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作者: 潮路

仕事って何だろうと思う時がある。


 私がIT業界に入って、もう少しで3年になる。

 多忙、中傷、プレッシャー。沢山の苦しみによって転職を考えたことは数知れない。それは今も同じだが、こんな地の底でも長くいると、攻略法が分かってくるものである。

 どうも、IT業界と呼ばれる場所は―――優しさを捨てると、途端に有能扱いになるらしい。


 IT土方という言葉をニュースサイト等で聞くことがあるように、SE、プログラマーと呼ばれる存在はいわゆる歯車だ。世の中に生きるサラリーマンならば歯車扱いは当然のことだろう、という意見があるかもしれないが、IT業界でのそれは、ひどくいびつな、ところどころ錆びついている柱時計に、無理やり規格品の歯車を突っ込むような、不条理を感じさせる。

 もっと言えば、土木作業員という表現も、いささか違うように思われる。作業が多い、きつい、という点は確かにその通りだが、IT業界というのは、そこに対人関係(顧客、会社内、同業者間)の軋轢や認識相違、システムという目に見えないものを取り扱うことの難しさが加わっている。

 その要因が一体、何を生むのか。有り体に言ってしまえば「不平等」と呼ばれるものである。A4用紙1枚の定義書に、何日もの歳月をかける中で、ペースを握ったものは、好きにルールを変更し、好きなように仕事を貪り、当然のように定時で帰宅する。そして手綱を握り損ねたものは、西部劇の奴隷のごとく、手足を縄で結ばれたまま、暴れ馬の疾走と共に、地べたを引きずり回されることになる。

 

 就職を期に上京した私は、IT業界の何でも屋を目指そうとしている小さな会社で、派遣作業員として仕事をしている。自社開発をする程の規模も影響力も存在しない為、専ら大企業が立ち上げる新企画のアシスタントとして参画、要員を派遣することがIT企業の動きとなっているからだ。

 会社に入ったばかりの私はまだ、IT、システムと呼ばれる媒体に可能性を抱いていた。そして、プログラマ、SEという種族に希望を抱いていた。その頃にはIT業界での過酷な労働は各メディアで取り上げられ、十分に覚悟することが出来た上での、選択であった。

 愚かなほど純粋な、同期よりも少し物知りで、調子付いていた当時の私に語れることはただ一つだ。ITにSFを求めるな―――効率を求める為にシステムは作られるが、それを作るのは人間達なのだ。そして、その大半は、効率が悪い。


 入社し、私が初めて参画したプロジェクトは、同業者曰く「タイタニック」と称されるものであった。私は、順調に航海を続けるその船に乗船し、ものの見事に迷い込むことになるのである。

続きがありそうな書き方だが、実際どうしようかと思っている。

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