~第六十話~お屋敷の値段を聞いて、資金を集める事を目標にしました~
シグルンの町に辿り着いた俺達は、冒険者ギルドへと行く事にした。
シグルンの町の中を歩いて数分後、冒険者ギルドに辿り着いたので、建物の中に入ってみる。
中に入ると、そんなに込んではいなく、カウンターにいる男の人も空いているので、俺はその人に話しかける事にした。
「前に依頼を受けた者なんだが……」
そう言うと
「えっと……確か……コウ様ですよね?」
「ああ」
「コウ様が受けた依頼は、盗賊団の撲滅の依頼を完了しまして、まだ……依頼料をお支払いしていませんでしたよね?」
「ああ、そうなるな」
「では、調査が終わりましたので、依頼料をお支払い致しますね? 少々御待ち下さいませ」
そう言うので、言われた通りに待ってみる事にした。
待つ事数分後、受付の男の人が
「お待たせしました、こちらが依頼料の6000ベリカになります」
そう言われて、大きめの袋を渡されたので、その中を見てみると、銀貨が沢山入っていた。
うん……さすがに大金になると、結構重くなるって感じだな……?
とりあえず、中身を確認した後、リムとわける事にして、リムに半分の3000ベリカを渡す。
それを受け取ったリムが「こ、こんな大金……いいの?」とか言っていたが、俺は「ああ、半分って決めてるしな? 仕舞っておけよ」と言う事にした。
半分の3000ベリカをコイン袋に入れた後、俺は気になった事があるので、聞いてみる事にした。
「あの」
「はい、何でしょうか?」
「前に言ったと思うけど、この町の町外れにあるお屋敷ってどうなったんだ?」
そう言うと
「えっと……確か、家を購入したいと言っていましたよね?」
「ああ」
「調査が完了して、あのお屋敷は今、改築中となっておりますね、ちなみに今、現在のあの家の正式な持ち主は、イゴールさんと言う方になっていますよ」
「イゴールなの!?」
今まで黙っていたリムが、驚いたみたいだった。
あ、リムじゃ無かったな? 今は幽霊のレイナがリムに憑依中なので、リム(レイナ)が驚いたのか
「はい、そうなっておりますが……」
「今、イゴールが何所にいるか解る?」
「はい、解っておりますよ」
「じゃあ、教えてくれないかしら?」
「解りました、では今いる場所を紙に書きますね?」
そう言って、受付の男も人が紙に書いた後、リム(レイナ)に渡していた。
「ありがと、コウ」
「何だ?」
「イゴールに会いに行きましょう」
「えらく唐突だな? ま、いいけどな? では、また」
「またのお越しをお待ちしております」
そう言って、俺達は冒険者ギルドを出る。
冒険者ギルドを出た後、気になったので、リム(レイナ)に聞いてみる事にした。
「ところで……そのイゴールって誰なんだ?」
「イゴールはね、私の家の執事をしていた男よ、まさか……イゴールがあの家の持ち主になっているとはね……私のお母様やお父様が持ち主だと思っていたのに……」
「そうなのか……まあ……住所は解ったんだろ?」
「ええ……でも」
「でも?」
「コウ、案内してくれないかしら……私が覚えている町並みと、ちょっと違っている風に見えているし」
そう言われたので、俺は、断る理由が無いので
リム(レイナ)から紙を受け取り、書かれてある場所へと行く事にした。
町の中を歩いて数十分後、一軒の家に辿り着く。
この家に、そのイゴールとか言う奴がいるのか……? と思ったが、リム(レイナ)扉を叩いたので、とりあえず、反応を見る事にした。
数分後、家の中から出てきたのは、白髪のお爺さんだった。
「何の用かね?」
「貴方、イゴールよね?」
「そうじゃが……お前さん、誰じゃ?」
「私よ、レイナ・オリオンハートよ」
「レイナお嬢様だと!? 馬鹿な! レイナお嬢様は、もう既に亡くなっておるぞ!」
「だから今、この子の体を借りているのよ、魂は本当に私よ、イゴール」
「…………そこのお前さん」
「俺の事か?」
「ああ………このお嬢さんの言っている事は、本当かの?」
「ああ、俺とこの子で、町外れのお屋敷に向かった時、この子の体にそのレイナって子が憑依してしまってな? 今の状態だと、レイナと言う事になっているぞ」
「そう言う事よ、信じてくれた? イゴール」
「………信じられんが……ワシの名前を知っているしな……で……そのお嬢様は、何しにここに来たのかの?」
「冒険者ギルドから聞いたんだけど、貴方があのお屋敷の今の持ち主となっているそうね? 何でなの?」
「…………それはじゃな……昔、旦那様と奥様が、お嬢様を亡くされたので、引っ越す事になってなあ……その時に、あのお屋敷の管理を任されたのじゃ、それからず~っと、あのお屋敷はワシの物となっておるのじゃ」
「そう……じゃあ、お父様とお母様の行方は、知らないのかしら?」
「ああ、すまんが……全く知らないのじゃ」
「そう………」
二人がそう話しているので、俺は話に割り込む事にした。
「なあ、ところで……あのお屋敷を俺が住みたいんだが? 譲ってくれないか?」
「あのお屋敷をかの?」
「ああ、あのお屋敷に住む事はしないんだろ?」
「まあ、ワシは今の持ち家があるしの……?」
「じゃあ、譲ってくれ」
「そうじゃな……あのお屋敷は結構大きいし、無料と言う訳にはいかんの」
「何でよ? 元々は私の家よ?」
「旦那様と奥様がいなくなられて、後継者に受け継ぐとしたら、そうなるかも知れんが、お嬢様は亡くなっているので、今のあの家の正式な持ち主は、ワシと言う事になっておるのじゃ、いくらお嬢様の頼みでも、こればっかりは聞けないのう!」
「だそうだぞ、じゃあ……いくら払えば、売ってくれるんだ? あの家」
「そうじゃの…………家の大きさからにして、25,000ベリカで家の権利を引き渡そうと思うぞ、で……払えるのかの?」
そう言われたので、俺はリム(レイナ)に
「レイナ、今持っているお金、全部合わせて見るぞ」
「え、ええ、解ったわ」
そう言って、俺の持っているお金とリムの持っているお金を、足してみる事にした。
計算してみてわかった事は、二人合わせて、15,000ベリカある事が解った。
俺はイゴールに
「半分の10,000ベリカを渡すから、残りの15,000ベリカは後で払うと言う事でいいか?」
そう聞いてみると
「解った、残り15,000ベリカを渡した時、あのお屋敷の権利をやる事にしよう」
「じゃあ、決まりだな? あの家は予約したから、他の奴に売ったりしないで欲しいぞ」
「解った」
とりあえず……家の仮契約は、完了したので
俺達は、イゴールさんの家を離れて、冒険者ギルドに戻る事にした。
冒険者ギルドに戻って来て、建物の中に入り、受付にいる男に
「依頼を受けたいんだが?」
そう言うと
「畏まりました、では……小額依頼と高額依頼のどちらにしますか?」
そう言われたので、リム(レイナ)に
「高額依頼でいいよな?」
と言うと
「ええ、その方が早く溜まりそうだしね?」
と言ったので
「じゃあ、高額依頼で」
そう言うと、受付にいる男の人が
「畏まりました、では高額依頼を受付ている方と交代しますね? 私は小額依頼を受け付けていますので」
そう言って、数分後
「高額依頼を引き受けにきたんだな?」
と言われたので
「ああ、何があるんだ?」
そう聞いてみると
「今の高額依頼は、このようになっているぞ、確認してみてくれ」
そう言ってから、一枚の紙を取り出して、見せて来たので、中を見てみると、紙に書かれてあったのは
レッドドラゴンの討伐 9000ベリカ
グリードファントムの討伐 8000ベリカ
ワンバンキングの討伐 7000ベリカとなっていた。
これを見ると、一番高いのが、レッドドラゴンの討伐だが……かなり危険そうだな……?
一番低いので、7000か……なら、この一番低いのから腕慣らしとしてやって見るのもありか……? と思ったので、俺は
「じゃあ、このワンバンキングの討伐にする」
俺がそう言うと
「そうか、なら、詳細を教えるぞ、ワンバンキングは物理攻撃が全く効かないと言う事が確認されている、魔術攻撃で倒せる事が確認が取れている事と、危険なのは石化効果の術を放ってくるのが、確認が取れているぞ、それを回避する事が出来て、大火力の魔術を与える事が出来れば倒せるぞ、ちなみに出現場所はと言うと、このシグルンの町から西に行った所に、紅蓮の森と言う森があってな? その森の中にワンバンキングはいる、見た目は2メートルの人型をしていて、目が四つあるのが特徴だ、その紅蓮の森にいる四つ目の怪物は、ワンバンキングだけなので、それが目印にするといいぞ、期限は特に決まっていない、倒した時に現れる、真実の眼と呼ばれる青色の石みたいなのが現れるから、その真実の眼を一つ持ってくるだけで、依頼完了とするぞ、危険指定の怪物なので、無理そうだったら、途中でキャンセルも引き受けているぞ」
「解った、情報をありがとう」
「では、気をつけて行って来てくれ」
そう言われて、俺達は冒険者ギルドを出る。
冒険者ギルドを出た後、リム(レイナ)が
「コウ? これからその……紅蓮の森とか言う場所、行くの?」
「いや……明日に行こうと思っているぞ」
「そう……じゃあ……私はまた、意識を手放す事にするわ、さすがに長時間出ていると、体力が落ちてきている感じがするのよね? だから、明日には私は出て来ない事にするわ」
「解った、そうだな……今日はもう、宿屋で一泊する事にするか」
「ええ」
そう決めて、俺達は、このシグルンの町の宿屋「ルーンライト」に泊まる事に決めた。
詳しい事は、リムに戻った時に言うか……
そう思う事にして、宿屋「ルーンライト」に行くのであった。




