人を空中に上げる。タイミングはシビアだけど

これしか勝つ方法はないと思うの。

どうかな…?」


「文句なし!俺はアミティエを信じるぜ!」


アミティエはダナンの信頼してくれている顔を見て

覚悟を決めた。


「よし!行くよ、ダナン君…!」


「おっしゃ!」



__


ジョンとジョニーは

風のドームの中がどうなっているか

分からないので風のドームを挟むような形で

前後に展開した。

こちらが手を出せないように

あちらも手を出せない事がこの数分で分かった。

中の様子が全く分からない。

そして、風のドームが出来てから数分経ったが

弱まる気配は無い。

勝敗はこの風のドームが消え、2人の姿が現れた瞬間に決まる。

ジョンはジョニーにソニックフェイズ2を使う事を

話していた。

ジョニーはそれに頷き返答した。

フェイズ2は今まで戦ってきた相手に1度も捉えられた事のないものだ。

使えば爆風が起きるほどだ。

早々にフェイズ2を使うのには理由があった。未知数の相手との試合の時は自分たちの能力の及ぶ内に勝敗を決めるのが2人の鉄則だからだ。




ドームを見ていると次第に風が弱まり

中の2人が見えてきた。


ジョンはジョニーに手で合図をしてフェイズ2の発動準備を促した。



ダナンとアミティエは2人が自分たちを挟むように

立っている事に気付いた。

お互いに勝負は一瞬で決まる事が分かっていた。


観客は静まり返っていた。


先に動いたのはジョンとジョニーだった。

これはアミティエの予想通りになった。


「行くぞ!ジョニー!フェイズ2だ!」


「OKー!!ふん!」


ダナンは更に速くなる事に驚いた。


「フェイズ2!?アミティエ、どうすんだよ!」


「さっきの作戦通りにやる!」


ジョンとジョニーが動いたと同時に爆風が起こった。

砂埃で観客からは4人の姿が見えなくなった。


アミティエは集中力を今まで以上に高め

2人の位置を感知した。


ジョンとジョニーは2人を中心に円を描くように

ぐるぐると回り出し5回回った後に2人にとてつもない速度で挟むように突っ込んだ。


アミティエは目を開き今までで1番大きな声で言った。


「ダナン君!伏せて!」


ダナンは咄嗟に地面に伏せた。


「うぉ!!」


アミティエは目の前で構えていた刀を上段の構えに

変えて大きく振り回し叫んだ。

「ここだぁぁぁ!!昇れ!龍の風!!」


するとアミティエの周りに荒々しい風が吹き始め

目を開けていられない程の強さになった。

ジョン達が起こした砂埃が吹き飛ばされ4人の姿が

露わになった。


ジョンとジョニーはアミティエの手前1メートルの

所で体が風の力によって動きが鈍くなり

地面に足を着けて踏ん張る事で精一杯になった。

すると次第に体が持ち上がり空中に高く吹き飛ばされた。


「おわぁぁぁ!」


「うわぁぁぁ!」


観客の視線が飛ばされたジョンとジョニーの方へ

向く。


ダナンは吹き飛ばされた2人を見て

今なら勝てると思った。

アミティエに言う。


「アミティエ!刀を踏み台にして上に飛ぶ!

そこでじっとしてろよ!」


「え…!?ちょっ!待ってよ!」


素早く立ち上がり、アミティエから50メートル程離れ全速力で走り出した。


「うぉぉぉぉ!行くぞ!」


アミティエの構えた刀の刀身に両足で乗った。


「おりゃぁぁ!」

「ダナン君…!上がれ!」


ダナンはジャンプと同時にアミティエの風の力で

飛ばされたジョンとジョニーよりも

高く飛ぶ事が出来た。

下のアミティエに大きな声で言う。


「アミティエ!斬撃を俺に飛ばしてくれ!

それで決めるからぁ!」


アミティエは一瞬唖然としたがすぐ刀を構えた。


「分かった…!ダナン君に届けぇぇ!」


白い斬撃がアミティエの声と共に飛んでくる。


「ありがとな!」


ダナンは左手を前に出し構えた。


「吸収!!」


白い斬撃がダナンの手の中に消えた。

それを見ていた観客はざわめいた。


それを間近で見ていたジョンが言う。

「今のはなんだ!?これがダナンの能力か!?」


「ジョン!これ俺らヤバイんじゃないか!?」


ダナンはニヤッと笑って言った。


「これで決めるぜ!超拳!!」


ダナンは1番近いジョニーに向かって拳を振るった。

ジョニーは胸でクロスするように腕を構えて

ガードしたが、それは効かなかった。

ダナンのぶつけた拳の威力は凄まじく

ジョニーの体をとてつもない速度で地面に叩きつけた。



「ジョニー!くそ!地面に足が着いてなきゃ動けねぇ!」


ダナンはジョンの目の前に位置をずらしていた。

拳を上に掲げてジョンに振り下ろした。


「これで終わりだぁぁ!超拳!!」


ジョンは腕で踏ん張ったが当たった瞬間に

腕の骨が折れる音がした?


「ぐっ…!うわぁぁぁ!」


ジョンはジョニー同様に地面に叩きつけられ、ダナンが空中から降りてきた。


今の状況を見兼ねた主審が審判たちに指示を出して

ジョンとジョニーの落ちた場所に駆けつけて

身体を調べさせた。

それぞれの場所で審判が腕でバツ印を出した。


主審が判定を発表した。


「チームダッシュの身体を調べた所、両者共に気絶。

試合続行不能という事になりました。

なので第4試合の結果を発表します」


会場が静寂に包まれた。


「ただ今の第4試合…勝者は…チームダブルワン!」


会場に熱気が戻った。会場に雄叫びが響く。

試合前の罵倒は既に無くなっていた。

むしろ賞賛の声が飛び交っていた。


「Eランクにしてはやるじゃんかよ!」


「あいつら、本当はスゲー奴らなんだな!」




ダナンはアミティエの側まで走り喜びを伝えた。


「おい!アミティエ!やったぞ!

俺たち勝ったんだぜ!やったぁぁぁぁぁ!」


「うん…!勝てて良かった。私も嬉しい…!」



観客席から見ていたルーティは驚きを隠せなかった。

一時は防戦一方だったがアミティエの技で

身を守り、自分たちに攻撃のチャンスを作った。

そして、ダナンの高い判断力により

空中で勝敗を決めるという荒業をしてみせた。

やはり彼らの中にある隠された力は凄まじい事に

気付いたのだった。



地面に倒れていたジョンとジョニーは

緑色のジャケットを着た救護班によって

タンカーに乗せられ運ばれていった。


ダナンとアミティエは会場を後にし

選手控え室へと戻った。


ダナンはルーティの所へ戻ると先にアミティエが来ていた。

ルーティは後ろから来たダナンに気付くと

一言激励を言った。


「お疲れ様。ここで見ていたが凄かったよ。

あそこで2人の良いチームワークが見れたしな!

ダナンの空中で倒すのは前もって考えていたのか?」


アミティエがキョトンとした顔で見てくる。

ダナンが笑いながら答える。


「いえ!あれは俺がその場で思いついたやつです!

だから、アミティエも驚いてました!

俺も見せ場無いと寂しいじゃないですか!

確かに勝機はあのタイミングかなって思いましたけど」


試合開始前では絶動的だった状況に一筋の光が差し込んでいた。




______

理事長に言われていた調べ物を終え、VIP室に秘書が戻ってきた。


理事長は飲み物を口にし、寛いでいた。

背中から声を掛ける。

「理事長、調べ物が終わりましたので報告をいたします」


「お、早かったね。それじゃあ聞こうか」


理事長が椅子を回転させ後ろの秘書の方へ向く。


「報告書はまたの機会にお渡します。今は口頭での報告にになりますので

どうかお許しを。単刀直入に言いますと、彼女の個人情報には一切不明な点及び不審な点は

存在していませんでした」


理事長はその報告に少しだけ不服そうだった。

「まさかとは思って『日本』にいたことがあるのかと考えていたのだけれども

単なる僕の勘違いだったようだね。秘書さん、お手数掛けました。ありがとうね」


秘書からの報告を聞き終わると椅子を会場の見える窓の方へ回転させた。


理事長の癖で、気になることがあると右手の親指を四本の指で触るという癖が出てしまっていた。


______


ダナン達の第4試合が終わり、続く第5、第6試合も順々に終わりを告げた。

第5試合はBランクとCランクが対戦しBランクが勝利し第6試合はCランクとDランクが対戦しCランクが勝利した。

それを観戦していたダナン達の元に真闘技場に行っていたニルスとミノーが帰って来た。

時刻は昼に差し掛かっていた。

トーナメントは一日かけて行われる為、昼休憩が存在する。

時間は1時間程だ。


ミノーが出店で買ってきたおにぎりをそれぞれに配った。


「ミノー。俺らに昼食を買ってきてくれるのはありがたいがなぁ。

爆食は控えろと言ってるだろ?」


ルーティが不機嫌な顔で言う。


「え!?なんでバレてるの!?」


「顔に食べカスが付いてるぞ。その金は俺の渡した金だろうが!少しは遠慮しろよな」


「だってお腹空いてたし〜。それより2人とも

初戦勝ったんだってー!?凄いね!」


ミノーは顔の周りを拭いて

ダナンとアミティエの方を見た。


おにぎりを食べていたアミティエが答える。


「はい。なんとか勝てました。ダナン君がいてくれたから勝てたんです。

あとこれ、ありがとうございます」


ミノーはアミティエの目の前に屈んでおにぎりを食べだした。

ルーティがニルスに聞いた。


「次の向こうの試合は見に行くのか?」


「いいえ。見るだけ無駄かもしれません。

Aランクの圧勝ですね」


「そうか。今年の新入生はレベルが

全体的に高い傾向にあるな」


ルーティは1人悶々と思いふけっていた。


それぞれが昼食を食べ終えた頃に会場に

アナウンスが流れた。


「10分後に第7試合を開始したいと思います。

出場する選手は準備をして下さい」


会場内の人の出入りがより一層激しくなった。

一度出ていた観客が戻って来ているようで

異様な暑さに覆われた。



ダナンがニルスとミノーを見て言う。

「あれ?2人は今回はこっちにいるんですか?」


ニルスが答える。

「今回はこっちにいる事にしたんだ。

向こうには見に行かなくても良くなったからね」


ルーティがダナンとアミティエに言う。


「第7試合はチームカエサルだ。

要注意人物の試合を試合前に2回も観れる機会は

中々無い。さっきも言ったが注意深く観察しとくようにな」


ダナンとアミティエは、はいと返事をした。


アナウンスが流れ

チームカエサルが入場してくる。

それと同時に会場の盛り上がりが高まった。

大きな歓声が響き渡る。


後、2分で第7試合が開始される。
















思った以上に戦闘シーン大目になってしまいました。

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