~第七十話~ベゼルバード王国~新しい依頼~
「朝になったみたいですよ~コウさん」
そんな声が聞こえて来て、目が覚める。
目が覚めて、自覚するのは……そういや、リムとクリスと一緒の部屋で寝たんだっけ……と言う事だった。
俺達のいまいる場所は、ベゼルバード王国の宿屋「リラクベゼル」の中にいるので、シグルンの町だったら、従業員のオリフィアが起こしにやって来るのだが、ここは違う宿屋なので、従業員が起こしに来ると言う事は無いみたいだった。
今日で確か……異世界生活二十七日目に突入したので、あと数日で、俺がこの異世界に来て、一ヶ月が経とうとしているみたいだった。
「あ、コウさん、起きましたね?」
そう言って来たのが、新しく行動する事になったクリスで、クリスもリムも、もう起きているみたいだった。
「二人とも、よく眠れたのか?」
「はい、バッチリですよ、そうですよね? リムさん」
「ええ、クリスちゃんって直ぐに寝られるみたいね? すぐに寝息が聞こえてきたしね」
「あ、はい、私……寝ると決めたら、すぐに寝られるタイプなんですよ」
「そう、で……コウ? 今日はどうするの?」
「そうだな……今日は、昨日も言ったとおり、この国の冒険者ギルドで依頼を受けようと思っているぞ」
「あの……私の魔術を治すと言うのは、いつ実行されるんですか?」
「それは、ユーリが見つかったら、頼んでみる事にするぞ、じゃあ、早速忘れ物が無いかチェックしてから、この部屋を出る事にするか」
「あ、はい、解りました」
「了解」
そう決めて、俺達は忘れ物が無いかをチェックした後、部屋を出る。
部屋を出てから、受付に行き、受付にいる男の人に宿代を払った後、武器を返して貰った。
武器を返して貰った後、宿の外に出て、ベゼルバード王国を見渡してみる。
建物の色が黒いので、ちょっと怪しい感じがしたが、俺は二人に
「まずは……朝食を取る事にしないか?」
そう言ってみると
「そうね、クリスちゃんもそれでいいわよね?」
「はい、あの……私は、お金を持って来てませんので、払う事が出来ないんですけど?」
「じゃあ、私がクリスちゃんの分も払うわよ、それでいいかしら」
「ありがとうございます、リムさん」
「いいわよ、じゃあ……早速やっている食事所でも探しましょうか」
「そうだな」
そう決めて、俺達は国の中を移動して、食事所に向かう事にした。
国が広いからなのか、ちょっと移動するだけで、あっさりと見つかり、お店の中に入る。
中に入って、値段を確認してみると、全ての料理の値段が300ベリカで統一されていた。
俺は気になったので、接客をしている女に
「この店って、全部300ベリカなのか?」
と聞いてみると
「はい、このお店はメニューの値段を全て、300ベリカで統一しているお店です、色々な品を取り揃えておりますので、注文をどうぞ」
そう言って来たので、俺はメニューを見た後
「じゃあ、このピザと書かれているのを頼む」
そう言うと、二人も
「じゃあ、私も」
「私もそれにします」
「ピザ三人前ですね? 少々お待ち下さい」
そう言われて、待つ事数分後、出された料理を見て、思った事
まず……ピザと呼ばれているのに、麺を使ったどっちかと言うと、スパゲッティーって感じで、かかっているソースが赤色をしていた。
俺が思い描いていたのは、パン生地を使ったチーズを載せたピザなんだが……この料理は、何か違くないか? と思うのだが……二人の感想はと言うと
「これが、ピザなの……始めて見るけど、美味しそうね」
「はい、いい匂いですね~……って、コウさん、何か不思議そうな顔をしていますけど、どうかしたんですか?」
「いや……何でもない、じゃあ、食うか」
「はい」
そう言って、俺達はピザと呼ばれた料理を食べる事にした。
味に関しては、うん……思いっきり、ナポリタンだった。
まあ、この国ではこれで「ピザ」って言っているらしいし、気にしないでおく事にするか……そう思う事にして、食べ終わった後、俺が300ベリカ、リムがクリスの分も合わせて、600べりカを出して、外に出る。
外に出た後、俺達は国の中を移動して、冒険者ギルドへと向かった。
冒険者ギルドに辿り着き、俺は二人に
「じゃあ、俺が依頼を受けに行くから、二人はここで待っていてくれないか?」
と言うと
「解ったわ」
「了解です」
「じゃあ、行って来る」
そう言って、冒険者ギルドの中に入り、受付担当の桃色の髪をした人、ランちゃんに話かける事にした。
「ランちゃん」
俺がそう言うと、ランちゃんが
「あ、コウ様ですね? おはようございますです、今日はご依頼を受けに来たのですよね?」
「ああ、そう言う事になるな」
「では、少々待って下さいね~依頼書を提示しますので」
そう言われて数分待ってみると、ランちゃんが
「お待たせしました~こちらが今日の依頼となっております」
そう言われて、依頼書を見てみると、書かれてあった内容は
ウルフデビルの討伐 1000ベリカ
魔法花 レッドの採取 500ベリカ
魔法花 ブルーの採取 500ベリカとなっていた。
魔法花ね……色違いと言う事は、このレッドとブルーは、採取場所が違うと言う事なのか? まあ……討伐依頼は一つだけだから、実験もしたいので、俺はランちゃんに
「じゃあ、このウルフデビルの討伐依頼にする」
「畏まりました、では詳細を教えますね~このウルフデビルは、カイザーウルフに二枚の黒色の羽が生えている魔物です、カイザーウルフと違う所は、飛行が加わったと言う事です、この国を出て、西に行った場所に、沼がありますので、その付近に現れる魔物です、この魔物を倒すと、バードデビルと呼ばれている羽が現れます、その羽を二枚で、依頼完了です、期限は特にありませんので、バードデビルを二枚持って来たら、それで依頼を完了とさせて頂きます」
「解った、じゃあ行って来るよ」
「はい、無理しないで頑張って来て下さいませ~」
そう言われた後、俺は冒険者ギルドを出て、待っていた二人に話しかける。
「依頼が決まったぞ」
「で、どんな依頼なの?」
「ウルフデビルとか呼ばれている魔物退治だ、で……この国から、西にいるとか言われたんだが……西の方角、解るか?」
「私はちょっと……」
「あ、私は解りますよ? 西はあっちです」
「本当なのか? それ」
「む、信じてないですね? 大丈夫ですよ、こう見えても私、方角を見失った事はありませんので、あっちの方角であっていますよ」
「ねえ、コウ? クリスちゃんが自信満々に言っているんだし、信じてみましょうか?」
「そうだな……じゃあ、クリス、案内してくれ」
「はーい……って、私も行く事になっているんですね……まあいいですけど、じゃあ、こっちです」
クリスにそう言われながら、俺達は、この国を出て、依頼
「ウルフデビル」の討伐に行く事にしたのであった。




