~第九十五話~私とユーリの活動記録その10~
はい、今回もレイン視点の話となっております。
「朝になりました~」
そんな言葉が聞こえて、目が覚める。
目が覚めて、思い出す事は……私達は、シグルンの町の宿屋「ルーンライト」に泊まったと言う事だった。
目が覚めたので、同じ部屋に泊まっているユーリはどうしたんだ? と思ったので、ユーリを確認してみると……まだ寝ているようだった。
「ユーリ、朝になったみたいだぞ」
私がそう言うと、それに反応して、ユーリが目覚める。
「……おはようございます、レインさん」
「ああ、とりあえず……食事をしてから、この町で必要な物を揃えないか?」
「はい、解りました」
そう決めて、私達は身だしなみをチェックした後、部屋を出て、食堂へと向かう事にした。
食堂に辿り着き、空いている席に着くと、ここの従業員の見た目が子供っぽいのがやって来て
「おはようございます、今日の朝食のメニューは、パンを中心にした創作料理となっておりますが……ご注文されますか?」
「ああ、じゃあ……それを頼む」
「畏まりました、少々お待ち下さい」
そう言われて待つ事、数分後
色々なパンが、運ばれてきた。
「レインさん、結構美味しそうですね?」
「そうだな……まあ、食べてみないと解らないけど……頂くか」
「はい」
そう言って、出されたパンを食べてみる。
味付けが良いのか、結構美味しくて、つい沢山食べてしまった。
食べ終わった後、受付に行き、そこにいる従業員に預かって貰っていた武器を持って来て貰い、宿代を払って、町の外に出る。
町の外に出てから、必要な物を揃える為、道具屋を探す事にした。
町の中を歩いて数分後、道具屋を見つけたので、中に入る。
店内には、色々な品物が置かれていて、その中から発掘用の道具と、携帯用を食料を買い込む事にした。
発掘用の道具は「ショベル」とか言うらしい。
うん、聞いた事の無い名だが、店員が言うには、これを使って穴を掘るには最適な道具とか言っている。
まあ……使えれば問題はないか……
色々と書き込んだので、手持ちのお金が少なくなってしまったが、今受けている依頼で、多く持ち帰れば、結構な額になると思うので、持ち運べる限り、持って帰ろうと思う事にした。
「ユーリ、必要な物は揃えたから、そろそろ行こうか」
「確か……この町から南の方角ですよね?」
「そうだったな、ユーリは方角は解るか?」
「それは大丈夫です、解ります」
「よし、なら問題は無いな? じゃあ、行くぞ」
「はい」
そう決めて、私達はシグルンの町から南に向かう事にした。
シグルンの町の外に出て、南に向かっていると、前方から走りこんで来る物がいたので、よく確認してみると、走って来たのは、魔物の前にも戦った事のある魔物、カイザーウルフだった。
カイザーウルフ一匹だったので、私は自分の剣を構えて、ユーリに
「ユーリ、援護頼むぞ」
「わ、解りました」
ユーリも自分の杖を構えて、戦闘態勢を取り、カイザーウルフが突っ込んできたので、戦う事になった。
カイザーウルフの攻撃方法は、良く解っているので、カイザーウルフの動きを良く読んで、回避行動を取る。
回避は、上手く成功して、隙が出来たので、持っている魔法剣で斬り付ける。
あっさりと命中し、動きが鈍くなった所に
「行きます! ビーム・レイ!」
ユーリの魔術が発動して、カイザーウルフに命中
私の攻撃とユーリの術で、怪我する事無く倒す事に成功した。
カイザーウルフが消滅したので、落ちているアイテムが無いか確認してみると、何も無いみたいなので、私はユーリに
「ユーリ、他に魔物の気配とかするか?」
そう聞いてみると
「辺りを見渡しても、魔物の姿が見当たらないので、大丈夫だと思います」
「そうか……じゃあ、行くか」
「はい」
剣をとりあえず仕舞って、私達は目的地、グリーン洞窟へ向かう事にした。
移動する事数十分後、洞穴らしき物が見え始める。
「ユーリ、あれが目的の場所だと思うか?」
「そうですね……他に洞窟らしき物が見当たりませんし、あの洞窟が、目的の場所「グリーン洞窟」だと思いますよ」
「そうか……良し、なら中に入ってみるぞ」
「解りました」
そう決めたので、私達は、グリーン洞窟の中に入る事にした。
中に入ってみると、光が入ってこないからか、真っ暗でほとんど何も見えない状態だった。
「レインさん、ここは私に任せて下さい、行きます! ライト・アップ!」
ユーリの術が発動して、光の玉が出現、その光の玉の効果で辺りが良く見えるようになった。
良く見えるようになって感じたのは
「ユーリ、この洞窟が何故、グリーン洞窟と呼ばれるのか、解った気がするな」
「はい、そうですね……この洞窟の全体の色が緑色をしているから、そう呼ばれたんだと思います」
明かりに照らされて、洞窟内を見てみると、壁の色が緑色で、地面だけが土の色をしているからであった。
はっきり言うと、少し不気味な感じがしてしまった。
「とりあえず……奥に目的の物があるかも知れないから、奥に進む事にしようか」
「解りました、じゃあ、行って見ましょうよ」
「ああ」
そう決めた後、私達は奥へと進んでいく。
洞窟内は風があるからか、ひんやりとしていてちょっと肌寒く感じた。
まあ……魔物の姿が無いので、安心して奥に進んでいくと、大きな空洞に辿り着く。
空洞内は、段差になっていて、下へと続いているみたいで、他に道は無かったので、下に降りていく事にした。
下に下りて行くと、分かれ道になっていて、右と左に分かれている。
「ユーリ、どっちに進んだ方がいいと思うか?」
「えっと……右の道の奥に石像らしき物があるのが見えて、左には何もないですけど、地面が穴だらけに見えますね……この場合……右が安全かと思うんですけど……」
「それはどうしてだ?」
「あの穴だらけの道、もしかして……歩いていたら大きな穴が空いて、落ちちゃうかも知れないじゃないですか、だから右が良いと思います」
「成るほど……じゃあ、ここはユーリの言うとおり、右の道に進む事にしよう」
「はい」
右の道に決めて進んで行くと、人型の石像が十体以上、様々な姿の石像が、バラバラに置かれてあった。
「この石像……もしかして……」
「ユーリ?」
「もしかして、この石像、元は人間だったんじゃないですか? 確か……魔物の攻撃か、石化魔法で石になった状態が、こんな感じだった筈です」
「……確かにそうかもな? でも……そうだったら助けるか?」
「……時間がかなり経過していると思いますし、助けるのは無理かと……今は、グリーンムーンの採掘に専念しましょうよ?」
「……そうだな」
石像の事はほっとく事にして、奥に進んでいくと、掘った跡らしき場所があった。
その先に立て看板があり、その立て看板に「奥は危険、危険指定の魔物存在」と書かれてあった。
「なんか……親切な看板が立てられてるな……」
「きっと、この洞窟にやって来た誰かが立てたんじゃないですか? 危険指定の魔物ですか……レインさん、今の私達で勝てると思います?」
「……不可能に近いかもな……仕方が無い、この場所を掘って探す事にするか」
「そうですね」
そう決めた私達は、持って来た道具で掘ってみる事にした。
けど……ほとんど掘りつくされたのか、いくら掘っても何も出なく、体力だけが消耗されていき、狭い洞窟の中なので、ちょっと息苦しくも感じたりして、私はユーリに
「ユーリ、ここは一度引き返した方が良いかもな?」
そう言うと
「はい……かなり疲れましたし、シグルンの町に戻りましょうよ? 時間的に夜になりそうですよ?」
「それもそうだな……良し、掘った穴を元に戻して、戻るとするか」
「了解です」
元通りに戻す作業に結構時間がかかってしまい、グリーン洞窟を出た頃には、もう夕方になっていた。
シグルンの町に向けて、戻る事にして、途中魔物と遭遇したけど、スラームだったので、一撃であっさりと撃退、シグルンの町に辿り着いた頃には、夜になっていた。
町の中に入り、宿屋「ルーンライト」の中に入って、受付の女性に同じ部屋を要求、武器を預けた後、部屋に行こうとすると、ユーリが
「レインさん、あそこにいるの、コウさんとリムさんじゃないですか?」
そう言って来たので、確認してみると、確かに、コウとリムの姿を発見、これは手伝ってもらうチャンスか……? と思ったので、私はコウ達に話しかける事にしたのであった。




