~第四十八話~シグルンの町~化け物屋敷~
はい、零堵です。
ここで、新キャラを出しました。
といっても憑依人格なので、たまーにしか、出ないと思います。
俺達は、お屋敷の化け物退治の依頼を受けたので、シグルンの町の南にあると思われるお屋敷へと行く事になった。シグルンの町を南に進んでいくと、大きな一軒のお屋敷があるのを発見、そのお屋敷を見てみて思った事、ああ……明らかに他の家とは違う雰囲気を醸し出していた。
「あれだよな……」
「ええ……壁の所々に血の跡があるし、まさにあれなんじゃないかしら……」
「だよな……ところで……」
「どうしたの?」
「こんな真昼間から、アンデット系の魔物って出現したりするのか……? イメージ的に夜に出そうな感じなんだが」
「そうね……でも、中に入らないと解らないじゃない? だから入りましょう」
「それもそうだな」
そう二人で決めて、お屋敷の中に入る事にした。玄関口に辿り着くと、自動で扉が開く。
この異世界に自動ドアなんてあったか……? とは思ったが、まあ、わざわざ開ける必要も無かったので、そのまま中へと突入する事にした。俺とリムが中に入ると、勝手に扉が閉まって、内側のドアノブが剥ぎ取られていたので、これじゃあ外に出る事が不可能だった。
「もしかして……閉じ込められたか?」
「かもね……どうやら……ここの何者かを退治しないと、外には出られないって事なのかもね……」
この展開って、ホラーゲームの脱出不可能な洋館とか、そんな感じになってきたのかもな? ま、何がいるか解らないが……とりあえず……このお屋敷を調査する事にするか! とそう決めて、俺は
「リム、とりあえず……一階から調査をしていこうぜ?」
「そうね、そうしましょうか」
そう決めて、俺達は一階の調査をする事にした。一階は、大きな洋館風の建物なので、部屋の数が8つもあった。全て扉が閉まっていて、一つずつ開けていく事にした。鍵はかかっていないらしく、簡単に開いて、部屋の中に入ると、そこは寝室で、埃まみれのベットと椅子に、箪笥と鏡があるだけだった。
「ここは、異常はないみたいだな……」
「そうね、他の部屋を見てみましょうか」
部屋の外に出て、隣の部屋に向かう。隣の部屋もさっきの部屋と同じ作りになっているのか、さっきの部屋と全く同じだったのだが……
「コ、コウ……」
「ああ……不気味だな……」
さっきと違ったのは、ベットに斜めに血が飛び散った後のような染みが、こびり付いているのを発見、これって……何者かに切り付けられたって感じなのか……? とそう思ってしまった。
「魔物とかここにもいないみたいだし、ここもとりあえずは、異常無しって感じか?」
「そうね……なんかちょっと、気分が悪いわね……」
「そうか?」
「ええ……他の部屋を見てみましょう」
「そうだな」
そう言って、他の部屋を見てみる事にして、部屋の外に出る。別の部屋に入ろうとするのだが、鍵が掛かっているらしく、開く様子がなかったので、俺は思いっきり蹴り上げて、扉を壊す事にした。
「コ、コウ! そんな事していいの?」
「いいだろ別に、鍵持ってないしなっと!」
何回も蹴り付けると、扉が破壊されて、中に入る事が出来たので、中に入ってみると、部屋の中に見た事のある物が一体、そこにあった。
「これって……あれだよな」
「ええ……コウも気がついた?」
「ああ」
何でこの部屋の中にいるのか、謎だったが、部屋の中にいたのは、前に北にあった塔の中にいた魔物、シャドウナイトだった。シャドウナイトは、動かないままだったので、俺は
「リム、光系の術を頼むぞ」
「了解、じゃあ、行くわよ、ビーム・レイ!」
リムが杖を振って、光系の術を発動して、シャドウナイトに当てる。シャドウナイトにあっさりと命中し、その姿が消滅したので、簡単に倒せたみたいだった。何でこの部屋にシャドウナイトがいたんだろうな……と思ったが、まあ考えたって解らなかったので、とりあえず、部屋の中を探索してみる。
探索してみた結果、何もなかったので、他の部屋へと行く事にした。
次に向かった部屋は、バスルームと書かれている部屋で、開ける前に、部屋の中から、水の音が聞こえている。
「なあ……何がいると思う?」
「さあ……解らないけど……とりあえず、開けてみないと解らないわね」
「そうだな」
そう言って、部屋の中を開けて、中に入ると……中にいたのは、半透明の女だった。
「あ、これはチャンスね!」
と、俺達に気がついたからなのか、飛び掛って来たので、俺は咄嗟に自分の剣、光夢を取り出して、切りつけようとしたのだが……
「うわ、すり抜けた!」
切った感触が全くなく、すり抜けて
「コ、コウ! う……」
リムに重なるように憑依していって、リムに吸い込まれた風に見えた。
「リ、リム……?」
俺がそう呼びかけるが、反応が無く、数秒後
「やったわ! やっと手に入れたわ、私の体! もうこの体は私の物よ!」
とか言っていた。これって……もしかして……憑依されたのか?
「この体、前の体とは滅茶苦茶貧相ね? 貧乳だし、だけど……なかなか使えそうね……さてと……何をしようかしら! ウフフフ~」
……うん、完全に憑依されたっぽいな……しかも……何か馬鹿っぽくなってないか? じゃあ、どうするか……とりあえず俺は、リムに向かって、こう言う事にした。
「デス・トラップ」
するとリム(憑依中)が、びっくりしている。
「な、何で体が動かないのよ!」
「で、あんたさ……この屋敷に住みついている悪霊か?」
「悪霊とは何よ! 失礼ね!」
「だって、幽霊だったんだろ」
「確かに私は幽霊だったわ、けど今は、この体を手に入れたから、私はもう幽霊じゃないのよ!」
「それはリムの体だ、出ていけよ」
「嫌よ! せっかく手に入れた体よ! 色々とやりたい事があるんだから!」
「ちなみにやりたい事って何だ?」
「それは、やっぱり恋ね! 私の友達なんか、みーんな男といい仲になって……なーにが「貴方も結婚したら~?」よ! なら相手を紹介しろってのよ! おかげで私は……誰とも付き合う事なく、殺されちゃったしね……だから、せっかく体を手に入れたんだから、誰かいい人探さないと!」
そう話していると、リムが俺から逃げようとしたので、俺は再び
「デス・トラップ!」
そう言って、リムの動きを止める。
「だから……何なのよ! その術~!」
「いいから、リムの体が出て行けよ?」
「嫌」
「なら、解った……リムの中にいていいから、元のリムに戻ってくれないか?」
「……そう言えば、貴方、こんなお屋敷に何しに来たの?」
「依頼だよ、ここの化け物退治の依頼だな、つまりお前の退治だと思う」
「何よそれ、私は化け物じゃないわよ、私は幽霊だったけど、化け物じゃないわ」
「じゃあ、他にいるのかよ?」
「ええ、二階に最近出没するようになった奴ね、ああいうのを化け物だと思うわ」
「いや、お前も俺から見たら、化け物じゃないか」
「失礼ね! 私はレイナと言うちゃんとした名前があるわよ」
「じゃあレイナ、俺が新しい体を見つけてやるから、今はリムに戻ってくれないか?」
「……貴方から逃げようとすると、またさっきの変な術をかけられそうね……解ったわ、貴方の言う通りにするわ、貴方、名前は?」
「コウ・ドリム」
「じゃあ、コウ……本当に頼むわよ? あと……」
「あと、何だ?」
「たまになら、私が活動してもいいわよね?」
「……まあいいんじゃないか……その時は俺も一緒に行動するがな」
「解ったわよ、じゃあとりあえず……さよなら、コウ」
そう言うと、リムが目を閉じて、数秒後
「……っは、コ、コウ……私、何かしてた!?」
と、元のリムに戻ったみたいだった。
「リム、体が痛いとかそういう事はないか?」
「そうね……ちょっと気分が悪いけど、体は何ともないわね……でも私……幽霊に襲われた所までは覚えているのだけど……そこからは、思い出せないわ……」
と言う事は、レイナがリムの体を乗り移っている間は、リムは記憶が無いと言う事なのか……うん、特に問題はないよな! どうせなあ……憑依を引き剥がす方法なんか全く知らないしな……リムには、悪いが当分はこのままで行こうとするか、うん
そう決めて、俺は
「リム、化け物は二階にいるらしいから、二階に行くぞ」
「何でコウが知っているのよ?」
「まあいいから、さあ行くぞ」
リムが不思議がっていたが、俺達は二階へと行く事にしたのであった。




