SCP-000-EXc-a【隔離記事No.1】
注意:
以下の文書は貴方の記憶を失わせる可能性があります。
重大なレベルでの記憶の損失を生み出させる訳ではありませんが、もしあなたがテスト週間でその息抜きにこの文章を読もうとしている場合や、これからスーパーに行って夕食の材料を買ってこようとしている場合、この文章を読むのは後回しにするのが懸命であるように思われます。
これは一種の文書保護規格であり、この文書の所有者 "ICP財団"(2020/6/3追記:仮名「SCP財団」より改名)によって意図的に施されている、
「条件に不適合である、もしくは閲覧者が財団にとって害を及ぼす可能性が高い場合にのみ発動する」プロトコルによる物です。
記憶処理のレベルはICP条項168:16に則り、最低限かつ閲覧者に影響のないレベルで行われますが、一時的な記憶喪失の可能性があるのは確かです。
その為、直前の出来事を忘れても構わないという人のみ意識クリアランス認証へお進み下さい。
以下の文書はレベル2クリアランスを持つ人員にのみ公開が許可されています。
必要なクリアランス無しに以下への閲覧を試みる場合、簡易神経スキャンの後に記憶処理プロトコルが発動し、貴方の5時間前までの記憶を消去します。
その後、全くランダムなWebページ(SCP関連を除く)へと自動的に移行し、このサイトの閲覧履歴を自動消去します。
s
in
sjtmw
ahtexjmw
out
grep
tpgadwkpxdt'gam.
@#atwgdjawpsapjjm
tjdwtqkwpgt'jdktwnwmeajgjtndbjxm
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jddwa&_ztadwxh.)nkamq
w&dwt&agp_jtjm
rEs E.,&#t
sotv
正常な意識の認識を確認。ファイルを提示します。
ようこそ担当職員様。
ーーーーーSCP-000-EXcーーーーーーーーーー
ばみなすぐとりよ、こやなますいみよ、
喰らえ、喰らえ、喰らえ。
ながふるときを、いするぐ道を謳歌して。
我が惨状に、てきはなし。
叩け、叩け、叩け。
みちずる意味を、あざける夢を咲かせて。
彼の景観に、幸があらんことを。
つれろ。つれろ。つれろ。
つれろ。叩け。叩いて、砕け。喰らえ。
くらえ。
(2020/6/3追記:以前と内容に少々の変化あり。000の特性自体に影響は無し。)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アイテム番号:SCP-000-EXc
オブジェクトクラス-safe
特別収容プロトコル:
SCP-000-EXcが、他のSCPに晒されることがあってはなりません。それは例えネットワーク上のハイパーリンクによる繋がりであったとしてもです。(詳細は後述)
SCP-000-EXcは、その概念をこのページに全て記した上でその他の文書を全て廃棄することが研究員全員に義務付けられています。
もし、情報の漏洩による収容違反が発生した場合、それらの情報を全て廃棄(必要であればO-5の許可の元、専用の情報削除プログラム”回帰”、もしくは機動部隊”空夢”を用いることができます。)、またその後、SCP-000-EXcの存在を認知した民間人にはBクラス記憶処理が施されなければなりません。
説明:
SCP-000-EXcは文書形式の言葉の羅列です。しかし、所々存在しない形容詞が使用されており、その文章が表す日本語的意味合いについて、音義論や、「将来的に新たな形容詞が生まれる可能性」といった観点を中心に議論が行われていますが、未だに有効な結論には辿り着けていません。
SCP-000-EXcの特異性は、SCP-000-EXcが他のSCPの情報(以下SCPiと記述)と 関わりを持った 時に表れます。
この 関わりを持つ の概念は非常に多様であり、
・SCP-000-EXcが記された紙が、他のSCPiが記された紙と触れ合った時
・SCP-000-EXcが記されたWebページと、SCPiの情報が記されたWebページと「直接のハイパーリンクで繋げられた」場合
(これはSCP-000-EXcを記述しているHTMLの中にSCPiページへのリンクが記述してある場合、もしくはその逆を指す)
などこれまでの実験結果では36の例が挙げられています。
しかし、現実性のある接触としては上の2つの例が有力視されており、他の特殊例への対策の優先度はこの2つの例よりも低いとされている為、現状、上記の2例への対策を推進しています。
SCP-000-EXcがSCPiと関わりを持った場合、その関わりを持ったSCPの一部、もしくは全部を「現実化」させます。
(306-D事故報告参照)
以下はその過程を簡略化して記述したものです。
1.
SCP-000-EXcが記された紙が、他のSCPiが記された紙と触れ合った時、双方の紙に書かれた内容に変化が現れる。
SCPiの情報が記述された紙では、徐々にその紙に印刷された文字がひらがなに変換された後、そのひらがなが欠落していき(速度は3.86文字/s)、SCP-000-EXcが記された紙(以下SCP-000-EXc-aと記述)には消えた文字がランダムな位置に現れる。
2.
全ての文字がSCP-000-EXc-aに移ると、20秒から2日の静寂の後(*1)、SCP-000-EXc-aは変化を起こす。SCP-000-EXc-aはSCPiの通りの形に変化し(概念系のSCPだった場合、SCP-000-EXc-aは跡形も無く消え去る。)
その後SCPiの性質を持ち始める。概念系のSCPiの場合はその様な認識障害を辺り一面に発生させる。
以上の様な収容違反が発生した場合、SCPiに記された通りの対策を取ることで再び元のSCP-000-EXc-aに戻すことが出来ますが、SCPi情報が印刷された紙は失われたままとなります。
紙同士の距離が近いだけではこの変化が発生する事はありません。
また、SCP-000-EXcが記されたWebページ(以下SCP-000-EXc-bと記述)がSCPiの情報が記されたWebページ(以下SCPiページと記述)と直接のハイパーリンクで繋げられた場合、
1.
リンクを繋ぎ、ページの遷移ができるようになった瞬間、SCPiページのソースコードから文字が少しずつ消えていく。
(この場合、漢字はひらがな変換されるものの、アルファベットはアルファベットのまま消えていく。速度は紙同士の場合とほぼ同速。)(*2)
2.
全ての文字がSCP-000-EXc-bに移ると、20秒から2日の静寂の後、SCP-000-EXc-bは変化を起こす。
SCP-000-EXc-bが表示されているPCの画面(SCP-000-EXc-b をhtmlとして表示していない場合はそのソースコードが保存されているPCの画面)から、少しずつSCPiページに記載されたSCPが実体として出力される。
(貞子、或いはプリントヘッドの無い3Dプリンタを想像して貰えればその通りである。)
紙の時同様、現れたSCPはSCPiの通りの形に変化し、その後SCPiの性質を持ち始める。概念系のSCPiだった場合、画面からは何も出ていないように見えるが、画面の周囲は靄が立っているように歪んで見える
概念系のSCPiの場合はその様な認識障害を辺り一面に発生させる。
以上のような特異性が見られることが明らかになっています。
その記事、及び紙に記載されている概念に”SCP-XXXX”という名前が付いていない場合、その記事の記述形式がどれだけ大元のSCPに近かったとしてもSCP-000-EXcの特異性は発現しません。
(*1)一定の速度で写し取った文字を読み解いているのだという推測がなされている。実際その速度は文章量に比例しており、56文字/s前後であることが実験結果から導かれている。
(*2) その際、タグやヘッドタグの内部など、画面には表示されない部分も消えていくが、SCPiページとSCP-000-EXc-bを繋いでいるhrefタグに関しては、どの事象に際しても最後まで消える事はなかった。htmlタグが先に消える事はあったにも関わらず、「どうやってSCPiページがhtmlとしての体裁を保っていた」かは現在調査中となっている。
306-D事故報告: 削除済み
ーー「SCPiに記された通りの対策を取る?」
ふざけるな、今の俺たちにそんな財力も権力も、資材だってありゃしない。偶然収容出来たSCP-▪️▪️▪️▪️は兎も角、後の奴はどうやって収容すりゃ良い?全部を収容するにゃ、地球の表面積丸々使ったって足りゃしねぇぞ。
ーー齊藤 博嗣 博士の苦言
補遺1.
以上のSCP-000-EXcの特異性、及びSCP-000-EXcによって具現化されたSCPがSCP-000-EXcの特性を受け継いでいない可能性を否定しきれない事を考慮し、今後現実世界に具現化したscpの情報はこちらのローカルページへと記載し、【隔離記事】と記す事で、大元のSCPとの接触を回避すること。
また、【隔離記事】を記述する際、SCP-000-EXcが、その隔離記事をSCPだと認識し、変化する事を防ぐため、オブジェクト番号はICP(isolation、Concealment、parallel)を使用すること。
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我々がSCPを記述したのは、単なる冗談だった。こんなのが居れば良いな、とか面白いな、とかその程度の認識で、ワクワクしながらあの赤と白のページに思い思いの想像をぶつけていた。現実でないことは当然だった。その創作の中で好き勝手人を殺して、最強の生物を作って、悲しい物語、残酷な物語、ほんの少しのハッピーエンドを綴った。
ただ、それが今現実となろうとしている。現実離れした残酷さが、冷淡さが、現実を壊す万能さが、parallelが、私達の現実を壊す津波となって、虚構から押し寄せてくる。
たった一つの入り口から、膨大な量のファンタジーが、我々という名の現実を殺しに来るのだ。
我々が初めてSCP-000-EXcを発見した時、もう既に手遅れだった。SCP-■■■■他、■■■体が顕現してしまった。
我々には財団の様な力も金も権力もない。大学から出来る限りの研究者を集め、これらの不可思議現象に挑んだものの、我々に打つ手はほぼ皆無だった。人の発想力に脱帽する他なかった。
結果、■■体のSCPは未だ収容違反を起こしている。情けない話だ。だが我々に何が出来るというのか。かの世界のような超人がいるわけでもなく、寄せ集めの機動部隊しか組む事はままならず、Thaumielのような有効的対抗手段も殆ど持ち合わせていない。
実験結果と記しているが、ほとんどは収容違反による結果論だ。我々による失態だ。
だが、それでも私達は闘わなければならない。
生み出してしまった者として。それが父としての、母としての責務。
失態を利用してでも彼らの事を知らねばならない。それが創造神が罪を償える唯一の手段。
我々の全力を持って、彼らをあるべき世界へ。
Isolation.Concealment.Parallel
我ら、ICP財団。
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内容の8割方はフィクションですので、お気になさらず。
作中に登場する団体やSCPは以下のサイトを参考にさせていただいております。
・http://scp-jp.wikidot.com ・http://scpjapan.wiki.fc2.com/m/