~第三話~自分の能力を調べる事にしました~
初めての依頼を受けました。
そして、レインとはぐれて、一人ぼっちになってしまいました。
さて、一人になって、まず考える事はと言うと……「自分の魔力がどのくらいあるのか?」だった。
だって、もしもの時に魔術が使えないと、自分の身も守れないしな……ゲーム「マジカル・クエスト」だったら、ステータス画面を開いて、MPの確認できたけど、ステータス画面の出し方なんて、さっぱりと解らないし、とりあえず……「ステータス・ウインドウ!」と叫んでみても、何にも起こらなかった。しかも、町の連中が、俺の姿を見て、奇異な目線で見てるって感じがする。
ま、黒いローブ着込んだ格好の俺が、「ステータス・ウインドウ!」と叫んだら、めっちゃ不審人物だよな、うん。
自分の魔力がどのくらいあるのか? ステータス・ウインドウが開けない場合 ここで役立つ物と言えば、魔証石の存在だった。
この魔証石は、ゲーム「マジカル・クエスト」でも存在して、手で触ると、水晶玉なので、その中に、魔力最大値と魔力数値が現れるのである。
もし、この魔証石が見つかれば、これで自分の魔力がどのくらいあるのか解るので、とりあえず、依頼品の美化花を採取する前に、魔証石の存在を、このユーグレストの町で、探す事にした。
数分後……割と簡単に見つかりました。
けど、売り物だった。
文字が読めるので、値段を見てみると、「魔証石、100ベリカ」と書かれてある。
今、100ベリカも持っていないんだよな……こういう場合、どうするか……? と考えていると
「お、コウ、ここで何をしてるんだ?」
と、何か食べながら、俺に話しかけ来たのは、レインだった。
俺は、レインに
「レイン」
「何だ?」
「100ベリカ、頂戴」
「いきなりだな、おい……」
「駄目か?」
「理由を言ってくれ」
「この魔証石が欲しいんだ」
「ほう……魔証石ね……」
「駄目か?」
そう言って見ると、レインはちょっと考えた後
「解った、100ベリカぐらいなら、くれてやるぞ、餞別だな」
俺に一枚の銀色をした硬貨を渡してきた。これ一枚で、100ベリカになるのか? とか思ったが、せっかくなので、店員のおっちゃんに
「おっちゃん、これをくれ」
「ちょっとまて、おっちゃんとは何だ、こう見えてもまだ、二十代だぞ」
そう店主が言っているが、顔が髭もじゃで、どう見ても老け顔なので、とてもじゃないけど、二十代に全く見えなかった。
「どうでもいいだろ? この金で、その魔証石をくれ」
「どうでもいいってな……まあ、客みたいだし、売ってやるよ? この魔証石だな?」
「ああ」
「はい、一つで100ベリカになるぞ」
「はい」
俺は、さっきの硬貨を店主に渡して、魔証石をゲットした。これで俺の今の持ち物は、黒のローブにズボン、魔証石となった。さっそく、購入した魔証石で、自分の魔力を調べてみる事にした。自分の手を魔証石に翳すと、水晶の中に数字が現れる。現れた数字はと言うと、魔力最大値100 魔力値99となっていた。と言う事は……ユーグレストの森で使った「デス・トラップ」の魔力使用量……1って事か? それって……ある意味凄いんじゃないだろうか……?
でも、もしかしたら魔術を使った後に、魔力が回復して、この数値になったのかも知れないから、使用魔力が1と言うのも、まだ解らないよな……とりあえず実験してみないと……そう思っていると、レインが
「コウ、魔力はどのくらいあったんだ?」
「100と表示されたんだけど、これって高い方なのか?」
「おいおい……魔力値が100って、子供レベルだぞ、大魔術師だって、軽く十万は越すのだが?」
「十万……マジで?」
「ああ、まあ数名しかいないがな、ちなみにな? 魔力値が100ぐらいだと、十才ぐらいの子供が持っているぐらいだな、と言うか……そこまで低いなんて、魔術師として、才能がほとんど無いんじゃないか?」
魔術師じゃなくて、ネクロマンサーなんだけどな……とりあえず、レインに聞いてみる事にしてみるか
「レイン、俺って魔術師じゃなくて、ネクロマンサーなんだけど、俺の他にネクロマンサーっているか?」
「ネクロマンサー? 聞いた事がないな、それはどんな魔術師なんだ?」
「……そういう事か」
「ん?」
今のレインの言葉で解った事があった。この俺のいる世界だと、魔法が使える者は、全て魔術師として言われているんだと思われる。じゃあ、「マジカル・クエスト」にあった、魔術師と魔術師は、もしかしたら、いないのかも知れないな? と言う事は……俺、最強になれるんじゃね? だって、前に予習したネクロマンサーの術って、かなりえげつない物ばかりだからな……もしその全ての術が使えるんだとしたら、魔王グレイトニブもイチコロかと思われる。
まあ、使えるかどうかは解らないので、実験していくしかないけどな?
そう考えていると、レインが
「じゃあ、私は行くが……コウはどうするのだ?」
「俺? 必要な物を揃えてから、依頼品の回収に行ってみる事にするよ」
「そうか……じゃあ、教えとくぞ、コウは初めて来たのだろう? まず、あそこに見える店が、食事所だ、
で、あの奥に見える青い屋根の建物が宿屋だぞ? もし泊まるんなら、そこをお勧めするぞ、では、私は行く所があるので、これで失礼する」
そう言って、レインは何所かへと行ってしまった。再び一人になった俺は、とりあえず……実験を行いながら、依頼品の採集に向かう事にしようと決めて、町の人に西の方角を教えて貰い、依頼品「美化花」の採集をしに、ユーグレストの町を離れる事にしたのであった。