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アラウザル 〜無限の力、覚醒の時〜  作者: 逆さのかかし
1章 戦いの準備
4/13

新入生歓迎トーナメント編 〜3weekトレーニング〜

トーナメントの準備期間が始まります。


先日の能力確認テストから4日が経った。

まだトーナメントの詳細は発表されていない。

4月は座学からスタートするようだ。

ダナンは退屈で仕方なかった。

早くトーナメントで強い相手と戦いたくて

毎晩毎晩、興奮して眠れていない。

そのせいか授業では居眠りの常習犯になった。


「おーい、ダナン。また居眠りか〜。

起きてくれないと困るぞ〜」


「はぁ〜い。起きてまーす」


このやりとりも数日で定着するようになってしまった。

ニルスとミノーは何年も1年生のままなので

教科書は用意しているが

授業の内容は聞いてはいない。

唯一真面目に授業を受けているのは

アミティエ1人だった。

ルーティが片眉を上げて3人に向けて言った。


「お前たち、アミティエを見ろ!

ちゃんと受けてるだろ〜?

見習ってだなぁ〜…」


「先生〜もう何回も聞いてるんで

わかりまーす」


「俺も何年も親の声より聞いた所を

やるのは正直退屈ですね」


「お前らなぁ…!」


ルーティは彼らがそういうのも分かる。

このアカデミーは授業で何をしても良い。

一般教養を教えても良し、能力について

基礎を教え実践の講習をしても良い。

生徒に何を教えるかは教師による判断に

丸投げされていた。

他のクラスは能力を更に底上げしようとする教師もいるが

やはり、このアカデミーを卒業した時に

一般の能力を持たない人と共に共存出来る人になって欲しいとルーティは思い座学を教えているのだ。

基本的にクラスで授業をする者はいない。

能力の強化、制御に励む事がここでは一般的である。



ルーティは教本を閉じ

4人の顔を見た。


「よし、今からトーナメントついての話をしよう」


「え?まだ発表されてないんじゃなかったんですか?」


「いや、ダナン。トーナメント自体の話じゃなくて

お前とアミティエに闘い方を教えておこうと思ってな」


「え?アドバイスって出来ないんじゃ」


「あれはトーナメント発表されてからは出来ないが

発表される前なら大丈夫なんだよ。

それじゃあ話すぞ」


ルーティはダナンとアミティエに闘い方への

提案を事細かく話した。


ダナンは近接戦闘がメインになり、アミティエは

その援護をした方が良いという提案をした。


ダナンの能力は相手の近くで発動すれば良いが

もし離れた位置で能力による攻撃をされ能力を

発動しても右手で直接攻撃しなければ

脅威では無いということ。


アミティエは近距離、中距離での戦闘は可能だが

先日のテストを見た限りでは

戦闘スタイルがカウンターの傾向があった。

斬撃を飛ばしたのはダナンに言われたから飛ばしただけで自らの意思で攻撃したのはカウンターだけだったと話した。


アミティエはその話を聞いている最中

頷いてその通りだと示した。


更にアミティエがあのテストでダナンに向かって

歩いたり走ったりしていなかった事を話した。

つまり最初の場所から一歩も動いていなかった。

それはアミティエが闘いを恐れたり

相手に恐怖を抱いていない事の表れだった。


ダナンはそれを聞いてアミティエが

強い奴だと分かった。


アミティエはキョトンとし

やはり無意識下で全て行っていた事が伺えた。


「まぁ俺が見た限りではこんな感じだ。

あとはお前ら2人で考えてお互いにバランスの取れた

闘い方を見つけてくれ」


ダナンは突然立ち上がり叫んだ。


「うぉぉぉぉぉお!楽しみになってきたぁぁ!

なぁ!アミティエ!」


「う、うん。私は普通くらいだけど」


ルーティは今日はここまでと言い

教室から出て行った。

ニルスとミノーも2人に励ましの言葉を言い

出て行った。


ダナンはアミティエに昼食後

俺の部屋に来いと伝えて去った。


アミティエは昼食後ダナンの部屋に訪れた。

扉の前に立ちトントンと扉を叩いた。

中からダナンの返事が聞こえた。


「はーい。アミティエか?入っていいよ〜」


「お邪魔しまーす」


部屋の中は意外と整理整頓されていた。

物もさほど置いてある訳ではなく

生活するのに必要なものと備え付けのテレビや

エアコン、冷蔵庫くらいしかなかった。


「あ、ごめん!イスこれしかなくて

これ座って!」


ダナンはアミティエにイスに座るよう促し

冷蔵庫からオレンジジュースを2つ持ってきて

1つをアミティエに渡した。


「ありがとう」


ダナンはアミティエの目の前に地べたに座った。

飲み物を一口飲み話す。


「まぁアミティエとトーナメントについて

話したいなって思ってさ。ここに呼んだんだ」


「うん。なんとなくそうかなって思ってた」


ダナンはいつもより緊張していた。

少しの間、下を向いて口をつくんだが

再び話し出した。


「なんか、俺だけ盛り上がっててさ。

アミティエはどんな心境なのかなって。

俺は戦ったり能力使う事が楽しいというか

今まで本当の自分を出せなかった分

今はとても開放的に自分を全力で出せる事が

楽しいんだ。トーナメントもさ、アミティエと

ペアで出るだろ?だから、お互いの事もっと知っておいた方が良いかなって思って俺の話をしたってわけさ」


アミティエはダナンが心を開いて話している事に驚いていた。

入学してまだ日も浅い相手に自分の心境をキチンと

話すなんて

とても真っ直ぐで優しい人だと感じた。


「私はダナン君ほど能力を使う事が楽しいとは

感じない。何か苦しい思い出があるからとかじゃないけどダナン君ほどの思いはないよ。

でも、戦う事は嫌いじゃないし

それに気持ちを聞けて良かった。これならダナン君を

ちゃんと援護出来る。

それにダナン君、言葉に出さなくても

雰囲気とかでどんな気持ちなのか分かる」



「おいおい!単純ってことかなぁ?」


2人はお互いの顔を見て笑いあった。


_____


次の日、ダナンはいつも通りに起きて

教室に向かった。

教室に着くと

アミティエとルーティしかいなかった。

ニルスとミノーは今日は来ていない。


ルーティが席に着くように促す。

席に着くと神妙な面持ちで話し出す。


「ダナン、アミティエ…ついにトーナメントの

組み合わせが発表された。組み合わせはこれだ!」


バンッと黒板に縦長の紙を貼り付けた。

それをダナンとアミティエは近づいて確認した。

だが、そこにはチーム名しか書いてなかった。


「えっと、先生?対戦相手どころか

俺らのチームが分からないんですけど!?」


「あぁ、言ってなかったな。お前らはこれだ」


「ダブルワン…?これが俺らですか?」


「そうだ。勝手にチーム名を付けてしまったのだが

良かったか?特に意味は無いんだがな」


「良いですね!カッコイイ!」


「うん。ダブルワン、いいですね」


ダナンとアミティエは喜んだ。


「さて、お前らの対戦相手だが

このチームダッシュだ。

今から詳しく話していくぞ」



トーナメントに出場する生徒は名前と能力の詳細

ランクがトーナメント表と別で発表される。

ちなみにこのトーナメント表と生徒表は

2年生と3年生にも公表される。

アカデミーの三大イベントの1つになっている。

トーナメントに出場する1年生は48人。

スーパースペックコース、能力向上コースを合わせた

人数と同じである。


チームダッシュは双子の兄弟で能力は

高速で移動するとだけ書かれていた。

ランクはD。

兄はジョン、弟はジョニー。

双子が同じ能力という事は特別珍しいことではない。


「まぁこんな所か」


「え!?先生!それだけですか!?」

ダナンはあまりにも少なすぎる情報に驚いた。


「ばーか。言っただろ?発表されたら

迂闊に言えなくなるって

これ以上言うとアドバイスすることになるからダメだ」


「ちぇ〜さすがにこれだけだとキツイよなぁ〜。

アミティエ〜」


「た…確かに私も情報が最低限過ぎるかなって

思いますけど。ただ対戦相手Dランクなんですね。

48人もいて」


「全く、知らんのか?

今年はEランクはお前たちしかいないんだぞ?」


ダナンとアミティエは驚愕した。

他に能力ランクがEの生徒がいない事に。

自分たちのクラスが他の生徒より離れている訳が

ここで分かった。


「まぁ1つ助言するとしたら

チームダッシュの双子は自己強化系の能力だ。

もうこれ以上は言えない。それじゃあな。

トーナメント当日まで何も口出し出来ないから

自分たちで計画立ててやるようにな。

それからトーナメント当日まで

3週間しかないから効率よくやれよ」



ルーティはそそくさと教室を出て行った。




これから3週間のトレーニング期間が始まる。



トーナメントはすぐに始めたいのですが

中々、指が追いつきません。

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