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アラウザル 〜無限の力、覚醒の時〜  作者: 逆さのかかし
2章 新入生歓迎トーナメント開始!
8/13

新入生歓迎トーナメント編 Battle 3

いきなりピンチです。


第3試合の開始直前、選手控え室


ダナンとアミティエは第3試合の始まる前に

選手控え室に来ている必要があったので来ていた。

トーナメント運営スタッフによる体調の診断や

細かな説明を受けるためである。

もちろん、男子女子と控え室は分かれている。

ダナンとアミティエはスタッフの話と準備を

終え、モニターのある大広間に向かった。


先に着いたのはダナンだった。

ダナンは拳や腕、脛に太ももに

自前の灰色のプロテクターを付けた。

額にはバンダナをした。

モニターを見ていると後ろからアミティエが

やって来た。


「ダナン君、お待たせ」


ダナンはアミティエの方を見ると驚いた。

トレーニングの時の半袖、短パンの姿で

刀を持っていたがプロテクターは身につけていない

状態だったからだ。


「おい、アミティエ!プロテクター付けないのか?さすがに付けた方が良いんじゃないか?」


アミティエは不思議な顔をして言った。


「え?私はいつもの状態が1番動きやすいから

これで来ちゃったけど…」


「まぁ、アミティエが良いのならいいか」


ダナンはそれで納得する事にした。



モニターに第3試合の出場者が入場してくるのが

見えた。

第3試合はCランクとDランクの対戦で

ルーティから今のところ、報告によれば

新闘技場の方も早めに試合が終わっているようだしこちらも長期戦にはならないと思うから

すぐ行けるように準備をしとけと言われていた。


モニター越しに審判が出場して来たペアの

チーム名を言っていた。

ダナンとアミティエは確実に自分たちの試合が

近づいている事に少なからず緊張していた。


モニターから審判の声がする。

「それでは第3試合を始めます。では開始!!」


観客の歓声が聞こえてくる。

第3試合が始まった。



モニターにはCランクとDランクの試合が映し出されていたが

ダナンは緊張で全く頭に入ってこなかった。

それを見ていたアミティエが肩にそっと手を置き言った。


「ダナン君…ダナン君!大丈夫?」


「え…?あぁ、ごめん。ボーッとしてた」


「ダナン君、5秒数えて息を吸って

また5秒数えて息を吐いてみて」


「スー…フー…スー…フー…。

ありがとう。落ち着いてきた」


「私も緊張してるから。大丈夫」


さっきまで頭に入ってこなかった試合が

ちゃんと頭に入ってくるようになった。


そして、試合開始から5分後試合は終わった。

第3試合の勝者はCランクだった。



スタッフが大広間に大声で入ってくる。

「あのー!第4試合のチームダブルワンの方は

いますか!」


ダナンとアミティエは同時に振り返った。

ダナンがそれに答える。


「はい!僕たちです!」


スタッフに手招きをされ移動した。

移動距離は200メートル程だ。

ついていくと出場口が近づいてくるのが分かった。

観客の声がそこから聞こえてきていたからだ。

そこではスタッフの方が慌ただしくしていた。



ダナンはアミティエに教えてもらった呼吸を

再びした。


「5秒数えて息を吸い…5秒数えて息を吐く…」


「ダナン君、頑張ろうね」


ダナンはゆっくりアミティエの方を向いて言った。


「あぁ…!トレーニングしたんだ!

ギリギリまで諦めないでやろう!」


2人は決意のこもった顔をしていた。

外から第4試合のアナウンスが流れているのが

聞こえてきた。

「ただいまより、第4試合を始めたいと思います」


選手入場のファンファーレが流れてきた。


スタッフ1人が言ってくる。

「チームダブルワンの2人は

それでは入場した下さい」



「よっしゃ!」

ダナンは一言言って光が強く差し込んだら出場口の

向こう側に走った。

それにアミティエは続いた。


_____


光の向こうに行くと大勢の観客が喝采を上げていた。

ダナンとアミティエは観客席の方を見回して

その圧倒さに驚いた。

さっき見ていた時とは全く違う迫力がある事に。


「すげー…。とうとうの俺らの番なんだな…」


「こんなに人がいたなんて…スゴイ…」


審判が白線の前まで来るようにと促す。

2人はそこの前まで行く。


向かいからチームダッシュのジョンとジョニーが

現れた。

想像していたより遠くに見えた。


「それではルールの説明に…」


審判の声を遮るように観客がそれぞれに言い出す。


「おい!そこの女!武器持ってんじゃねーぞ!」

「そうだ!卑怯だぞ!」

「しかも、能力不明者だぜ。あいつら!」

「能力不明者が!2人して賄賂でも渡してここに入ったのか!?」


案の定、多くの罵声が飛んできた。

会場が騒々しくなっていった。

アミティエは最初こそ無視をしていたが

次第に顔が下を向き、苦しい表情をしていた。



「これは…これが無いと戦えないんです」


「「「帰れ!」」」


アミティエの反論は観客に届く事はなかった。


____

新闘技場から旧闘技場のVIP室に来た理事長が

その様子を見ていた。


「この騒ぎはどうした。まだ試合は始まっていないだろ」


隣に立っていた眼鏡を掛けた秘書が言う。


「どうやら、チームダブルワンの女子生徒の問題が騒ぎになっているようです」


「問題?なんだそれは?」


「なにやら武器を所持しているようです。

こちらをご覧下さい」


「ふむ、なるほど。これはどう見ても刀だね。

あの2人の生徒の名前と担当している教師を教えて下さい」


「男子生徒がダナン リマダ。

女子生徒がアミティエマクラウド。

そして担当教師がルーティです」


「なるほど。よりにもよってナス頭のルーティか。

ふっ、あいつはいつも厄介事を持ってくる」


「どうされますか?」


理事長は右の頬に片手を当て少し考えた。

しばらくして答えを出した。


「会場にマイク繋いでくれる?」


会場全体に聞こえる音量でマイクが繋がれた。


「えー、会場の皆さん。

理事長の私の方からお話がございます。

お静かにして頂きますか?」


理事長の一言で会場は次第に静かになった。


「ご協力ありがとうございます。会場の皆様が口々にしている事を私の方から弁明させて

頂きたいと思います。

まず1つ目に能力不明という点ですが、

私も事前に目を通しております。

能力を持っているが発現はしていないという結論になっておりますのでおかしな点はありません。

そして彼らが我がアカデミーに

きちんと入学の手続きを踏んで入学しておりますので不正をして入学したという事実はありませんから

不躾な発言は控えて頂きたいと思います」


理事長は少し溜めてから言う。


「彼女が持っている刀ですが特別に使用を許可します。許可する理由は…えーっと。

まぁ私の独断ですかね。刀を会場まで持ってきているということは彼女にとっては必要な物と見えます。

ですので特別に許可します」


会場はざわめいた。

納得する者はほとんどいなかった。


「私からの話は以上です。審判、試合を早く始めて下さい」


理事長はマイクの電源を切るように言うとドカッと椅子に座った。

秘書がペットボトルのお茶を出してきたが手で要らないと断った。

目の前の机に両腕を置き会場を見た。


「やっぱりEランクで武器を持っている事に疑問があるな」


秘書が聞く。

「どこか気になる点でもあるのですか?」


「まぁそれはねぇ。Eランクの生徒を私は今まで見たことがない。ダナンリマダも気になるが

1番はアミティエマクラウドだ。

どうやってあんな物を持ち込んだ?

一応持ち物検査していた筈だが…ルーティの奴、細工しやがったな」


「ルーティに厳罰を与えますか?」


「私の秘書は怖いなぁ。落ち着いて。

ルーティは長年黙認しているからいいさ…気になるのはあの女子生徒だ。

ここにいる生徒が自分にどんな能力があったとしても、例えそれが非戦闘向けの物だとしても

武器を所持して現れる生徒はいなかった。個人差のある能力の差を埋めるためにペアを組ませているんだがな」


理事長はどう考えてもおかしいと感じていた。

自分の能力に満足出来ずに苦肉の策としてナイフや包丁を持っているのなら理解できる。

だが、彼女は刀を持っている。見るからに怪しいことが分かる。


「秘書さん、少し彼女の経歴を調べておいて欲しいのだけれど。今は忙しいかい?」


「いいえ。早急に調べてきます」

そういうと足早に部屋を出て行った。


「さてさて、少し見せてもらうかな」


_______


理事長に言われ審判は慌てふためいた様子で

試合の進行を進める。


「で、では。改めましてこれより!

第4試合 チームダッシュ対チームダブルワンの試合を開始したいと思います。両チーム準備はよろしいでしょうか?」



ジョンとジョニーが言う。


「もちろん」


「僕らはいつでも良いですよ」


審判がダナンとアミティエの方を見る。


「僕らもいつでも!アミティエいくぞ!」


「う、うん…!なんとか許可も出してもらったし

私の全力でやってみる…!」



審判が手を大きく上げ言う。


「それでは第4試合、開始します!始め!!」



罵倒が降り注いでいた会場は試合開始の合図とともに

喝采に変わっていた。





久しぶりの理事長の登場でしたがどうでしたか。

あまり登場回数が多くなるキャラクターではない位置のキャラクターなので

少し迷走したかもしれません

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