~第三十二話~私とユーリの活動記録その6~
はい、零堵です
今回の話は、主人公ではなく
レイン・スノウの視点でお送りします。
私とユーリは、ユーグレストの町で引き受けた依頼
「荷物搬送」を受けて、シグルンの町へと輸送する事になった。
輸送中、魔獣に遭遇するのか……? と、思ったが、魔獣に遭遇する事無く、無事にシグルンの町に辿り着く。
「無事に着きましたね? レインさん」
「そうだな、じゃあ、ギルドに向かうとするか」
「はい」
私達はこの町の冒険者ギルドへと向かう事にした。町の中を歩いて、冒険者ギルドに辿り着く。
この町の冒険者ギルドは、ユーグレストの町の換金所とは違い、建物も大きく、依頼も高額な依頼があったりするが、私に言わせると、この町の依頼は、最強クラスの魔獣討伐の依頼が多いので、今の装備だと、依頼を完了出来そうになかったので、今の所は、ユーグレストの町の換金所の依頼を引き受けるか……と、そう思っていた。冒険者ギルドの中に入り、受付に依頼品を渡す。
「承りました、これが受取書になります」
受取書を書いてくれたので、これで、荷物の搬送依頼は、無事に終了した。あとはユーグレストに戻るだけだったので、ユーリに話しかけようとすると、ユーリが、誰かと話していた。
私は、気になったので
「ユーリ、一体どうしたんだ?」
「あ、レインさん、この人が私に頼みたい事があるって、言ってきまして……」
ユーリがそう言うので、話しかけた人物を、観察してみると……
剣を装備して、荷物を背負っている男だった。
「貴方は?」
そう聞いて来たので
「私は、レインと言う、貴方は?」
「私は、ジャンと言います、よろしく……で、この子はユーリと言うのは間違いはないですか?」
「あ、はい、ユーリです」
「そうですか……では、ユーリ殿、頼みたい事があるのですが……よろしいですか?」
「私に頼みたい事ですか……?」
「ああ、私はお宝を捜し求めている、探求者なのです、ちょっと気になる塔を発見したので、それで、その塔の調査をしたのですけど……その塔の上に行けなくてですね? それで魔術師を探していたのです」
「魔術師なら、他にいると思うが……何故、ユ-リなんだ?」
「その塔にいる魔物と言うのは、シャドウナイトと言いまして、そのシャドウナイトは、光術の「ビーム・レイ」とか言う術で倒せるらしいです、その術を覚えている魔術師を探していた所、疾風の剣狼とか言う人達に教えられまして……ユーリ殿の名があがったのです」
「アインさん達が、私の事を……?」
「ああ、詳しい特徴を教えてくれたので……君が同じような格好をしていたので、声をかけたのですが……ユーリ殿、手伝ってはくれませんか?」
「……レインさん、私、どうすればいいんですか?」
「ユーリは、どうしたいんだ?」
「……この人、私の事が必要なんですよね?」
「そう見たいだぞ?」
「……じゃあ、引き受けます、レインさん、いいですか?」
「別に構わないぞ? もう依頼は完了したしな? 後は戻るだけだったし」
「ありがとうございます、ジャンさん、そう言う訳ですので、お手伝い致しますね?」
「おお、ありがとうございます、では早速、その塔に向かうとしましょう、レイン殿、ユーリ殿、よろしく頼みますね」
ジャンがそう言ったので、私達は、塔に向かう事になったのであった。シグルンの町から出て、北の方角に進んでいくと、草むらから魔獣が現れた。
現れたのは、白い蛇のような姿の魔物で、確か……ホワイト・スネークと呼ばれる魔獣だった筈、私は敵なので、剣を構える。
「レイン殿、ここは私に任せて下さい」
と言って、ジャンが剣を引き抜き、ホワイト・スネークと向き合った。
ここは……任せた方がいいのか?と、そう思ったので、様子を見る事にした。
ジャンは、ホワイト・スネークの噛み付き攻撃を避けて、回転するように切り込む、ふむ……見慣れない武術だな? その攻撃によって、ホワイト・スネークがバラバラになり、消滅していった。
「どうです、私も結構やるものでしょう」
「その剣技は、何所で覚えたんだ?」
「これは、自己流ですね、探求者は色々と危険がつき物でしてな? さ、行きましょう」
そうジャンが言ったので、道を進んでいくと、塔が見え始めた。あれが……今回調査する塔か……? 随分と古い感じがするな……
「さ、着きました、この塔の上を目指しましょう」
「はー……大きい塔ですね……」
「そうだな……さ、行くか」
「はい」
そう言って、塔の入り口の扉を押してみる。しかし……全く動かなかった。
「この塔は押したのでは開きません、こうするのです」
ジャンが、扉をゆっくりと引くと、ガラガラガラと音がして、簡単に開いてしまった。
「さ、開きましたから、中に入りましょう」
そう言って、中に入って行ったので、私達も中に入ってみる。塔の中は、薄暗くて、奥がほとんど見えない状態だった。
「レインさん、ここは私に任せて下さい、ライト・アップ」
ユーリが杖を取り出して、呪文を言うと、光の玉が出現して、辺りを照らし始めて、塔の内部が判って来た。
「ユーリ殿を連れて来て正解でした、ありがとうございます」
「い、いえ……」
「さ、道が右と左に分かれていますが、決して右の道には行ってはいけませんよ?」
「どうしてだ?」
「右の道は、落とし穴の罠が設置されているのです、暗いから気づかずに落ちる輩もいるようですしね……では、左に進みましょう」
ジャンが左の道に進んでいくので、私とユーリは、言われた通りに左の道を進む事にした。
左の道を進んでいくと、階段が見えて、上へと上がるみたいだった。階段を上がって行き、二階に辿り着くと、一本道だった。その一本道を進むと、部屋があり、その奥に階段が見える。
その階段の手前に、二体の鎧が、通行を阻止するかのように、置かれてあった。
「あれが、シャドウナイトです、さ、ユーリ殿、術をお願いします」
「えっと……大丈夫なのかな……まあ、やってみますね? ビーム・レイ!」
ユーリの術が発動して、シャドウナイト一体に命中
すると、一撃でシャドウナイトが消滅した。
「あ、倒せました!」
「あと一体です、残りもお願いします」
「わ、解りました、ビーム・レイ!」
もう一回、ユーリが術を発動して、残ったシャドウナイトに命中
こっちも同じように消滅して、これで上に行けるようになった。
「これで上へ行けますね、さ、行きましょう」
そうジャンが言うので、私達も階段を上って、上の階へと向かう事にした。三階に辿り着くと、ここも一本道で、奥に部屋があるみたいだった。一本道を歩いて、部屋の中に入ると、棺が三つあるだけで、奥に階段がないので、ここが最上階なのか……?
「何なんでしょうね? この部屋……」
「ああ、あの箱の中に何かが入っているんじゃないか?」
「そうですよね……? それしか、ないですしね?」
「早速開いて見ましょうか? 私は真ん中、ユーリ殿が右の箱を、レイン殿は左の箱をお願いします」
ジャンが言ったので、言われたとおりにして、箱を開いてみる。私が開いた箱の中に入っていたのは、一本の剣だった。この剣って何なんだ? と思い、取り出して振ってみると、剣から火が渦巻いて飛び出て、ちょっと驚いてしまった。その様子を見て、ジャンが
「レイン殿、その剣は魔法剣のようですね?」
「魔法剣?」
「ええ、効果を見る限り、火が出ましたので、魔法剣 フレイ・ブレードかと思います」
「ほう……魔法剣ね……うん、これは使えそうかもな……ところで」
「はい」
「この剣を勝手に持っていっていいのか? ここにあると言う事は、誰かがここに保存をしたと言う事だろう?」
「そうですねでも……この塔の持ち主が誰かとか、全く解らないし、それにこの塔、結構古い塔なので、作成者がもう既に亡くなっている可能性が高いと思います。私は探求者なので、お宝を発見したら、自分の持ち物として、持っていくとかしていますね、それが探求者と言う者です、または盗賊とも言うかも知れません。でも私は、この探求者を誇りに思っていますので、やめるつもりはないですよ」
「なるほど……じゃあ、せっかくだし、この剣は頂いていくとするか」
せっかく手に入れたので、私はこの剣を使う事にした。今使っている剣を、この箱の中に入れて、この剣を鞘に収納する。丁度剣を買い換えようと思ってたので、これはいい物だな……って、思ってしまった。
「レインさん、こっちの箱には何も入っていなかったです」
そうユーリが言って、ジャンが持っているのは、指輪みたいな物だった。
「それは何だ?」
「よく解りませんが……値打ち物かも知れないですね、とりあえず貰っておきます」
ジャンがそう言って、指輪を懐に仕舞う。
「さ、これでこの塔の調査は完了したので、戻りましょうか」
ジャンが言ったので、私達は塔を出る事にした。
塔を出た後、ジャンが
「レイン殿とユーリ殿は、これからどうするんです?」
そんな事を聞いて来たので
「私達はユーグレストに戻る事にしているが、ジャンは?」
「私は、シグルンの町に戻ります、じゃあ、ここでお別れですね? また何所かで会えるかもしれないですが、それまで……さようならです」
ジャンがシグルンの町の方へ、歩いて行ったので、私は
「じゃあ、ユーリ? 私達は、ユーグレストに行くか」
「はい」
そう言って、ユーグレストの町へと、向かう事にしたのであった。




