~第六十二話~私とユーリの活動記録その7~
はい、今回の話は、主人公ではなく
レインがメインの話となっております。
シグルンの町で、コウとリムに別れた後、私とユーリは、シグルンの町にある転送陣を使って、ベゼルバード王国に向かった。
ベゼルバード王国を一言で表すと……そうだな、まず見た目が黒いな?
建物の色がほとんど黒いので、色合い的に何か怪しい感じがするのだが……この国の人々は、それが当たり前になっている風に見えるので、問題は無いのか?って思ってしまう。
まあ……せっかく来たんだし、この国を色々と見て回る事にするか……
そう決めて、私はユーリに話かける事にした。
「ユーリ、このベゼルバード王国に着いたんだ、これからどうする?」
そう聞いてみると、ユーリが
「そうですね……まず、この国をお散歩してみませんか? 何所に何があるのか、知っておきましょうよ?」
そう言ってきたので、それにするかと決めて、この国の中を見て回る事にした。
国の中を歩いて思う事は、まず色々な人種がいる事だった。
私と同じく剣を装備している剣士がいたり、魔術師が着込んでいるローブを羽織っている人もいたり、あと、頭から猫の耳と猫尻尾が生えている、獣人と呼ばれる種族が普通に国の中を歩いていたりしたので、人種差別とかは無さそうな雰囲気だった。
とりあえず……私とユーリは、そのベゼルバードの国の中を歩いて、何所に何があるのかを覚える事にした。
まず見つけたのが、武器屋で、そのお店の中に入ってみると、体格のいい男が店番をしていて、私達を見て「お嬢ちゃん達、見た事が無いから初めてだよね? サービスしとくよ? あと……もし暇だったら、また夜にこの店に来てくれないかな? 飯でも奢ってやるぜ?」とか言ってきた。
これって営業のついでにナンパか……? と思ってしまう。
ユーリを見てみると、私の後ろに隠れてしまった。どうやら……苦手みたいだな? まあ、私もこの男を見たが……私の好みに合致していないので
「断る、必要な物は無いからな? 外に出るぞ、ユーリ」
「あ、はい」
そう言って、お店を出た後、ユーリに
「今の店員をどう思ったんだ?」
そう聞いてみると
「ちょっと怖かったです……何か……いやらしい目で私達の事、見てませんでしたか……?」
そう言ったので、確かに……そんな風な顔をしていたかもな……と、思ってしまった。
武器屋を見た後、冒険者ギルドを発見したので、その中に入ってみる。
中に入ると、私達と同年齢ぐらいの女が、受付にいた。
その女性を見て驚いたのが、まず髪の色である。
髪の色が、ピーチと呼ばれる果物と同じ色をしていて、リムの赤い髪の色とは色が、薄い感じがした。
そんな髪の色をしたのを始めて見て、凄い色だな……って失礼ながら、ちょっとそう思ってしまった。
まあ、この人が受付らしいので、私はこのピーチ色をした女性に話しかけてみる事にした。
「えっと……貴方が、受付だよな?」
「あ、はい、そうです、私がここのベゼルバードの冒険者ギルドの受付係、モーランです、皆さんから愛称でランって呼ばれてますので、気軽にランって呼んでくれて構いませんよ? 私が覚えている限りでは……初めて見るお顔ですね? お名前は何でしょうか?」
「レインと言う」
「では、レイン様、今日はどう言ったご用件でしょうか?」
そう言ってきたので、私は
「じゃあ、どのような依頼があるのか、見せてくれないか?」
と聞いて、ランに聞いてみる事にした。
「そうですね……では、依頼書を提示しますので、その中から選んで下さいね?」
そう言って、私に一枚の紙を見せてくる。
紙に書かれてある内容を見てみると
ネオクサライムの討伐 900ベリカ
スノータイラントの討伐 800ベリカ
ボルホーンの討伐 1000ベリカとなっていた。
これを見て考えるのは、ネオクサライムと、スノータイラントは、倒した事のある魔物なので、倒し方は解っていた。
気になるのは、このボルホーンだが…………うん、全く知らないな? 一体どんな魔物なんだ? 一応聞いてみるか……と、思ったので、私はランに
「ラン、このボルホーンと言うのは?」
「このボルホーンはですね? このベゼルバード王国から出て、ベゼルバード大陸に出没する魔物ですね、見た目は頭部に二本の角があり、四足歩行で歩く生物です、色が赤い色をしているので、すぐに解ると思いますよ? この依頼にしますか?」
そう聞いて来たので、ユーリに
「ユーリ、どうする? この依頼……引き受けてみるか?」
と聞いてみると
「そうですね……レインさんが決めた事なら、私は反対しないですよ?」
そう言って来たので、私はこう言う事にした。
「解った、ラン、この依頼、引き受けるぞ」
「畏まりました、では詳細を教えますね? このボルホーンは、ベゼルバード王国を出て、ベゼルバード大陸に出没する魔物です、四足歩行をする魔物で、攻撃方法は頭部にある二本の角で突撃してくる攻撃と、口元から火を吐いて攻撃してくる、火炎攻撃をして来ます、倒した時に現れる、ボルホーンの角を、二本持って来て下さい、それで依頼は完了です、期限は三日までとします、期限を過ぎますと、持ってきても無効としますので、注意して下さいね? では、お気をつけて下さいませ」
「解った、じゃあ行くか? ユーリ」
「はい」
そう言って私達は、ボルホーンの討伐依頼を引き受けた。
依頼を引き受けた後、早速ベゼルバード王国の外に出る。
外に出るとき、門番に「夜になると国の中には、立ち入り禁止としているので、国に用事があるなら、夜になる前に戻って来るように」と言われた。
門番の注意を受けた後、私達はボルホーンの捜索を行う事にした。
五分後……もっと時間がかかるとか思っていたんだが……あっさりとボルホーンらしき生物を発見、確かに体っが赤く、頭部に二本の角があった。
「あれが、ボルホーンみたいですね? レインさん」
「ああ、あっけなく見つかったな……もっと時間がかかると思っていたんだが……まあいい、早速倒す事にするか」
「あ、はい」
そう言って、私達は武器を構える。
ボルホーンは、私達に気がついたからか、攻撃態勢に入って来て、私達に突進してきた。
移動する速度がそんなに速くは無かったので、簡単に避ける事が出来て、その隙にユーリが魔術を発動した。
「え、えい! ビーム・レイ!」
ユーリの攻撃魔法がボルホーンに命中したので、様子を伺う。
ユーリの攻撃魔法を食らっても、止まる事なく突進して来たので、効いてないみたいだった。
「私の魔術では、ダメージを与えられないみたいです……」
「そうみたいだな……なら、私が!」
そう言って、私は剣を構えて、ボルホーンを切りつける。
固い感触を感じたが、切り刻む事に成功、体を真っ二つに切り込む事に成功し、切り口から火の効果が現れて、体を焼き尽くして、倒す事に成功したみたいだった。
倒した後、地面を確認したが、何も残っていなかったので、ボルホーンの角は無いみたいだった。
「ボルホーンの角……ないみたいですね」
「ああ、そのようだな……」
「じゃあ、ボルホーンを探しましょうか……でも、日が暮れる前には、ベゼルバードに戻りましょう?」
「そうだな」
そう決めて、再びボルホーンの捜索を行う事にした。
とりあえず、対戦してみて解った事は、ボルホーンの角を全く落とさないと言う事だった。
ベゼルバード大陸を捜索し続けて四時間、倒したボルホーンの数は、30体を超えたのだが、ボルホーンの角を全く落とさずに日が暮れそうだったので、今日は諦めて、ベゼルバード王国に戻る事にした。
夜に突入し、ベゼルバード王国の内部が明かりに照らされて思うのは、かなり綺麗に見える事だった。
ユーリも町の姿に感激したのか「凄い綺麗です……」と、喜んでいるみたいだった。
とりあえず……町の景色を見ながら、宿を探して、宿を見つけて、そこに泊る事にした。
泊って次の日、今日も依頼「ボルホーンの討伐」をしに、国の外に出ようとすると
「ユ、ユーリだよな!? 助けてくれ!」
と、ユーリに向かって、叫んだ男がいた。
その姿を見て、ユーリが
「カ、カイさん? どうしたんですか?」
えっと……確か、ユーリが前に組んでいたパーティの一人だったよな……?
一体どうしたんだ……?って思ってしまったのであった。




