~第七十五話~ベゼルバード王国~魔術大会、第一回戦~
まず……状況を考えようと思う。
今、俺がいる場所は、ベゼルバード王国の中にある、魔術大会が開かれる会場の控え室にいたりする。
しかし……改めて思うのは、試合形式は一体どんななんだ? と言う事だった。
攻撃魔法をお互いに打ち合って、どっちかが負けるまで、戦うのか? とか思うし、まあ……今の俺、攻撃魔法なんか、一つも覚えていない状態なんだよな? でも、俺の術の使い方によっては、勝ち進んでいけると思う。
まずは……情報を集める事が先決だな……
そう思っていると、この控え室に案内して貰った女性、ユコがやって来た。
「コウ様、お待たせしました、では、試合のルールをご説明しますね?」
「試合のルール?」
「はい、この魔術大会は、戦闘形式で行われますが、戦闘が行われて、負けて死亡した場合、私達が責任を持って、戦闘が行われる前の状態に戻します、ちなみに危なくなったら、棄権するのも認められています、では、会場に案内しますね? 私の手を握って下さい」
と、ユコがそう言って来たので、俺はユコの手を握る。
すると、ユコが、懐から杖を取り出して
「では、転送術を使います、スピードリレイン」
そう言った瞬間、ユコの体が光出したと思ったら、全く別の場所にいた。
その場所は、正方形に象られている地面に、巨大な球体をした青い膜みたいなのが、その地面に張られていた。
「これは……?」
「これは、マジック・シールドです、このマジック・シールドの内で戦闘を行います、ちなみにあの四角い地面が試合会場となっていまして、あの会場から外に出た場合、強制的に負けとなります。それと制限時間を設けますので、その間に勝敗をつけて下さい。時間が過ぎても、勝負が決まらなかった場合、私達審査員が判断を決めますので、そのつもりでいて下さいませ、説明は以上ですが……他に質問はありませんか?」
「いや、ない」
「そうですか、では……これから一回戦を始めたいと思います、コウさん、早速あの、マジック・シールドの中に入って下さい」
そう言われたので、俺は言われたとおりに、マジック・シールドの中に入る事にした。
中に入って、考える事は、これってこのマジックシールドの中で、戦うと言う事なので、つまり……ボクシングっぽい感じだと言う事が分かった。
俺がマジック・シールドの中に入ると、ユコが
「では、貴方の対戦相手を、連れて来ますので、少々お待ち下さいね?」
そう言って、ユコがいなくなり、数分後
一人の鉢巻を付けた、男が会場内に入って来た。
見た目は……筋肉隆々のマッチョで、えらい強そうな感じがした。
あと、服装なのだが……上半身裸にボクサーパンツ一丁って、こいつ変態か?って思うんだが? そいつが、俺の姿を見て
「ほー、こいつが俺様の対戦相手ね~? こいつは余裕だなあ?」
と、にやにやしながら言って来やがったので、なんか……むかつくな? こいつ……って思ってしまった。
「では、コウ様対ビルベルブ様の対戦を行いたいと思います、制限時間は十分間です、十分間の間に、魔術を使って戦闘を行い、相手が戦闘不能か棄権した場合、その勝者が二回戦に進みます、それでは……ファイトです!」
と、何所からか取り出したのか、ユコが銅鑼を叩いて、試合開始の合図だった。
ビルベルブと呼ばれた男が、俺を見て
「そんじゃ、俺の魔拳でぶっとばしてやるぜ、ヒャハハア!」
とか言ってきやがった。
魔拳ね……と、俺は相手の出方を伺うべく、ビルベルブを観察する事にした。
ビルベルブは、パンツに挿してあった杖を自分に向けて
「ライジン・ハンド!」
と言った瞬間、ビルベルブの両拳が光り輝いた。
ふむ……今の術で、身体強化を上げて、殴り掛かると言う事か? こいつは
「準備完了、それじゃあ、おさらばだなあ! ヒャハハハァ!」
そう言って、俺に突っ込んで来たので、俺はダミー用の杖を持って、一言
「デス・トラップ」
そう言うと、ビルベルブの動きが止まった。
動きが止まり、ビルベルブが「な、何故だ? 何故、体が動かん!」と、驚いていたので、十秒立つ間に、俺はビルベルブに接近して、こいつの術は解かったので、俺は心の中で「シャドウコピー・ライジン・ハンド」と唱えると、ビルベルブの拳が光を失った。
「な、何しやがった」
「いや、あんたの術を奪っただけだぞ、それじゃ……試させて貰うな? ライジン・ハンド」
自分に向けて、俺が術を発動、頭の中にこの術の効力が、浮かび上がって、この術の効果はと言うと
ライジン・ハンド、三分間、拳の力を三倍に引き上げる効力と、解析出来たので、俺はビルベルブに向かって、思いっきり殴りかかった。
「お前が、吹っ飛べ」
「ギュボラーーーー!!」
変な叫び声をあげて、ビルベルブが数メートル以上吹っ飛び、マジック・シールド内を飛び出して、地面に激突、気を失ったみたいだった。
これを見て、ユコが
「勝者! コウ・ドリム!」
と宣言したので、どうやら……俺の勝ちみたいだった。
「では、コウさん、控え室に案内しますので、私の手を握って下さい」
と、ユコが言うので、言われたとおりにすると、ユコが
「では、スピードリレイン」
と言って、魔術が発動したと思ったら、控え室の中にいた。
「では、コウさん、二回戦の進出おめでとうございます、それにしても……全く聞いた事の無い術ですね? 何所で覚えたんですか?」
と、聞かれたが、俺はこう言う事にした。
「それは、秘密だ、あんまり詮索するなよ? あ、それと」
「はい?」
「あのビルベルフって奴は、この魔術大会で、どのぐらいの強さだったんだ?」
「あの人は、前回大会にも出場されていまして、けど、一回戦で敗退しましたよ? 今大会で参加しているメンバーの中では、弱い方だと思います」
「そうなのか?」
「はい、ちなみにですね? 前回大会の優勝者は、本当に強いですから、コウ様が勝てるかどうか、解からないですね?」
「ほう……ちなみに、どんな奴なんだ?」
「それは、対戦相手になったら、教えますね? では、二回戦が始まるまで、ここで待機していて下さい、それでは」
そう言って、ユコが部屋から出て行って、俺一人になった。
あのビルベルフが、弱い方ね……あの強がっていたのが、なんか笑えるな……ま、次がどんな奴が相手になるのか、解からないが……今の俺には、ビルベルフから奪い取った、ライジン・ハンドがあるしな?
これを使用して、戦ってみるか……と、思っていたのであった。




