表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アラウザル 〜無限の力、覚醒の時〜  作者: 逆さのかかし
序章 最初の出会い
3/13

プロローグ 秘めたる力の露見

今回は初の戦闘シーンがあるので楽しんでいただけたら嬉しいです。


闘技場は3つあり

その中の1番大きい所に集合だった。

朝8時50分、ダナンは少し早めに着くように向かったつもりが既に先生を含め全員が着ていた。


「ダナン、10分前に着いて偉いぞ。まぁ他の奴らはもっと早く来ていたがな。

全員揃ったのでこれから説明していく」


ミノー、ニルス、アミティエは

昨日とは少し違う運動着を着ていた。

かなりスポーティな格好だ。


「今日はお前たちにいきなりだが

戦ってもらう。

事前にだな、一度こっちで色んな身体検査を

していると思うのだが百聞は一見にしかずと言うだろ?

俺に見せて欲しい。どれだけ戦えるのかをな。

ちなみにここは30分しか使えないから

急ぎでやるからそのつもりでいてくれ」


ミノーとニルスは嬉しそうな顔をしていなかった。

「またー?もう何回もやったよぉ〜」

ミノーは前屈みになり腕をプラプラと

揺らしていた。


ダナンは動きたくてウズウズしていた。


「よし、男女でペアを組んでくれ。

その組んだペアで戦ってもらう。

まずは同じ学年同士組んでみてくれ」


ダナンはアミティエの隣に行き

顔を見た。

「アミティエ!よろしくな!

楽しみにしてるからよ!」

それに反するようにアミティエは浮かない顔をしていた。

「うん…あんまり自信無いし

手加減してね?」





ミノーとニルスはまたやるのかと

2人で言い合っていた。


先生の指示でペアを組み

それぞれの位置に着いた。

先生は上のテラスのような所からマイクを使って

指示をした。


「いいか、今から10分間

なるべく全力で戦ってくれ。

これは能力と身体能力も見ているから

手は抜くなよ。それからアミティエ、お前だけが

武器持ちだから寸止めする様に」


アミティエは返事はせずに頷いた。



「それではよーい、スタート」

先生の号令と共に大きなファンファーレが鳴った。



1番最初に動いたのはミノーとニルスだった。

「ニルス〜、さっさと終わらせようよ〜。

だからちょいガチで行くよ〜」


「そんなの最初から分かってるって」


2人は構えてから突然走り出し

拳と拳がぶつかった瞬間、爆風が起こった。

それを目にしたダナンは武者震いをした。

本当に自分の力を使える所に来たと

今、しっかりと感じたからだ。


「アミティエ!先生も言ってたけど

手、抜かないからよ!そっちも全力で来いよ!」


「分かったけど、まだ心の準備が…」

ダナンはアミティエの話を最後まで聞かずに

全速力で走り出した。

耳元で風を切る音が聞こえる程の速さで

アミティエに近づいていく。


あまりの速さにアミティエは構える事を忘れていた。

「ダナン君!ちょっと待って…!」


ダナンは我慢の効かなくなった猛獣の様に飛び掛かる。

「待てないっての!」


「わぁ!」

アミティエは咄嗟に持っていた山嵐を盾に身を守った。

ダナンの突き出した右の拳はアミティエを後ろへと

押していく。

それに対抗するようにアミティエも踏ん張る。

だが、ダナンの力がそれを押し通る。

後ろへと飛ばされるアミティエは驚いた。

素手の相手に飛ばされたのは初めてだったからである。


「アミティエ、どんどん行くぜ!」


ダナンの心は高揚しきっていた。

全力で戦える場所を全力を出せる相手を初めて見つけたからである。

山嵐を持ったアミティエに物怖じせず

パンチのラッシュを繰り出す。


「おら!おら!おら!おら!」


「ダナン君、待ってってば…!」

アミティエはラッシュの猛攻を食らい防戦一方に

なっていた。


その時だったダナンは空気が冷たくなったのを

感じた。

アミティエから強い殺気を感じ取った。

ダナンは鳥肌立ち、パンチのラッシュを躊躇した。


その一瞬の隙にアミティエはカウンターを出した。

ダナンのパンチを剣の腹で弾き

剣を体の横で構え

少しだけ息を吸い無呼吸状態に入った。


ダナンはカウンターを食らい体が少しだけ

中に浮いた状態にあったため回避が出来ない事に

気付いていた。あと3秒で地面に足が着くが

アミティエの顔を見る限り足が着く前に切る顔をしていた。


「辻斬り…」



だがアミティエは剣を振るう直前にふと我に返り

ダナンに全力で避ける様に言った。


「ダナン君!避けて!」


「さすがに無理だっての!!」


アミティエは剣を振るうのを制止しようとしたが

体が剣を振るう流れに乗っていたので

抑制を少ししか掛けられなかった。

その一振りで白い斬撃が向かいの壁まで

飛んでいった。

壁に当たった途端、爆発したような音が鳴り響いた。

アミティエはダナンを切ってしまったと涙ぐんだが

すぐにその涙は必要無かったと感じることになる。


「焦った〜。てか、あんなの食らったら

さすがに俺でもキレちまうよ」

アミティエの目の前にブリッヂしたダナンがいた。

体を起こしアミティエの顔を見て笑ってくる。


「え?ダナン君生きてる?」

「なに言ってんだよ!生きてるに決まってるだろ?」

ダナンは後ろに数歩下がり再び構える。

そして突拍子も無い事をアミティエに言う。


「さっきの奴って何発も出せるのか?」

「え?さっきのって…」

「斬撃だよ。あれって何発も出せるのかなって

思ってよ」

「だ、出そうと思えば出せるけど…」

「なら、俺に当てるつもりで出してよ」


アミティエはダナンがあまりにも無謀で危険な事を言ってる事に言葉が出なくなる。

もし直撃すれば間違いなく一刀両断され

かすめるだけでも腕が飛ぶ可能性もある。

なのに何故、あんな余裕な顔をしているのか不思議で

仕方なかった。

応える他に彼を諦めさせる方法は無いと思い

アミティエはダナンの申し入れに応える事にした。



「ダナン君がそこまで言うなら斬撃出すけど

全部絶対に避けてね」

剣を構えるとダナンも体を低くして

走り出す準備に入った。

最初の飛び掛かって来た時とは違い冷静さがあると感じた。


「ふん!いっけぇ!」

アミティエは1発目の斬撃を飛ばす。

ダナンは斬撃の軌道を読み、上手くかわす。

それを見て、間髪入れずに斬撃を繰り出した。

ダナンは斬撃の飛んでくる位置が正確な事に

驚いていた。

次、着地するであろう場所に少し早めに

斬撃を飛ばす事で着地させないようにさせていると

分かった。

しかも、それを多分だが本能的のうちにやっていることも。

ダナンは自分の頭の中で立てていた作戦を変更して

1番リスクがある物を選ぶ事にした。

今、飛んで来てる斬撃が2発、2、3秒後に

飛んでくる斬撃を含めると3発になる事を確認し

避ける事をやめ、アミティエの正面に向かって

全速力で走り出す。


「え!?ダナン君!?」


このままアミティエに突っ込むつもりで

走り出したダナンは勘だけで避けていた。

3発目の斬撃をなんとか避け

アミティエの手前3メートルまで来たところで

上へ大きくジャンプし殴りかかった。

アミティエは山嵐で守りの構えをし

ダナンは再びカウンターをしてくるだろうと気付いた。

右左と殴った後に剣の腹で弾かれ、剣を横へ構えた。

さっきとは顔つきが違かった。

手加減をする意思のある顔だった。

だが、剣の構えを緩める様子は無かった。

アミティエは斬撃を手前1メートルのダナンに

放った。


するとダナンに当たる直前に目の前が白く光った。

そして斬撃が消え、ダナンは無傷のまま

光の中から現れた。


「え?ダナン君、斬撃当たったよね…?」


「ん?あぁ当たったよ。確かに今な」


ダナンの左腕が赤くなっていた。

何かを我慢するように右腕に力を入れていた。

だがその我慢は限界を迎えた。


「くっ!ダメだ!アミティエ、俺から離れろ!

地面を思いっきり叩くから!」


「う、うん!」


アミティエはすかさず後ろへ下がり

ダナンの方を見た。

するとダナンは右腕を地面に叩きつけた。

その瞬間、もの凄い地鳴りのような音と共に地面が

めり込んだ。


戦っていたニルスとミノーも止まり2人の方を見た。

「ダナン君、スゴイ…」

「今、何が起こったんだ?」


上から見ていたルーティは驚愕していた。

手元にある事前の身体能力検査には

ダナンとアミティエは能力レベルがE。つまり

能力は持っているが発現していないという判定が出ていたからだ。

それとは全く違うことが目の前で起きている。

ダナンは斬撃を避けたのではなく

吸収してそれを右腕に自らの力に変えて攻撃していた。


アカデミーでの身体能力検査では

自ら能力のON、OFFが出来るという確認と

その威力を確かめるだけで終わりだ。

検査時に能力を出したが

能力による攻撃をされなかったから見えなかったという事であろう。


ダナンは能力により放出された物を吸収し

それを自らの攻撃へと変化させている。

今まで見た事のない能力だった。


アミティエがE判定なのは検査の時に

多分剣を持っていなかった事が原因だろう。

アミティエは剣を持つ事で能力を制御出来るように

脳が認識しているのであろう。

風を操る能力という事が分かる。

剣を振るう時に体の周りに風が起きている。

だが、本人は全く気付いていない。

能力を持っている程度にしか理解していないのであろう。


ルーティはまだ3分残してあったが

急遽終わりの合図を出した。


「よし、良いだろう。4人ともありがとう。

私がそちらに行くから少し待っててくれ」


ルーティは4人の元へ向かうまでに

これからの予定を変えなくてはいけないと考えた。

もしかするとダナンとアミティエの2人は

最上ランクのSランクはあるかもしれない。

最上ランクの能力者は現存している人も含めると6人

その内1人はアカデミーの理事長がそれである。


ルーティは4人の所まで駆け足で行き

見た結果を伝えた。


「ミノーとニルスは今回も問題なし去年と一緒だ。

ただ、ダナンとアミティエは問題ありありだ」


「え!?問題ありなんですか!?」

「もしかして、さっきので壁を破壊しちゃったから

とか…?」


「違う!そんな事じゃない。お前たち

事前の検査の結果知ってるのか?」


ダナンとアミティエは

マズイことを聞かれたかのような顔をした。

2人とも目を泳がしルーティと目を合わせないようにした。


「まぁ良い。今見た感じ

お前ら2人は最低でもBランクはある。

何故、ここに来たのか俺には全く分からない」


「Bランク!?アミティエちゃん!ダナン君!

スゴイね!」


「先生、それが本当ならスゴイ」


ニルスとミノーは本当にスゴイことなのだと

伝えた。

だが当の本人達は全く分かっていないようだった。

ルーティはダナンに自分の能力の詳細を聞いた。


「ダナン、お前の能力を教えてくれ。

さっき見た感じだと斬撃を吸収していたように見えたが」


「先生、よく分かりましたね!

その通りです!さっきアミティエの放った斬撃を

当たる直前に左腕で吸収したんです」


「なるほど。だが、あの地面を凹ませた物は

なんだ?」


「あれは吸収した斬撃を自分のエネルギーに変えて

右腕で地面を叩いたんです。

一度吸収すると数十秒程体内に留められるんですけど

放出しないとダメなんですよね。

名付けて吸収&体内還元(absorption &Reduction)」


ルーティの予想通りだった。

あの一瞬で吸収しエネルギーを自らのパワーに変えて

攻撃する能力。


「アミティエは自分の能力がどういう物か

正確に理解しているか?」


「え…?いや、剣を振ると斬撃が出るくらいしか…」


「やっぱり分かってないか」

ルーティは頭を抑えて首を振った。


「いいか?俺の見立てだがお前は風の操る力を

持ってる」


「え!?そうなんですか?」


ルーティはこの2人が自分の所に来たのが

次第に分かってきた。


能力を持つ者は男であろうが女であろうが

常人より勝る運動能力をそれぞれが平均して

持っている。

だが、この2人は判断力や動体視力

対応力、能力の高さの面で長けている。

さらに運動能力も高い。


ダナンは軽々とあの斬撃を避けていたが

ニルスやミノーでも避ける事は不可能だ。

そもそも、武器を持ったましてや近接武器を持った

相手に接近戦を挑もうとは考え付かない。

しかもアミティエは斬撃を飛ばしてくる。

アミティエは近距離から斬撃の威力の出る

有効範囲の

数十メートルの中距離までが攻撃の射程範囲になる。

今日のテストでは分からなかったが

もし自ら動き出したらアミティエの攻撃範囲は更に拡大する。

近づく事もほぼ不可能なのに

ダナンの決断力には驚かされた。

下手をすれば真っ二つに切られていた可能性もある中で真正面から突っ込むとは考えも付かない。

それは自分の能力を少なからず過少評価せずに

自信があるからこそ出来る事だ。


そしてアミティエの加減の仕方にも恐れ入る。

アミティエはダナンが交わせるギリギリの

斬撃を飛ばしてた。

ダナンが確実に避けられる事があの

数回の斬撃を避けた事を見て確信出来たからこそ

成せたのだ。

ルーティはこの2人が総合的に見て良いペアになると考えた。


「よし、今のを見て安心した。

入学してまだ2日しか経っていないが

あと1週間もすれば

毎年恒例のあれが詳細も含めた物が発表されるだろう」


「あれが今年も行われるんだな」

「でも、今年の2人は期待できそう!」


ダナンとアミティエはキョトンとした顔でいた。

ダナンが先生に聞く。

「あれってなんですか?」


「あれってのは新入生歓迎トーナメントだ」


「それってなんですか!」

ダナンはそれを聞いてワクワクした。


「まぁ新入生だけで行われるトーナメントだな。

ここではクラスが決まった後、他の生徒と交流する機会が殆ど無い。だから、自分の自己紹介と能力を

見せる場だな。それから2年生や3年生にもな。

しかも優勝したら景品も出る」


「うぉ!!楽しそう!」


「それって危険なトーナメントですか?」

アミティエだけは引きつった顔だった。


「ただのトーナメントだ。

それでだ、それに新入生は必ず出場しなければ

ならない。しかもペアでだ」


「なるほど、それで俺とアミティエを戦わせたんですね!」


ダナンは理解が早く話がスムーズに進む。


「これからダナンとアミティエは

そのトーナメントに向けてトレーニングをしてもらう!それから俺やミノー、ニルスの指導は受けられない。2人で考えてトレーニングをしてもらう!

酷かもしれないが毎年のルールなんだ。許してくれ。

詳しいことは発表されてからだ。今日は解散、自由にしていいぞ」


ルーティは闘技場から去っていった。


ダナンとアミティエはそれぞれのロッカールームで

シャワーを浴び着替えを済ませ自室に戻った。



ダナンは期待に胸が高まった。

同い年の強い奴と戦える。その興奮が止まらなかった。


ーーー


アミティエは山嵐を壁に立て掛け荷物を置き

山嵐の前に座った。

山嵐の刃の腹を指先で撫で独りでに心の声が漏れる。

「あの時、ダナン君に攻撃されてその後の一瞬の事を覚えてない。気付いたら剣を振ろうとしてた。

なんであんな事を…」


考えても良くは分からなかった。

アミティエは再び立ち上がりベッドに横になった。

まだ昼前だが今日は随分疲れた。

うとうとしている内に眠りに落ちた。

その後、起きたのは夜の7時だった。







ダナンとアミティエの戦闘シーンを上手く書けたのでしょうか

瞬間瞬間を上手く書けていたら良いなと思ったり。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ