~第五十二話~盗賊団撲滅作戦~準備中~
レインとユーリを強引に仲間にした後、俺達は依頼「盗賊団の撲滅」の依頼を完了させる為、シグルンの町から東にあると思われる、盗賊団のアジトに向かう事にした。
アジトに向かう途中、状況をリムから詳しく聞いたレインが
「コウ、この依頼って、撲滅依頼なんだよな?」
「ああ……でもな……結構な大人数らしいしな? 武器を破壊して、動けなくしてくれとか言っていたんだが……実際に考えるとさ……無理じゃね?」
「まあ、武器だけを破壊するというのは、ちょっとな」
「だろ? だから……とりあえず行ってみて、それからどうするかを考えようって思ってるんだ」
「解かった」
そう話しながら進んで行き、一時間後、山が見え始めたので、俺は
「情報では、あの山の中に盗賊団のアジトがあるらしいんだが……」
「コウ、大人数で行くと、発見されそうよ?」
「そうだな、じゃあ……二手に別れて、捜索する事にしようぜ」
「解ったわ」
そう決めて、どう別れるか相談した後、俺はユーリと組む事にした。組み終わった後、俺は二人に
「リムにレイン、先にシグルンの町の冒険者ギルドで待機してくれないか? アジトを発見したら、戻るからな」
「解った、じゃあ行くか、リム」
「ええ、じゃあ待っているからね」
そう言って、レイン達がシグルンの町に戻り、俺とユーリが残る事になった。
レイン達が離れた後、俺はユーリに
「ユーリ」
「はい」
「攻撃魔法の他に、何か術とか覚えているのか?」
「そうですね……支援魔法と回復魔法は、覚えていますよ、コウさんは?」
「俺はだな……四つだな」
「四つですか……でも……見た感じ、杖を持っていませんよね? それで術……発動出来るんですか?」
「大丈夫、問題ない、さ、山の中を探索するぞ」
「あ、はい」
俺達は山の中に入り、盗賊団のアジトを探す事にした。山に入ってから、数分後、奥に洞窟が見え始め、その前に顔をマントで隠し、腰に刀を差しているので、明らかに盗賊スタイルの男が二人、見張りをしている風に見える。
「ユーリ、もしかして……あれが、盗賊団のアジトだと思わないか」
「そうですね、見張りもいますし、あれがそうなんだと思います、で、コウさん、一体どうするんですか? 発見しましたし、シグルンの町に戻ります?」
「いや、まず中に何人いるか、情報を集めないとな、だから、ユーリ」
「はい」
「ここで、大声で悲鳴を上げてから、あの草むらに隠れてくれ」
「え?」
「さ、あとは俺が何とかするからな、さあ、やってくれ」
「わ、解りましたよ、やればいいんですね?」
そう言って、ユーリが深呼吸した後
「キャアアアアア!!」
ユーリが叫びだして、素早く草むらに隠れたので、俺は見張っている二人を観察してみる。すると「声がしたぞ」「俺が調べてくる」と聞こえて、男一人が俺達が隠れている方にやって来たので、俺は向かってくる男に指を向けて、術を発動させる。
「ハーデス・ドライブ」
そう言うと、男が立ち止まり、動かなくなったので、俺は見張りの男に「お前達の仲間は全部で、何人だ」と、問いかけると、指で数字を作ったので、俺は、ユーリに
「ユーリ、今の数字って解るか?」
そう聞くと
「あ、はい、41ってやりました」
じゃあ、全部で四十一人か……よし、これで人数が解ったし、この術の持続効果が一分間なので、時間が切れる前に「元の位置に戻って、普通にしてろ」と、命令すると、来た道を引き返して、元の見張りをしている位置に戻った。そこで、一分経過したのか、声で「あれ? 俺……」とか不思議がっていたが、俺達の事がバレて無かったので、俺はユーリに
「よし、情報は集めたし、一度、シグルンの町に戻るか」
「はい、あの」
「ん?」
「さっきの術って一体なんなんですか?」
「俺の必殺の術だな、それだけしか言えん」
「はあ……じゃあ、深く聞かない事にしますね」
「ああ」
そう話しながら、俺はバッグから、残っていたアイテム、桃色吐息を取り出して、中身を飲み干す。
これで、減ったマジックポイントは回復したので、その空き瓶を木と木の間に挟む事にして、これを目印にする事にした。目印を取り付けた後、シグルンの町へと引き返す事にして、森を抜ける。
シグルンの町に戻る途中、銀の羽を持つ希少価値の魔物、ボーンラビットが現れたので、俺は逃がさないように、足止めをする為、術「デス・トラップ」を発動し、動けなくなった所に、自分の持っている武器、光夢をボーンラビットに向けて、一刀両断する。
あっさりと倒す事ができて、レアアイテムっぽい、銀の羽が一枚落ちたので、それを拾った後、バッグの中に入れて、シグルンの町へと戻る事にした。シグルンの町に辿り着いたので、冒険者ギルドに向かう事にして、町の中を歩く。数分後、冒険者ギルドに辿り着き、その前にレインとリムがいたので、俺は二人に
「戻ってきたぞ」
そう言うと
「そうか、で、どうだったんだ?」
「アジトと人数は解ったから、ちょっと確認して来るな」
「確認?」
「ああ」
そう言って、俺は冒険者ギルドの中に入り、カウンターにいる男に話しかける事にした。
「盗賊団の依頼を受けた者だが」
俺がそう言うと、男が
「お、そうか、で……どうだったんだ?」
「森の中にアジトがあるのと、人数は確認出来たんだけど、全員分の武器破壊とか無理そうだから、全滅させても、依頼料は支払われるのか?」
「そうだな、一応この依頼は、撲滅依頼だから、全滅させて、それを確認出来たら、依頼料を支払う事でも良いと言う事になっているぞ」
「解った、ありがとう」
よし、これで全滅させても、依頼料は支払われる事になったみたいだったので、俺は気になる事があったので、受付にいる男の人とは、違う人に話しかける事にした。
「化け物屋敷の調査は終わったのか?」
俺がそう言うと
「あ、貴方は……この町の化け物屋敷の調査を依頼した人ですね?」
「ああ」
「はい、調査の結果、屋敷の改築作業に取り掛かると言うので、特に問題は発見されませんでしたと報告があがっていますので、依頼料のお支払いを致しますね」
そう言って、俺に大きめの袋を渡してきた。
「こちらが、依頼料の1000ベリカになります」
袋を渡されたので、中を確認してみると、中に銀貨が十枚入っていた。
俺はそれを受け取った後、冒険者ギルドを出て、外で待っていた三人に
「よし、全滅させても良いって許可が下りたからな、まず……」
「まず?」
「夜に奇襲をかけようと思っているんだが、皆はどう思う?」
俺がそう言うと
「そうだな、私は構わないぞ、それで」
「私もOKね」
「暗いのは、ちょっと苦手です……」
そう言ったので、俺は考えて
「じゃあ、ユーリ、この金で目立たない服とか買って来てくれないか?」
俺は、さっき受け取った袋を、ユーリに渡した。
「このお金でですか?」
「ああ、使い捨て用の服とか買ってくれ、で……レインとリムは、どうする?」
俺がそう言うと
「私はそうだな……コウと一緒に行く事にするよ」
「じゃあ、私はユーリ一人じゃ心配だし、ユーリの買い物を手伝う事にするわ、いいよね? ユーリ」
「あ、はい、リムさん、よろしくお願いします」
「じゃあ、決まったな、俺とレインは盗賊団の壊滅で、リムとユーリは、服とか買い込んでくれ」
「解ったわ、じゃあ……レインとコウの服を買ってくればいいのね?」
「ああ、レインもそれでいいよな?」
「ああ、確かに……今の服装で行くのもなって思うしな」
「じゃあ、買ってくるわね、行きましょうか? ユーリ」
「あ、はい」
「なるべく目立たない服装を買って来てくれよ?」
「了解」
リムとユーリが離れて行き、俺とレインはその場で待つ事にしたのであった。数十分後、服を買って来た二人が戻って来たので、俺はリムから服を受け取り、服を見てみる。見た感じ、黒っぽい衣装に、マントだったので、マントで口元を隠して、これを羽織ると、盗賊っぽい感じのスタイルになるみたいだった。
レインのを見てみると、鼠色のローブ見たいな服で、闇の中に紛れるには、最適な感じの服装だった。
「これでいいかしら?」
「ああ、じゃあ……俺とレインは、今から出発するが、二人は、宿屋「ルーンライト」で待っててくれ」
「了解、じゃあ行きましょう? ユーリ」
「はい、コウさん、レインさん、頑張って下さいね」
「解った、じゃあ……行くか、コウ」
「ああ」
そう言って俺達は、買って来た服を着込んで、変装してから、盗賊団のアジトへと向かう事にしたのであった。




