オーク達の集会
早朝。オーク城には、殺伐とした空気が漂っている。
玉座の広間には沢山のオーク達が招集を掛けられ集合している。
オーク達は皆、なにごとか、と雄々しく目をギラつかせているのだ。
玉座には隻眼のオークが威風堂々と座っていた。
このオークはオーク頭領と双璧をなしている人物で、ゾディアスという名だ。
身体は通常のオークより一回りも二回りも大きい。
また片目には獣に切り裂かれたような爪痕が残っている為、それが統率者としての貫禄を後押ししていた。
「裏切者が現れた」
ゾディオスの言葉に周囲がざわめきだす。
そして気弱そうなオークが恐る恐る手をあげた。
「ゾディオス殿。う、うらぎりものって、本当なんですか?」
「ああ。本当だ。裏切者は我らのリーダー、オーク頭領だ。
理由は分からないがダークエルフに寝返ったようだ」
「な、なにかの間違いじゃないんですか? 御頭がそんな......」
気弱そうなオークは、とても信じられない、と額に手を当てる。
他のオークも同様、信じられないと言わんばかりに首を振る。
「おいお前ら。こっちにこい」
腕組みをしながらゾディアスは叫んだ。
すると玉座に数体のオークが近寄った。
「昨夜の出来事をそのまま話せ」
数体のオークは、サスペンス映画を語るように恐る恐る話を始めた。
「オ、オデは深夜、一階で警備をしていたんだ。
すると御頭が現れた。そしてこう言ったんだ。"秘蔵のえっちぃ本を入手した"、と」
「お、おれにもだ。"物凄くえっちぃ本"を入手したから一緒に見ようって」
「ボ、ボクなんて、えっちぃ本の付録に付いてきた"パンティー"をあげるって言われたんだぞ」
周囲にどよめきが起こる。
「鎮まれ!! 賢い俺はこの発言を聞いてピンッときた。
御頭はこの"えッちぃ本"を独占しようとしている」
ゾディアスは自信に満ち満ちた声音で言い放つ。
オーク達は静まり返る。そしてーー。
「流石はゾディアス殿。恐るべき推察力だ」
「少ない情報からそこまで読み取ることが出来るもんなのか」
「うおおおおおおおお。今度からオデ等のリーダーはあんただ」
「ゾッディアス。ゾッディアス」
口々に褒めちぎった。
「よし!! お前ら。俺についてこい!! 御頭から秘蔵のエロ本を奪うぞ!!
奪った暁には、皆で、この広間で読書会だああああああああああ」
気持ちを一つにしたオーク達の雄叫びが城内に響き渡った。