メキシコ国境に壁を
『不法移民を追い返・・・』
男は赤ら顔の巨漢を見つめる。
数時間前まで状況の変化に驚いていた彼だが、
落ち着きを取り戻し、その巨漢に鋭い視線を送っている。
テレビのニュースに驚いたが、もう大まかな内容を掴んでいた。
「敵が大勢攻めてくるようなものだな」
彼は呟いた。
天を見上げる。
こうしている時、自分の戦術を練っている時だ。
『メキシコ国境に壁を・・・』
「愚かな」
彼は吐き捨てた。
「戦を知らない」
彼はテレビの画面を指差す。
国境付近の風景が映っている。
「まず、カラボリだ」
彼は画面に指を添わす。
「空堀の外堀で、相手の勢いをそぐ」
彼は一つ頷く。
「空堀した土で土塁を築き、
内堀には水を貯める」
彼は知らなかった。
メキシコ国境付近が乾燥地帯であることを。
「そして、柵を立て、隙間から、種子島で・・・」
彼は銃を担ぐ、格好をした。
「そうすれば、工期も費用もかからない」
そう言うと、深紅の甲冑で身を包んだ彼は重そうな兜を取った。
「真田堤と名付けよう」
彼は大阪夏の陣からタイムスリップした真田幸村だった。
『真田丸』楽しみだな~
そっか、今日は日曜日じゃなかった~