~第八十六話~ユーグレストの町~ハーフエルフに遭遇しました~
ルルルルと鳴り響いている音で、目が覚める。
目が覚めて想う事は……今日で異世界生活三十日目と突入したと言う事だった。
部屋の中で鳴り響いているのは、今、俺達が宿泊している場所「ユーグレ」の部屋の中の時物と呼ばれる物が鳴り響いているので、それを止める事にした。
止めた後、こんな五月蝿かったのに、一緒に泊まっていたリムは、起きなかったのか……? と、そう思ったので、リムを確認。
確認してみると、大音量で鳴っていたのに、眠りこけている。
しかし……改めて見てみると、可愛いと思う。
寝ている姿も美少女に見えるので、もし、リムが俺の事を好きなのだとしたら……
俺って、人生の勝ち組じゃね?と思ってしまう。
ま……体触って、エロイ事をしようとしたら、その中にいる「レイナ」が何かしら言って来るかもしれないし、その行為をやって、リムの好感度が下がったら、何か嫌だと思うので
俺は、寝ているリムに近づき、普通に起こす事にした。
「おきろ、リム」
「ん…………おはよう……」
「おはようじゃねーよ? 何であんな大きな音が鳴り響いていたのに、その音で目が覚めないんだよ?」
「え? 大きな音とか鳴っていたかしら?」
「俺が止めるまで、鳴り響いていたぞ?」
「そ、そう……えっと~……私、一度寝ると、なかなか起きる事はしないのよね? 昔からそうなのよ」
「そうなのか?」
「ええ、コウ? 起こしてくれてありがとね」
「まあいいが……まずは……朝食だな」
「そうね」
そう決めて、忘れ物が無いかをチェックした後、部屋を出る事にした。
部屋を出て、食堂に向かうと、お客に料理を運んでいる、見覚えの無い女性がいた。
その女性の髪の色が緑色をしていて、かなりの美少女に見えるのだが……その女性を見て俺は、急いで近づいて、確認してみる事にした。
「あんた」
「は、はい? な、何でしょうか?」
「もしかして……エルフだよな?」
そう、この女性の見た目が、ゲームとかに出てくる、耳が尖っているので、エルフと呼ばれる種族なんじゃね?と思ったので、そう声をかけて見たのだった。
うん、さすが異世界、エルフがマジでいるとはな?
「えっと……私はエルフでは無く、ハーフエルフなんです」
「そうなのか?」
「はい、私の名前は、トリスと言いますです。 父親がエルフで、母親が人間なので……私は、正真正銘のエルフでは無いですよ」
「成る程……ところで」
「はい?」
「ハーフエルフと言う事は、エルフ特有の術とか使えたりするのか?」
「えっと……実は私……魔術をあんまり習ってなかったので……父様が「魔術はいいぞ!」と言って、私に習わせようとしたのですが……」
「ですが?」
「習う事をさぼって、ここにいるんですよ? だから、ほとんど魔術は使えないですね」
「そうなのか……で……なんで従業員の格好をしているんだ? クリスはどうしたんだよ」
「師匠の事ですか? 師匠は、女将様の手伝いをしていますが?」
「は? 師匠だと?」
「え、ええ」
そう話していると、従業員姿のクリスがやって来て
「あ、コウさんリムさん、おはようございます」
クリスがそう言って来たので、俺は
「クリス」
「は、はい?」
「何でこのハーフエルフに師匠とか呼ばれてるんだよ? 全然師匠に見えんぞ?」
「いきなり失礼ですね? コウさん? えっと……最初にですね? この宿屋「ユーグレ」に、このハーフエルフのトリスさんに、私の手料理、パンケーキを披露したら、何故かそう呼ばれるようになってしまいまして……それから、ずっとそう呼ばれているんです」
「はい、師匠の作ったパンケーキは、凄く気に入りましたので、それを作れる師匠は、凄いと思ったんです! 私……師匠の作るパンケーキが、大好物になりましたし」
「そうなのか……じゃあ、何でここで働いてるんだ?」
「えっと……ちょっと色々ありまして……行く所が無かったので、その事を女将様に相談したら、雇ってくれたんです。 何でも「師匠よりは、使えるかも知れないしね」とか言われました」
「え……? 母さんがそう言ったの?」
「はい、でも私、師匠の方が凄いと思っていますよ?」
「あ、うん……ありがとう」
何かクリスが、落ちこんでいる風に見えるが……まあ、気にしないでおく事にして
「クリス、今日の朝食のメニューって、なんだ?」
俺がそう聞くと
「あ、そうですね、今日の朝食のメニューは、コケッコの肉を使った創作料理となっています、今、お持ちしますね?」
そうクリスが言って、数分後
料理が運ばれて来て、リムと一緒に食べてみる。
味に関しては、濃い味付けで、かなり美味しかった。
しかし……コケッコとか呼ばれてる肉なのだが……このコケッコって、一体どんな生物なんだ? ま、美味しいし、気にしないでおく事にするか……
あっという間に食べ終わり、女将さんに宿代を支払った。
宿代を支払った後、クリスが
「コウさん、私、着替えて来るので、外で待っていてくれませんか?」
そう言うので
「解った、じゃあ、行くか? リム」
「ええ」
そう決めて、リムと二人で、外で待つ事数分後
「お待たせしました」
そう言って現れたのは、青い魔術師の服を着た、クリスの姿だった。
魔術師の帽子もかぶっているので、見た目的に言うと……クリスも美少女の部類に入るので、ちょっと可愛く見えたりしてしまった。
「じゃーん、どうですか? コウさん」
「どうって?」
「この服の事ですよ~この町から離れる事になりますしね? 新しい服装に着替えて来たんです、私的には似合っていると思うんですけど、どう思います?」
「うん、私は似合っていると思うわよ? ね? コウ」
「……ま、いいんじゃね?」
「むー……反応が薄いですね~まあいいです、えっと……お二人は、シーザリオ海岸に行くんですよね?」
「そう言う事になるな」
「クリスちゃん、その……シーザリオ海岸って、このユーグレストの町から、どれくらい離れているのかしら?」
「そうですね……このユーグレストの町からですと、歩きで一時間後に到着すると思いますよ? 途中……魔物が現れるかも知れないですけど、でも、コウさんなら、楽勝じゃないですか?」
「そうか? ちなみに……現れる魔物って、どんなのだ?」
「そうですね……クサライムとロンリーウルフと、あと……ちょっと厄介なのが、シザークラブと言う魔物です」
「シザークラブ?」
「はい、赤色をしていて、二つの鋏を持っていて、その鋏で攻撃して来るんです、すばやいですし、少し厄介ですよ」
シザークラブ……と言うか、それって……思いっきり蟹の事じゃね?
でも、俺の術で、何とかなりそうなので、大丈夫だと思うので
「ま、問題ないな? さ、クリス? シーザリオ海岸に案内してくれ」
「あ、はい、了解です、では、私について来てくださいね?」
「ああ」
そう決めて、俺達は
クリスに案内して貰い、シーザリオ海岸へと行く事にしたのであった。




