~第四十五話~試練の洞窟~ブラックフラワー~
この物語も遂に四十五話です。
うーん、一体どこまで続けようかな?
まあ、目標は百話!ですかね~
俺達は、依頼「ブラックフラワー」の採取の為、シグルンの町から西にあると思われる、試練の洞窟へと向かう事にした。シグルンの町を出て、西の方角に進む事にしたのだが……
歩いていて、いつもと違う事に気がつく。
それは、地面に草が一本も生えてなく、土しかないので、ちょっと砂漠に似ている感じがした。
そんな大地を歩いて行くと、前方から何かの生物らしき物体が、俺達に向かってくるのが見えた。
「なあ、リム……あれ、何だ?」
「あれって……ああ、思い出しわ、あれはホーンラビットよ」
「ホーンラビット?」
「ええ、魔物の一種で、ロンリーウルフよりは小さくてね、でも爪が鋭いから、その爪で攻撃してくるわ」
「そうなのか?」
「ええ」
そう話していると、ホーンラビットの全体の姿が解った。うん、一言で言うと……兎に近い生物で、けど、兎とは違う所を発見、それは……赤い目が三つあって、体に羽が生えていた。
はっきり言って、化物に見えてしまっている。しかも俺達に敵意を剥き出しにして、両手の爪を俺達に向けて、飛び掛ってきたので、俺は腰に挿している自分の剣、光夢を手に持ち、ホーンラビットを弾き返す。ホーンラビットは、俺の攻撃によって、跳ね飛ばされたけど、ダメージを受けている風には見えなく、また爪を向けて、飛び掛ろうと構えていたので、俺は、術を発動する事にした。
「デス・トラップ」
そう言うと、ホーンラビットの動きは止まり、固まったので
「リム、あのホーンラビットには、何の術が効くんだ?」
「この魔物は、火系の術が効くのよ、まあ任せて、ファイヤー・ボール」
リムの火系の術が発動、火の玉がホーンラビットに命中し、火達磨になって、燃え盛って、一撃で倒せたみたく、ホーンラビットの姿が消滅していく。消滅したその場に、白銀の羽が一枚落ちていた。
「これが、ホーンラビットを倒した時に現れる、銀の羽よ?」
「銀の羽ね……ちなみにこの羽、売れるのか?」
「いいえ、この羽はね、魔力が篭っていて、一度だけ使用できる、転送アイテムなの」
「転送アイテム?」
「ええ、使っちゃうと消えてなくなるけどね、この銀の羽を持って、一度行った事のある場所を思い浮かべて、羽を振ると、その場所に転送出来るのよ」
「じゃあ……使い捨ての転送アイテムなのか?」
「ええ、そう言う事ね、コウ、この銀の羽、使わないでとって置きましょう?」
「そうだな」
そう言って、俺は銀の羽を使わずに、バックの中に入れる事にした。
「なあ、リム? この銀の羽を持っているのって、ホーンラビットだけなのか?」
「ええ、あとこのホーンラビットって、なかなか現れない魔物でもあるのよ、まあ、希少種ね、だから見つけたのは、ちょっと幸運なのかも知れないわ」
「そういうもんなのか……」
そんな事を話しながら、西に進んでいく事にして、数十分後、洞窟と思われる物が見え始めた。
「あれが……試練の洞窟なのか?」
「他に洞窟っぽいのは、無さそうだし……そうなんじゃない?」
「だよな? けど……」
「けど?」
「この洞窟って、試練の洞窟って呼ばれているんだろ? 何の試練なんだ?」
「……さあ? それは解らないけど……まあ、中に入って、依頼品の採取をしましょうよ?」
「それもそうだな」
そう話しながら、試練の洞窟の中に入っていく。中に入ると、真っ暗で何も見えなかった。
「何も見えないから、リム、頼む」
「了解、ライト・アップ」
リムの光系の術が発動し、光の玉が出現、その玉の効果で、辺りが明るくなって、洞窟内の中が見渡せるようになった。
「結構広い、洞窟みたいね?」
「ああ、道が奥に続いているな……依頼のブラックフラワーは、黒い花とか言っていたが……この辺りには無いみたいだし、奥に行って見る事にするか」
「ええ」
そう言って、洞窟内の奥に進む事にした。奥に進んでいくと、広い空間に出た。
その部屋の中に、地面に黒い花が生えていたので、これが依頼品「ブラックフラワー」なのだと思われる。色んな所に生えているので、俺はリムに
「リム、二手に別れて、摘んでいこうか?」
「了解、じゃあ私、半分摘むわね?」
「解った」
俺から離れて行き、ブラックフラワーの採取に取り掛かった。俺も地面に生えているブラックフラワーを摘み取る事にして、摘んだ後、バッグの中に入れていく。五束摘み終わると、リムが俺の所に戻ってきて
「はい、五束摘んで来たわよ?」
俺に五束渡してきたので、それもバッグの中に入れて、合計十束
これで、依頼「ブラックフラワー」の依頼を完了したのであった。
「これで、依頼完了だな」
「ええ、ところで……」
「ん?」
「あそこに扉があるでしょ? あの奥ってどうなっているのかしらね?」
リムが指差すと、確かに古ぼけた扉が存在して、閉ざされている。鍵穴とかが全く見当たらないので、仕掛け扉なのか? とか思ってしまった。
「でもな……依頼はもう完了してるんだし、奥に行かなくていいんじゃね?」
「それもそうよね、でも……気になるわね……」
「リムの魔法で壊せそうだけど……派手な魔法を使うと、この洞窟、崩れないか?」
「確かに……それは、ありそうだわ……まあ、あの扉は見なかった事にして、洞窟を出ましょうか? コウ」
「ああ」
そう言って、俺達は引き返す事にして、試練の洞窟を出て行く事にした。試練の洞窟を出た後、リムが「デリート」と言って、光の玉を消した。消した後、俺はこう言う。
「なあ、試しにこの銀の羽を使ってみたいんだが、いいよな?」
俺がそう言うと、リムが
「ええ、いいわよ?」
バッグから銀の羽を取り出すと、リムが
「コウ、手を繋ぐわね? そうしないと、コウだけ転送されちゃうし」
そう言って、手を握って来たので、俺は片方に羽を持って
「羽を持ったけど、これからどうすれば?」
と、リムに問いかけて
「そうね……コウ、シグルンの町に戻るんだから、シグルンの町を思い浮かべて、羽に念じてみて?」
そう言ったので、俺はシグルンの町を思い浮かべて、羽に念じてみる。
すると羽が輝きだして、光が収まると……目の前にシグルンの町がいきなり現れた。
「うん、どうやら……転送成功みたいよ?」
「今の光が?」
「ええ、ほら、コウの持っていた羽、無くなっているでしょ?」
そう言われて確認してみると、確かに持っていた羽が無くなっていた。じゃあ、光った一瞬で移動したって事なのか……これが、初めての転送ね……凄い早いな……おい
「さ、シグルンの町に戻って来たし、冒険者ギルドに行きましょうか?」
「そうだな」
そう決めて、俺達は冒険者ギルドに向かう事にした。冒険者ギルドに辿り着き、中に入ると、中に人があんまりいなくて、空いていたので、カウンターにいる男の人に話しかける。
「依頼を完了したんだが」
そう言うと
「あ、えっと……お名前は?」
「コウ・ドリム」
「コウ様ですね、コウ様の依頼は…………ブラックフラワーの採取となっておりますが?」
「ああ、これだろ?」
そう言って俺は、バックからブラックフラワーを取り出して、カウンターの上に置く。
「では、確認致しますね………………確認が取れました、ではこちらが依頼料の600ベリカとなります」
銀貨6枚を渡して来たので、それを受け取った後
「なあ、こっちは小額依頼の受付だろ? じゃあ、高額依頼の受付だと、どのぐらいの依頼料なんだ?」
「そうですね……日にちにもよりますが、最高で一万ベリカ以上となっておりますね、まあ一万ベリカ以上は滅多にありませんけど、コウ様、依頼を受けますか?」
そう聞かれたが、別に今日受けなくてもいいかな……と思ったので
「いや、いい」
「そうですか、では、またのお越しをお待ちしております」
男と別れて、俺達は冒険者ギルドを出る。冒険者ギルドを出た後、リムが
「コウ、じゃあ、依頼料の半分頂くわね?」
そうリムが言うので、リムに依頼料を半分渡す。渡した後、リムが
「コウ? これからどうする? まだ夜前だしね?」
「そうだな……」
確かに言われたとおり、まだ天気が明るく、夜にはなってないみたいだった。
今から宿屋「ルーンライト」に行ってもな……と考えていると
「あ、コウにリム、久しぶりだな?」
「お久しぶりです、コウさん、リムさん」
と、俺に話し掛けてきたのは、ユーグレストで別れた二人組
レインとユーリの姿だったのであった。




