~第七十三話~ベゼルバード王国~二度目のハーレムになりました~
ベゼルバード王国の冒険者ギルドで、前に一緒に行動した、レインとユーリに遭遇した。
「二人とも、久しぶりじゃないか?」
そうレインが言って来たので、確かに……久しぶりな気もする。
シグルンの町で別れて以来、遭遇していなかったしな?
「久しぶりです、コウさん、何か変わった事とかありました?」
ユーリが、そう聞いて来たので、俺は
「変わった事ね……あ、ここの魔術大会の参加チケットを貰ったから、それに参加してみようかとは、思ってるぞ」
「そうなんですか?」
「ああ」
そう話していると、クリスが
「あの、コウさん……私の魔術……」
「あ、そうだった、ユーリは会った事あったっけ? ユーグレストの町の宿屋「ユーグレ」の女将さんの娘の、クリスだ」
「クリスって言います、確か……お二人は、私の家の宿屋で、一回会ったんではないですかね?」
「そう言えば……そうだったな」
「ええ、私はユーリって言います、よろしくお願いしますね」
「はい、あの……」
「何でしょうか?」
「実は私……魔術をコウさんに封じられてまして……コウさん? この人が私の魔術を治せるんですか?」
「ああ、そう言う事だな? ユーリ」
「は、はい」
「クリスの魔術を治してやってくれないか?」
「えっと……それは、別に構わないんですけど……クリスさんが何故、そのような事に?」
「う……私が、ちょっとやっちゃいまして……」
ああ、そう言えば、クリスは街中で攻撃魔法をぶっ放したから、俺が魔術を禁止したんだっけな……
そんな事を考えていると、今まで黙っていたリムが
「それより、コウ……換金しなくていいの?」
と言って来たので
「あ、そうだった、おい、クリス、依頼を完了してからにするぞ」
「あ、はい」
そう言って、俺とクリスは受付に行く事にした。
その間、リムはレインと何か話しているみたいで、近況報告でもしているのか? とか思いながら、受付のランちゃんに話しかける。
「依頼を完了したんだが」
「あ、えっと……貴方は、コウさんですね? コウさんが今、やっている依頼は………ウルフデビルの討伐依頼ですね、では、依頼品を提出して下さいませ」
「ああ、クリス」
「はい、こちらが依頼品です」
そう言って、クリスがランちゃんに、依頼品を渡した。
「では、確認作業に入りますね…………確認が取れました、依頼料を持って来るので、少々お待ち下さいませ」
と言って、ランちゃんが移動して、数分後
「お待たせしました、依頼料の1000ベリカになります」
と言って、十枚の銀貨を渡して来たので、この一枚が100ベリカだと思う。
銀貨を俺が受け取ると、クリスが、もの欲しそうな目をして来たので、約束どおり、四枚をクリスに渡した。
「あ、ありがとうです、コウさん」
「約束だからな」
「コウ様、依頼……受けますか?」
そう、ランちゃんが言って来たが、明日は魔術大会だし、別に依頼を受けなくてもよくないか? と思ったので
「いや、いいよ、また別の日に受ける事にするよ」
「かしこまりました、またのお越しをお待ちしておりますね~」
そう言われた後、用事が済んだので、リム達と合流する。
リムに、依頼料の半分を渡した後、俺は二人に
「レインとユーリは、これからどうするつもりなんだ?」
と、聞くと
「そうだな……特に予定は入れてないしな……コウは、明日開かれるこの国の魔術大会に出場するつもりなのだろう?」
「ああ」
「じゃあ、観客として見てみる事にするよ、ユーリもそれでいいよな?」
「あ、はい、それでいいですね」
「コウ、依頼を完了したのだし、ここにはもう用は無いのでしょう?」
「まあな」
「じゃあ、宿屋に戻って、お休みしましょうよ? 暗くなってきているしね?」
「解った」
「じゃあ、私達も一緒でいいか?」
「全然Okだぞ」
「よし、じゃあ、行く事にするか」
「はい」
そう決まって、移動する事になり、冒険者ギルドを出る事にした。
冒険者ギルドを出た後、クリスが
「ちょ、ちょっと! 私の魔術は!?」
と言って来たので、俺は
「クリス、魔術戻して欲しいのか?」
「当たり前ですよ! 私……その為に来たんですから」
「そうか……もうあんな事とかしないって、誓えるか?」
「誓いますから、戻して下さいよ……」
「……解った、ユーリ」
「は、はい」
「俺じゃ、クリスの魔術は治せないんだ、ユーリの魔術で治す事が出来るんだが……前にユーグレストの町の「ユーグレ」で聞いたよな? ユーリに呪文「スペルクリア」をかけてやってくれないか?」
「あ、はい、解りました、じゃあ、行きますよ? クリスさん」
そう言って、ユーリが杖を取り出して、術を発動する。
「スペルクリア」
そう言った瞬間、クリスの体が一瞬だけ光り輝いて、元に戻った。
「えっと……術はかけましたけど……この術で、良かったんですか? コウさん」
「ああ、で……クリス、これで術が使える筈だ」
「ほ、本当ですか?」
「ああ」
「じゃあ……試して見ます」
そう言って、クリスが懐から、ミニロッドを出して、何か呪文を言った。
「ライト・アップ」
クリスの術が発動、目の前に光の玉が出現したので、どうやら……呪文は、成功したみたいだった。
「や、やった……戻った……うう……長かったよぅ……」
「クリスちゃん……良かったわね……」
「でも、クリスがあんな事したから、こうなったんじゃないか、自業自得だな」
「それ、コウが言う? まあやったのは、コウだけど」
「一体何があったんだ? 凄く気になるんだが……」
「聞かないで下さい……でも、これで術が戻ったんだし、これで元通りです!」
「で……帰るのか? ユーグレストに」
「……えっと……確かに目的は達成しましたけど……そんなに急ぐ旅でも無いので、私も魔術大会を観戦してから、ユーグレストに戻ろうと思います」
「そうか、じゃあまずは……宿屋だな」
「はい」
こうして、結局五人で、このベゼルバードの宿屋「リラクベゼル」に行く事になった。
あれ……よく考えると、今の状況、俺にとっては、ハーレムじゃね?
俺以外、全員女だし、しかも皆美人、王国の中を歩いていると、やたら嫉妬深い視線を感じる気もする。
とりあえず、そんな視線を無視する事にして、俺達は宿屋「リラクベゼル」に行く事にした。
宿屋「リラクベゼル」に辿り着き、前より人数が増えたので、部屋割りをどうするかで、相談する事になった。
で……結局どうなったのかと言うと、俺が一人部屋になってしまった。
一緒でも良かったんだが、レインが「コウ、ここは一人の方が良いと思うぞ? ここにいる他の男達が、コウの事を凄い目で見ているしな?」と言ったので、確かに確認してみると、他の宿泊客の視線が、俺に集中していた。
下手に刺激するより、それがいいかもな……と思ったので、それに賛成する事にして、武器を預けた後、部屋に案内して貰う事にした。
従業員に部屋に案内されて、考える事は、明日の魔術大会の事だった。
魔術大会と言う事は、色んな選手が参加する事になっていると思うので、まずは……どんな相手なのか、じっくりと観察して、俺のやり方でやって行こうと思っていたのであった。




