~第三十八話~雑貨屋で、新しい物を仕入れました~
ルルルルと時物の音が鳴り響いているので、その音で目が覚める。
今日で、異世界生活十四日目と、突入した。目が覚めてから、鳴っている時物の音を止めてから、洗面所に向かい、顔を洗う事にした。顔を洗い終わった後、客間に戻り、とりあえず……バッグから魔証石を取り出して自分の魔力を測ってみる事にした。
魔証石で測ってみると、魔力最大値200、魔力値200と表示されている。
これってつまり……3レベルも上がったと言う事か?
思い当たる原因は、やはり……昨日の野盗を倒したから、それで一気にレベルアップって事なのか……?
今が魔力最大値200と言う事は、ネクロマンサーレベルが20と言う事なので、じゃあ、ネクロマンサーの第四の術「ハーデス・ドライブ」を覚えていると言う事になるのかも知れない。
確か……予習をして、覚えているのは、この「ハーデス・ドライブ」の効力は、対象物一体の意識を奪って、一分間、自由に操る事が出来ると言う術で、使用回数により持続時間が増えるという術だった。
十回を超えると二分になって、二十回を超えると三分間操れると言う術なのを思い出す。
うん……やっとネクロマンサーらしい術って感じがするなあ~うーん……誰かに試してみたいけど、リムにやったら怒られるのかも知れないしな……そう思っていると、コンコンとノックする音が聞こえてきて
「コウさんー朝ですよー起きましたかー」
クリスの声が聞こえてきた。そうだ、クリスでいっか~と思う事にして「おきてるぞ」と言って、俺は扉を開ける。するとクリスが
「おはようございます、コウさん、今日は部屋の模様替えをするので、おこしにきました」
そうクリスが言っていたが、俺は実験する為、対象物をクリスに設定、そして、術を言ってみる事にした。
「ハーデス・ドライブ」
そう言った瞬間、クリスが動かなくなり、目を閉じたまま固まった。これは……催眠状態になったって事なのか? とりあえず……俺は、命令してみる。
「クリス、飛び跳ね続けろ」
俺がそう、命令してみると、クリスがジャンプをやりだして、飛び跳ね続けたので、これは、成功したみたいだった。跳ね続けていると、一分間経過したのか、クリスが気がついて
「……わ、私、何してたんだっけ……?」
「なあ、クリス?」
「は、はい」
「何で部屋の前で飛び跳ね続けていたんだ? そういう儀式的な習慣なのか? それ」
「ええ!? そんな事してました? 私」
「ああ、何がしたかったんだ? お前」
「何がって、私は部屋の模様替えに来たんですよ~あ、あと、朝食が出来ていますので、食堂に向かって下さいね」
「解った」
そう言って、荷物を持って、食堂へと向かう事にした。
食堂に向かうと、既にリムが椅子に座っていて、朝食を取っていた。
「リム、おはよう」
「おはよう、コウ」
「昨日何か買いに行っていたけど、何を買ったんだ?」
「見て解らない? 私の姿を見てみて?」
そう言われたので、リムを観察すると、髪にスペードの形をした、髪飾りを付けていた。
「買ったのって、髪飾りか?」
「ええ、最近、女の子に人気の商品らしいのよ、他にも色んな形があったけどね、私はこれにしたの」
「ほう……だから、スペードなのか」
「スペード……? その意味が解らないけど、これはロシアブルーの髪飾りと言う物よ」
そんな事を話しながら、俺も女将さんから、朝食を受け取って、椅子に座り、朝食を取る。メニューは、ハンバーグっぽい肉の塊と野菜と黄色いスープだった。
この黄色いのはコーンスープみたいな味なのは、解っているので、問題はないのだが……問題なのは、野菜だった。前に出た野菜は、緑色をしていたのだが……今回出た野菜が、色が青色をしていて、とても美味しそうに全く見えなかったからである。よく観察してみると、美味そうにリムが食べているので、勇気を出して、俺も青色をした野菜を食べてみる。
うん……味は思いっきり人参っぽい味と、キャベツっぽい味がした。
これにドレッシングとかかけると美味しそうなのだが、色がまともなのがよかったなあ……とも思ってしまい、まあ……残すのも何か嫌だったので、残さず食べる事にした。
朝食を食べていると、クリスがやって来て、女将さんに「クリス、さっき飛び跳ねてたけど、何やってたんだい?」とか言われていた。
ま、ほっとく事にするか……と思う事にして、朝食を食べ終わり、宿屋をチェックアウトする。
宿屋の外に出た後、俺はリムに
「リム、俺、新しい術を覚えたぜ」
「あ、そうなの? それってどんな術?」
そう聞かれたので
「まあ、いつか見せてやるよ、この術はちょっと危険だしな」
「そう……それより……これからどうするの? コウ」
「そうだなあ……とりあえず、雑貨屋とかで何があるか見てみようと思うんだが……?」
「あ、それはいいかもね、じゃあ、早速行きましょう」
「ああ」
そう決めると、俺とリムは、雑貨屋へと行く事にした。町の中を歩いて、雑貨屋「ロマンス」に辿り着く。お店の中に入ると、店長のロマスがいて
「あらーいらっしゃい-今日は、何をお求めなのかしらー?」
とか言って来た。うん、相変わらず……見た目が凄い事になっているな……
気を取り直して、俺はロマスに
「ロマスさん、これって買い取れるか?」
バッグから、ロンリーウルフを退治した時に落ちていたアイテム、狼玉を見せてみると、ロマスが
「そうねえー……それ一つだと、50ベリカね」
「そうか……じゃあ、全部買い取ってくれ」
狼玉を全て取り出して、ロマスに見せると
「了解したわー、じゃあ……ちょっと待ってね」
ロマスがそう言い、奥に行ってしまい、数分後
「はい、換金分のお金、全部で200ベリカね」
そう言って、銀貨を二枚渡してきたので、俺はリムに
「なあ、リム……この200ベリカで買えそうな品ってあると思うか?」
「ちょっと待って……そうね……あ、これなんかどうかしら?」
リムが一つの箱を持ってきた。
「この箱の値段、200ベリカとなっているけど、これって何なの?」
「それは冷凍ボックスよ、箱の中が冷えていてね? その中に品を冷凍保存出来るのよ~」
と言う事は……これって、釣り人がよく釣りをする時に、魚を保存する為に持ち歩く、クーラーボックスみたいな箱って事なのかもな?
「リム、それ……いるか?」
「そうね……うん、必要になるかも知れないし、これ、頂くわ」
さっき、受け取った銀貨をロマスに返す。
「ありがとうございました、でーコウちゃんー? 他に何かいるかしら~」
そう言うので、ちょっと考えて……
「いや、また何か必要になったら、また来るよ」
「そうー? じゃあ、またいらしてねー」
そんな事を言いながら、また投げキッスをやって来たので、やっぱり強烈だな……と思いながら、雑貨屋を出る。雑貨屋を出た後、リムが
「コウ、この冷凍ボックスだけど……どっちが持ってる事にする?」
そう聞いてきたので、俺は
「それはリムが持っていてくれないか、俺にはバックがあるしな」
そう言うと
「そうね……じゃあ、そうする事にするわ、これ、服の中にしまえるしね」
リムは冷凍ボックスを服の中にしまう。見た感じ……胸の辺りがちょっとだけ、膨らんでる風に見えた。
それに気がついたからか、リムが
「何か言いたそうね……コウ?」
「いや、別にないぞ? じゃあ、とりあえず……換金所に行こうぜ」
「そうね、そうしましょうか」
そう話しこんだ後、俺とリムは、換金所へと向かう事にしたのであった。




