~第六十八話~べゼルバード王国~冒険者ギルド~
ここから、ベゼルバードに行けるのですか?」
「ああ、前に行った事がるから、ここから行ける事になるな」
「そうですか、これって転送陣ですよね? 初めて見ましたよ」
「クリスは、転送陣がどんなのか知っているのか?」
「あ、はい、魔術指南書に書かれてあったのを見た程度ですね、じゃあ、早速乗って見たいです!」
「コウ、イブルさんに料金を支払うのよね? どっちが支払う?」
と、リムが聞いて来たので、俺はこう言う事にした。
「じゃあ、俺が払うよ、先に転送陣の上にいてくれ」
「解ったわ、じゃあ、クリスちゃん、行きましょうか」
「はい!」
そう言って、リムとクリスが、先に転送陣の上に乗り、俺は魔術師の格好をしている男の人、イブルさんに「ベゼルバードに行くので、転送して下さい」と言うと、「じゃあ、代金は200ベリカですね」と言われたので、コイン袋から、200ベリカを取り出して、イブルさんに渡した後、転送陣の上に乗る。
転送陣の上に乗ると、イブルさんが「じゃあ、行きますよ!」と言って。、杖を振り、転送陣が光り輝いたと思ったら、シグルンの町から一瞬で跳んで、目の前の景色が変わっていた。
真っ黒な建物が立ち並んでいる所に、魔術師姿の女性が、俺達に向かって
「ベゼルバード王国へようこそ、ゆっくりとしていって下さいね?」
と、笑顔でそう言われた。
ゆっくりって言われてもな……この国って、観光名所とかあるのか? はっきり言って、国の建物の色が黒ばっかりで、ちょっと不気味なんだが?
そんな事を思っていると
「は~ここが、ベゼルバード王国なんですか~……うわ~何と言うか……凄い見た目って感じですね~」
「クリスちゃんは、初めてここに来たの?」
「はい、私、行った事のある所って、シリルの町とシグルンの町で、このベゼルバード王国には初めて来たって感じですよ……あ、そうだ、コウさん」
「ん? 何だ?」
「私の魔術を治してくれる人がこの国にいるんですよね? 一体どんな人物なんですか?」
「あ、それは私も気になったわ、一体誰なのよ?」
「ああ、そうだな、まずは……クリスの術を治してくれるのは、今、レインと行動していると思われる、ユーリが治せるぞ? だからクリス、魔術を治したかったら、まずはレイン達を見つける事だな」
「……えっと……こ~んな広い国の中から、二人を見つけないといけないんですか?」
「そう言う事になるな」
「……うう、気が遠くなりそうです……でも、この国にいる事は確かなんですよね?」
「そうだと思うぞ? 二人が別の場所に行かなきゃだけどな?」
「はあ……で……コウ? これからどうするの?」
「そうだな……まずは、魔術大会が何所で開かれるのかを、知っておいた方が良いかも知れないしな? だから俺は、国の中を探索するが……二人はどうするんだ?」
「そうね……私も国の中を見て回りたいわ、じゃあ二手に別れましょうか、クリスちゃんはどうする?」
「えっと……じゃ、じゃあ、私はコウさんについて行く事にします」
「そう、じゃあコウ、待ち合わせは、前にこの国で泊まった宿屋「リラクベゼル」にしましょう?」
「解った」
「じゃあ、コウ、クリスちゃん、それじゃあね?」
そう言って、リムが俺達から離れて行き、俺とクリスが残った。
「じゃあ、クリス、早速国の中を見て回るか」
「はい」
そう言って、俺とクリスも移動する事にして、国の中を歩く。
国の中を歩いて思う事は、何と言うか……魔術師姿の人物が、かなり多くいるって感じだった。
俺とクリスは、国の中を歩いて、大きな円形状の建物を発見したので、その中に入ってみる。
建物の中に入ると、男の人が出てきて
「何か御用ですか?」
と、聞いて来たので
「ここで、何かが開かれるのか?」
と、聞いてみると
「はい、ここは魔術会場となっておりまして、二日後にこの会場「マジックベゼル」で開かれるのは、魔術大会となっております、失礼ですが……参加証明書はお持ちですか?」
と、聞いて来たので、俺はバッグから、シグルンの町の冒険者ギルドで貰った、参加証明書を出して見た。
「これが、そうか?」
「あ、はい、そうです、これがあると言う事は、貴方は魔術大会の参加資格があると言う事になります、後ろにいるお嬢さんは、この参加証明書をお持ちですか?」
「いえ、私は持っていないです」
「では、貴方一人だけ、参加できると言う事になっていますね、ちなみにお名前は?」
「コウ・ドリム」
「コウ様ですね、では、コウ様、魔術大会に参加する場合でしたら、当日、私はここの受付にいますので、この参加証明書を私に提示して下さい」
「解った、魔術大会が開かれるのは、二日後なんだな?」
「はい、そうなります」
「そうか……じゃあ、クリス、この場所にはもう用は無いから、別の場所に行く事にするぞ」
「あ、うん」
そう言って、俺達は「マジックベゼル」から外に出て、国の中を再び歩く事にした。
国の中を歩いていると、クリスが
「コウさん、やっぱり見つかりませんよ~こんなに広い国の中なんですから~」
「……それもそうだな、そうだな……じゃあ、冒険者ギルドでも行って、そこで情報を集めるか」
「そっちの方が、見つかる可能性が大きいと思いますよ」
「そうか、よし、じゃあ、行くか」
「はい」
そう言って、俺達は冒険者ギルドに行く事にした。
国の中を歩いて、数十分後、冒険者ギルドを見つけたので、中に入る。
中に入ると、受付にいる女性を見て、ちょっと驚いた。
何でかと言うと、ピンク色の髪をしているからで、この異世界で色々な髪の色を見てきたけど、この色はすげーな……と思ってしまった。
まあ、考えたって仕方がないので、俺は受付にいる女性に話しかける。
「ちょっといいか?」
「はい、何でしょうか?」
「レインと言う名に聞き覚えはないか?」
「レイン……ですか? えっと……ああ、前に依頼を受けた方ですね、えっと……そのレイン様と、知り合いなんですか?」
「ああ、そう言う事になるな」
「そうですか……えっと……貴方のお名前は?」
「コウだ」
「では、コウ様、私はここの冒険者ギルドの受付を担当しております、モーランです、愛称はランと呼ばれていますので、どうぞ気軽にランちゃんと呼んで下さいね?」
自分でちゃん付けを強要してくるのかよ?
まあ、本人が良いって言ってるんだし、良いって事なのかもな?
「解った、ランちゃんでいいのか?」
「はい、むふふー貴方、ちょっといい人かもですね~他の人なんか、私がこう言っても「何言ってるんだ? こいつ」って感じの目で見られましたし」
そりゃそうだろう? とつっこんだ方がいいのか? これは
「まあ、気を取り直して、では、コウ様、今日は依頼を受けに来たのですか?」
そう言われて考える。
依頼か……この国の出している依頼が、どんなのか気になるしな?
そう思ったので、俺は、こう言う事にした。
「じゃあ、どんな依頼があるんだ?」
「はい、今ある依頼は、こうなっておりますよ~」
そう言って、ランちゃんが依頼書を見せてきたので、確認して見ると、書かれてあったのは
ネオクサライムの討伐 900ベリカ
スノータイラントの討伐 800ベリカ
ボルホーンの討伐 1000ベリカとなっていた。
……ネオクサライムとスノータイラントは知っているが……ボルホーンは知らないな?
値段は、平均的な感じがするかもな……
「あのーコウさん? 依頼受けるんですか?」
そうクリスが聞いて来たので、俺は
「いや、今日はいいや、見せて貰ってありがとうな、ランちゃん」
「そうですか~では、またのお越しをお待ちしておりますです~」
そう言われて、俺はクリスと一緒に、冒険者ギルドを出る。
冒険者ギルドを出た後、俺はクリスに
「クリス、これ以上動き回っても、疲れるだけだと思うし、今日はもうレイン達の捜索はやめにして、明日にしないか?」
「うー……確かに、そうですね……まあ、レインさんが、ここの冒険者ギルドを使用したと言う事だけでも解りましたし、この冒険者ギルドで会う事もあるかも知れないですよね……解りました、コウさんの言うとおりにします」
「ああ、じゃあ、宿屋に向かうぞ」
「はい」
そう言って俺達は、宿屋「リラクベゼル」へと向かう事にしたのであった。




