~第四十二話~ユーグレストの森~ビック・グリー討伐~
リムが依頼を取って来てくれたので、俺達は、ユーグレストの森へと行く事になった。
ユーグレストの町を出て、ユーグレストの森に向けて、歩いていると……草むらから魔物が飛び出してきた。飛び出して来たのは、狼の姿をした魔物で、ロンリーウルフだった。
ロンリーウルフは、額の角を俺達に向けて、突進して来る。
「いきなり、攻撃してくるみたいよ、コウ」
「そう見たいだな……なら!」
俺は、ロンリーウルフに、呪文を言う。
「デス・トラップ」
そう言うと、ロンリーウルフの動きが止まったので、俺はリムに
「リム、魔法でやっつけてくれ」
「了解、じゃあ、行くわよ、アイスドリル」
リムの水系の呪文が発動し、ロンリーウルフに命中。一撃で倒す事に成功し、ロンリーウルフが消滅していく。その場に落ちているのは、狼玉と呼ばれるアイテムだった。
「一応、狼玉が出現したみたいだし……これ、持って行くか?」
「ええ、持って行きましょう」
そうリムが言うので、狼玉を拾って、バックの中に入れて、先に進んでいく。数時間後、ユーグレストの森に辿り着いた。
「ユーグレストの森に辿り着いたわね」
「ああ、でも……」
「でも?」
「この森の中から、ビック・グリーを探すんだろう……? ちょっと大変じゃないか?」
「うーん……そうかも知れないけど、でもビック・グリーは体が大きいから、見つけやすいんじゃない?」
「そうかもな……ま、森の中を探す事にしようぜ?」
「ええ」
そう話しながら、森の中に入っていく。何というか……日の光がほとんど当たらないから、ちょっと薄暗くて、風も冷たい風が吹いているので、ちょっと寒く感じたりしてしまった。その森の中を歩き回り、ビック・グリーの捜索をしたんだが……数十分経過しても、全く見つかる様子がなかった。
「なあ……もういないんじゃないか?」
「う……その可能性も出て来たわね……でも、もうちょっと探して見ましょうよ?」
「そうだな……」
会話をしながら、探し続けていると、大きい生物の姿をやっと発見。
熊っぽい生物なので、あれが目標のビック・グリーだと思われる。ビック・グリーは、俺達に気が付いたからなのか、両手の爪をむき出して、突進して来た。
「こっちに気が付いたみたいよ? どうする、コウ!」
「そうだな、まずは足止めだ!」
俺は、そう言ってから、ビック・グリーに対して、呪文を発動させる。
「デス・トラップ!」
そう言うと、ビック・グリーの動きが止まったので、俺は実験をして見る事にした。対象物をビック・グリーにして、新しく覚えた術を試してみる。
「ハーデス・ドライブ!」
俺がそう言うと、ビックグリーの動きが止まる。これは……効いたのか……?
「コウ……今の術は?」
「俺の新しい術だ、今の状態だと、このビック・グリーは、俺の命令を聞く筈だと思う」
「そうなの?」
「ああ、ちょっと試してみる」
そう言ってから、何をさせようか……と、考えて、こう言う。
「よし、手を出せ」
そう言うと、ビック・グリーが手を出した。うん、どうやら……魔物に対しても、この術は効くみたいだった。なら……
「じゃあ、自分を殴り続けろ!」
俺がそう命令すると、ビック・グリーが両手で自分を殴り続ける。
その光景を見たからか、リムが
「コウの命令を本当に聞いてるわ……凄いわね……」
と、驚いていた。殴り続けていたビック・グリーが一分間経過したからなのか、殴るのをやめて、俺達を睨み付けて来て、再び襲い掛かって来たので、俺は
「ほい、デス・トラップ!」
そう言って、ビック・グリーの動きを止めた後。対象物をビック・グリーに設定、効果を毒にして、こう言う。
「デットリー・レイ!」
俺の術が発動して、ビック・グリーの動きが変色していって、毒状態になり、十秒経過したので、動き始めたので、再び
「デス・トラップ!」
そう言って、三回目の行動禁止にして、対象物をビック・グリーに設定、効果を麻痺にして、こう言う。
「デットリー・レイ!」
毒状態のまま、痺れ出して、ビック・グリーの動きが止まった。
「さ、リム、後は風系の術で、倒してくれ」
「え、ええ……エアーブライド!」
リムがそう言うと、リムの風系の術が発動、ビック・グリーの体が切断されて、ビック・グリーが消滅していく。その場に残ったのは、結晶みたいなアイテムだった。
「これが、グリム結晶よ、これを一つ持ち帰るだけで、依頼完了よ」
「そうか、じゃあ、これを持って帰ればいいんだな?」
「ええ」
リムがそう言うので、俺は、グリム結晶をバッグの中に入れる。
中に入れた後、リムが
「コウ……」
「何だ?」
「新しい術って、何か嫌ね……」
「そうか?」
「ええ、私はそう思うわね……ところで、今の術を連続で使って、あと、どのくらい魔力が残っているの?」
そう聞いてきたので、俺はバックから、魔証石を取り出して、自分の魔力を測ってみる事にした。
魔証石で計ってみると、魔力最大値200 魔力値138と表示されていた。
「魔力が、今……138となってるな」
「そう……あ、ねえ、コウ? どうせなら桃色吐息を飲んで、魔力の回復量を調べてみたら?」
リムがそう言って来たので、俺は、それもそうだな……と思い、バックの中から、雑貨屋で購入した、桃色吐息を取り出して、飲んで見る。飲み終わった後、魔証石で魔力を測ってみると……
魔力最大値200 魔力値198と表示されたので、桃色吐息を飲むと、魔力が60回復する事が、これで解った。
「60回複するみたいだが……これって、多い方なのか?」
「多いんじゃないかしら? まあ……もっと回復する薬も存在してはいるけどね」
「そうなのか……」
俺は、空になった空き瓶をどうするか考えて、その場に捨てる事にした。ま、誰かが拾ってくれるだろ……と思う事にして
「じゃあ、リム、そろそろユーグレストに戻ろうぜ?」
「ええ、そうね」
そう言って俺達は、ユーグレストへと戻る事にした。戻る途中、魔物に出会う事なく、ユーグレストに辿り着く。辿り着いた頃には、夕方になっていて、夜に突入しそうだった。
町の中を歩いて、換金所に辿り着くと、リムが
「じゃあ、私が換金してくるから、コウはここで待ってて?」
リムがそう言うので、俺は言われたとおり、換金所の前で待つ事にした。数分後、袋を持ったリムが現れて
「お待たせ、換金して来たわよ? はい、半分の500ベリカね?」
そうリムが言うので、俺はリムから500ベリカを受け取り、自分のコイン袋に入れる。
コイン袋に入れた後、リムが
「じゃあ、もう夜になりそうだし、宿屋に向かいましょうか?」
「ああ」
宿屋「ユーグレ」に向かう事にした。宿屋「ユーグレ」に辿り着くと、出迎えてくれたのが
「いらっしゃいませー、あ、コウさんにリムさん、こんばんはです」
宿屋の女将さんの娘のクリスだった。
「クリスちゃん、今日は部屋はあいている?」
そうリムが言うと
「はい、あいてますよ~部屋は別々でいいんですよね?」
「ええ、コウもそれでいいわよね?」
「一緒の部屋でも問題はないんじゃないか?」
「私が別々にしたいのよ、それでいいでしょ?」
「解ったよ」
「じゃあ、今日は私が代金を払うわね?」
リムがそう言い、クリスに宿代を払って、今日はリムとは別々の部屋になった。
クリスに部屋に案内された後、クリスが
「コウさん、私……魔法を試してみたんですけど……本当に発動しないんですけど?」
「だから言っただろ? 発動しないって」
「ええ、で……いつになったら、元に戻るんですか? いい加減教えて下さいよ~」
「無理、と言うかだな……俺には、本当に治せないしな」
「じゃあ、リムさんに言えばいいんですか?」
「いや、リムも治せないぞ?」
「そんなあ……」
「ま、いつかは治し方を教えてやるから、そう落ち込むなって」
「いつかって、いつですか?」
「さあな」
「ううー! じゃあ、教えてくれるまで待ちますから……それでは、お休みなさい」
「ああ」
そう言って、クリスが離れて行ったので、俺は眠くなって来たので、そのままベットにダイブして、寝る事にしたのであった。




