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アラウザル 〜無限の力、覚醒の時〜  作者: 逆さのかかし
1章 戦いの準備
5/13

新入生歓迎トーナメント編 〜3week トレーニング〜

新しいキャラクターを登場させます。

もう少しでトーナメント開始です。

トーナメント開催の日までは

新入生の1年生に授業は無く、各自それぞれの予定を

立てて過ごす事が許されている。

基本的にはペアで行動を共にする事が原則だが

相性の向き不向きで別々に行動しても良しとされていた。





トレーニング初日、朝ダナンとアミティエは

アカデミー地下3階にある

小型のといっても25メートルプール程の大きさの

トレーニングルームに来ていた。

ちなみに地下3階はこのサイズの闘技場が

20個ある。

他にも先客が使っている様だったが

なんとか取ることが出来た。


中は天井にライトが点いているが

強化ガラスで守られていた。

床は白い床でかなり頑丈に出来ていた。


中に入ると2人は荷物を部屋の隅に置き

早速トレーニングについて話し出す。


「アミティエ、この前は全然技を見れなかったから技を少し見てみたいなって思ってるんだけど。

カウンターじゃなくて自発的な攻撃を見たいんだ」


「うん。大丈夫だよ。山嵐の用意するから待っててね」


アミティエは山嵐を茶色の革製の鞘から取り出し

ダナンの下まで歩く。


「そうだな。最初はこの人形相手に技を出してみて」


「分かった」


ダナンは部屋の横に行きアミティエの様子を見た。

密閉空間の部屋に風が吹き出す。


この風もアミティエの能力の1部だとダナンは気付く。

アミティエは呼吸を整え目の前の人形に向かって

構える。


「辻斬り…」

アミティエが剣を振ると人形が斜めに斬られ

上の部分が床に落ちた。

「斜め返し…」


人形は更に切り刻まられて薄く紙のようになり

地面に落ちた。


「スゴイよ!アミティエ!一瞬で人形が

バラバラになっちまったよ!」


「こんな感じだけど大丈夫?」


「おう!あと気になったことがあるんだけどさ。

アミティエが剣を振る時に風が周りに吹くのは

能力か?」


「え?気付いてなかったよ。そうなの?

だとしたら対戦相手に予備動作って事で

攻撃パターン読まれる可能性あるかも」


「そこは1つの課題かもな。

てか、俺の能力は先生が言った通り

能力による攻撃されないと発動出来ないし

2対2のバトル形式だとそれぞれが相手をするのは

俺たちだと効率が悪い」




アミティエとダナンは2人の戦闘スタイルと

能力の条件に合った戦い方を模索した。



3時間、人形を使ったトレーニングを終え

昼食を食べに食堂に来た。

時刻は1時を過ぎていたが人はそれなりにいた。


ダナンはオムライスをアミティエはカレーを頼んだ。

ランチを持ち2人で向かい合う席に着いた。


2人はそそくさと食べ進め、コップの水を一気に飲みした。



「あぁ〜ごちそうさまでした。

それでよ、アミティエ。やっぱ1人ずつ倒していく

しか方法ないんじゃないか?

俺は突撃して相手と格闘するしか出来ないしさ」


「私たちにはそれが1番ベストだと思う。

相手が高速で動くといっても

どれくらい速いのか分からないし

あとは臨機応変にやるしかないよ」



2人はトーナメントに向けて議論を重ねた。


1対1に持ち込む戦い方も検討したが

事前情報から相手の能力が高速に動くという事しか

判明していない為、1人ずつ倒すという案になった。





トレーニングが始まって2週間過ぎた。


今日も朝早くからダナンとアミティエは

地下3階のトレーニングルームに来ていた。

時間制で交代しながら人形でシミュレートして

改善点を言い合った。

トレーニング開始から1時間半が過ぎ

それぞれ分かれて人形とトレーニングしていた。


人形とのトレーニング中にアミティエは考え事をしていた。今回のトーナメント1回戦を前に

不安要素が浮上していた為である。


それはダナンだ。

トーナメント発表の日にルーティが言っていた

対戦相手の能力が自己強化系ということ。

自己強化系ということは能力が能力者自身に作用して

ダナンに向けられたものではないということである。


つまりダナンの能力が発動せず、能力無使用の状態で

戦う事になる可能性が出ていた。


アミティエはダナンにこの事を先日伝えたが

「それでも俺は戦う」と言って今日もトレーニングしていた。


ダナンの基本的な身体能力、動体視力は能力者なら

平均くらい程のものだが

あの能力を使い、相手に当てれば

勝つ見込みはある。

だが、そもそも能力を使えないとなると一気に不利になる事は明確だった。


高速で動く相手を止めるか、或いは動きを遅くするか

案は思いつくが今の2人ではどちらも実現する事は

不可能に近い。


アミティエの攻撃範囲は近距離と中距離

威力のある斬撃の範囲は100メートルまでだ。

アミティエの身体能力と動体視力も平均程だった。

もう1度、案を練り直すべきだとも話したが

ダナンは最初に決めた案でいくと言って聞かなかった。

そんなアミティエも他にベストな案がある訳でも

無かった。

次第に剣振ることをやめていた。



1人、人形とスパーリングしていたダナンも同じ事を考えていた。

アミティエに言われた事は自分でも気付いていたことだった。

自分たちにとって相性が悪く、戦いづらい上に

能力が発動出来ない。

それでもトーナメントは迫っているから

トレーニングに専念することにしたのだ。

以前、アミティエに戦う事が楽しいと言ったが

今は焦りの方が大きかった。


アミティエのカウンター攻撃は強く反応も速い。

だがもし、相手がアミティエのカウンターの反応速度より

さらに速く動くとしたら…。

その可能性は大いにあった。

相手に戦い方を見抜かれたら負ける事になる。

どう考えても部が悪いのだ。



「はぁ…はぁ…はぁ…くそ…」


人形の前で前屈みになり息を切らす。

考え事をしながらトレーニングしても

体の動きが鈍くなるだけで時間を無駄に浪費する

だけだった。

ダナンはゆっくり体を起こし

目の前の人形を睨み

ハイキックを当てアミティエの方へ歩く。


「アミティエ、今日はここまでにしよう。

俺たち全然集中出来てないし

それにアミティエ

ボーッとしてるみたいだから」


「うん。今日はやめとこう」


それ以降2人は何も話さずそれぞれの荷物を持つと

トレーニングルームを出て行った。


____


同日

午後4時過ぎ


ルーティはニルスとミノーに

2人の様子をトレーニングが始まってから

見て報告するようにと言い付けていた。


「こんな感じだけど、どう?」


ミノーが言った。ニルスと共に報告をしに来ていた。


「私が思った通り壁に突き当たったな。

そして毎回思うがこのトーナメントは

ペアの友情と信頼を破壊する」


ルーティは自分の教卓のイスから立ち上がり

後ろの窓の外を見る。

2人は自分たちの相手との相性の悪さに気付き

行き詰まってるということが分かる。


他のトーナメント出場者の様子を

ルーティは自分で見てきたが

どこも同じような状態に陥っているようだった。


このトーナメントはただ勝つだけではなく

ペア組むことでの協調性、判断力、決断力、思考力を

問われる場なのだ。

1年生の入学して間もなくして行われるのは

まだお互いを知らず信頼関係を築けていない状態から

どうやって対戦相手を倒すのか、ペアの情報を共有して行動する必要がある。

短期間であらゆる事をしなければいけない状況に

陥れる事で

能力以外の部分で優れた能力者をふるいに掛け

より明確にピックアップする事も目的の1つだった。



「さてさて、どう打開する?

ダナン、アミティエ」


ルーティは夕日に目を細めながら言った。





トーナメント開催の3日前の日。



ダナンとアミティエはこの前の暗い空気感は無くなったものの

決定打が見付けられずお手上げ状態だった。


2人は夕食を食べに食堂に来ていた。

それぞれに食べたい物を注文し、トレイを持って

席に着いた。

会話はせず、黙々と食べた。


するとテーブルの横に2人の男が現れた。

コンコンとテーブルを軽く叩き、合図をする。


「よぉ、そこの2人もしかして俺らの対戦相手かぁ?」


ダナンとアミティエは顔を上げた。

そこには対戦相手のジョンとジョニーが立っていた。


「警戒しないでくれ。俺らはただ挨拶しに来ただけだ。俺はジョン。こっちがジョニー」


「よろしくなぁ!」


ジョンはブロンドの髪に緑の瞳で

ジョニーはブロンドの髪に青の瞳をしていた。

しっかりしている方がジョンで

見た目がチャラそうな方がジョニーである。


ダナンとアミティエは立ち上がり挨拶をした。


「どうも、俺はダナン。ダナンリマダ。

よろしく」


「私はアミティエマクラウドです。よろしく

お願いします」


4人は互いに握手を交わした。



ジョンとジョニーが2人だけで話すと

ジョニーがおちゃらけた感じで言ってくる。


「まぁ話す事は無いんだが、俺たちは相手がEランクだろうが手加減せずに行くからよ。よろしくな」


ダナンとアミティエは自然と頬が緩んだ。


「あぁ!俺らも全力で行くぜ!」

「うん!」


「俺らチームダッシュは最速だからよ!

トーナメント当日は楽しみながらやろうぜ!

その方が自然に全力出せるっしょ!」


ジョニーがそれを言うとあばよと言って

去っていった。




ダナンとアミティエは

ジョンとジョニーのように気楽に考えて良いのだと

分かった。

2人は今の全力で勝負することにした。


だが、トーナメント当日まで決定打は見つからなかった。













新しいキャラクター、ジョンとジョニーはどうでしたか?

気に入ってもらえたら嬉しいです。

次はトーナメントの本編に入れそうかも。

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