~第四十一話~包丁を強化する事にしました~
部屋の外から、何かを叩く音が聞こえたので、その音で目が覚める。
目が覚めて、状況を確認してみると……ベットの上に、俺一人だけだった。えっと……確か……リムと一緒に寝ていたんだよな……部屋の中を確認してみると、リムの姿がなく、部屋の中にはいないみたいだった。
どうやら……俺より先に起きて、部屋の外に出て行ったんだと思われる。朝起きるの早いなあ……とか、思いながら、今日で、異世界生活十五日目と突入した。
うん……この異世界に来て、もう二週間以上か……
俺、夢野光輝の存在って、今、一体どうなっているんだろうな……多分と言うか、行方不明となっているのかも知れないって感じがする。ま……この世界もすっかりと馴染んできたし、このままこの異世界で生活していくのいいかもなあ……とか、思ってるしな?
そんな事を考えていると、部屋の外から
「コウさん~朝ですよ~」
部屋の外からクリスの声が聞こえて来たので、俺は
「起きてるぞ」
俺がそう言うと
「そうですか、おはようございます、リムさんはもう既に食堂にいらしてますので、コウさんも食堂にいらして下さいね? では」
足音が遠ざがっていったので、クリスが離れたみたいだった。クリスが離れた後、俺はバックから、魔証石を取り出して、自分の魔力を測って見る事にした。魔力を測って見ると、現れたのが、魔力最大値200 魔力値200と出たので、どうやら……レベルはあがってはいないらしい。
ま、いっか……と思う事にして、洗面所に向かい、顔を洗った後、身だしなみを整えて、持ち物を確認、確認が終わった後、部屋の外に出て、食堂へと向かった。
食堂に向かうと、リムが既に席に座っている。
「リム、おはよう、起きるの早いな?」
「別にいいでしょ……ところで……よく、眠れた?」
「ああ、バッチリとな……リムって結構暖かったしな」
「な、何言ってるのよ……でも……何もしてこなくて、良かったわ」
「そうか? 何かして欲しかったか?」
「い、いいわよ……別に……って、コウ……私に何をしようと思っていたの?」
「言ったほうがいいか?」
「……いや、いいわ、聞きたくないって感じよ」
そう話していると、女将さんが
「朝食が出来ましたよ、取りに来て下さいね」
俺達は、朝食を頂く事にした。今日のメニューは、揚げ物中心の料理だった。
これって何の揚げ物なんだろうな……? とか思ったけど
まあ、美味かったので、気にしない事にして、あっという間に食べ終わる。
食べ終わると、クリスがやって来て
「コウさん、リムさん、同じ部屋でどうでした?」
そう聞いてきたので、俺は
「なかなか快適だったぜ?」
俺がそう言うとリムが
「私は別の部屋が良かったわ……はあ……」
とか呟いていた。
「う~ん……ここは昨晩はお楽しみでしたね?って言おうと思ったのですけど……そう言う雰囲気じゃあないみたいですね? 何があったか、気になりますが……またのお越しをお待ちしておりますね?」
クリスがそう言って来たので、俺達は、宿屋をチェックアウトする。宿屋を出た後、リムが
「コウ、今日はどうするの?」
そう聞いてきたので、俺は
「昨日の依頼料の800ベリカで、俺の武器を強化とかしようと思ってるからな、武器屋に行こうと思っているぜ」
「そう……じゃあ、私は換金所に行って、コウの代わりに依頼を受けるわね? コウ、いいでしょう?」
「それってリムが引き受けてもいいのか?」
「ええ、ちゃんとマックさんかサリューさんに言えば、大丈夫だと思うわよ? じゃあ、私、換金所に行くわね?」
「ああ、じゃあ俺は武器屋に行くよ、そうだ、待ち合わせ場所は、宿屋の前でいいか?」
「了解、じゃあ、行って来るわ」
リムが俺から離れて、換金所へと向かったみたいだったので、俺も武器屋に行く事にした。ユーグレストの町の中を歩いて、武器屋「ユグレスト」に辿り着く。お店の中に入り、店員に、バックから包丁とコイン袋から、800ベリカを取り出して
「この武器を、このお金で強化出来ますか?」
そう聞いてみると。店員が
「そうだな、強化出来るぞ? ちなみに……どんな風にしたいんだ?」
そう言われて考えてみる。どんな風にね……今は、包丁っぽいしなあ……
やっぱり武器って、刀っぽい武器もかっこいいかも……? と思ったので、俺は、こう言う事にした。
「じゃあ、この武器を刀身を細くして、長くしてくれないか?」
「それって、サーベルみたいな剣って感じにか?」
「ああ、じゃあ、そのサーベルで」
「解った、じゃあ……この武器は預かるぞ、この武器を一度分解して、作り直すから完成には、明日になるが……それでいいかね?」
「はい、じゃあ、明日、取りに来ます」
「そうか、じゃあ、明日にまた来てくれ」
そう言ったので俺は「よろしくお願いします」と言って、武器屋に包丁を預けて、外に出る。外に出て、とりあえず……リムが戻っているかも知れなかったので、宿屋「ユーグレ」に向かって見る事にした。
宿屋「ユーグレ」に辿り着くと、お店の前に、リムの姿を発見したので、声をかける。
「リム、依頼はどうだったんだ?」
「バッチリ引き受けたわよ、でね? 今回の依頼だけど……討伐系の依頼でね、「ビック・グリー」の討伐にしたのよ。依頼品は、ビック・グリーを倒した時に出現する、グリム結晶ね? それを一つ集めるだけでいいんですって、その依頼を引き受けて、良かったわよね?」
「それは別に構わないんだが……じゃあ、向かう先は、前にも行った事のある、ユーグレストの森か?」
「ええ、そう言う事になるわ、で……コウの方は、どうだったの?」
「どうだったのって?」
「武器屋で、武器の強化を依頼したんじゃないの?」
「ああ、その事なんだが……一日かかるらしいんだ、で、今は俺、武器を持っていないって訳」
「そう……でも……コウ? レインに聞いたんだけどさ? ビック・グリー相手でも、武器なしでも大丈夫何じゃないの?」
そう言われて考えてみる。確かに、俺が始めて、ビック・グリーと会った時、レインが戦っていて、俺はそのアシストをしただけだった。結局、倒したのはレインなのだが……
うん、俺の術でも倒せるんじゃね?って思う。
「そうだな……確かに、俺の術でも倒せると思うぞ?」
「じゃあさ、今からユーグレストの森まで行く? 今の時間帯だと、まだ昼前だから、夜になるまでにはたっぷりと時間あるわよ?」
リムがそう言うので、俺は
「そうだな、そうするか」
「じゃあ、決まりね? では、行きましょうか」
「ああ」
俺とリムは、前にも行った事のある森、ユーグレストの森まで、行く事にしたのであった。




