~第二十一話~ユーグレストのお祭りの日~
ルルルルと時物の音が鳴り響いていたので、俺は、目が覚める。
目が覚めて、今日で異世界生活八日目と突入した。
時物が、鳴り響いているので、五月蠅いから、スイッチを押して、時物を止める。
よし、せっかく起きたんだし、魔証石で確認するか!
と思う事にして、魔証石で、自分の魔力がどのぐらいかを確認してみると……
魔力最大値140、魔力値140と、なっている。
前に計ったら、120だったので……20上がっていると言う事は、これってレベルが上がったと言う事なのか? 一レベル上がる度に魔力が10上がるみたいなので、今現在のレベルは、多分……ネクロマンサーレベル14なんだと思われる。
14と言う事は……ネクロマンサーの四番目の術、これは、前に予習した時に覚えているのは、ネクロマンサーレベル20で覚える術なので、まだレベルが6足りない状態だと思う。
ま、魔物とか倒して行けば、いずれ上がるだろうなー……とかそう思ったので、それに今日は、ユーグレスト祭りとか言われる、お祭りの日
うん、楽しむとするか! と決めて、顔を洗った後、部屋の外に出る事にした。
外に出て、食堂の方に行って見ると、今日は人が全くいなく
食堂には誰もいないみたいだった。
リムも来ていなかったので、どうしたんだろうな……と思っていると
「あ、コウ?」
俺に話しかけてきたのは、リムだったのだが……リムの着ている服装が、いつもと違っていた。
いつもは、魔術師のローブを着ているのだが、今日の服装はというと、何と言うか……縁日に着そうな感じの、赤色の浴衣っぽいのを着ている。
「お、おはよう……」
「おはよう、コウ? 今日はユーグレスト祭りだから、食堂はやらないって、女将さんが言っていたわよ?」
「そうなんだ、で……」
「で?」
「その服装は、一体なんだ?」
「あ、これ? 女将さんがね? 特別にこの服を貸してくれたのよ、せっかくのお祭りだしね? ね? どう?」
よく観察してみると、うん、赤が似合っているので、可愛く見えてしまっている。
ただ残念なのが、明らかに胸のサイズが小さいので、これが巨乳だったら、もっと色っぽいんだろうな……とか、思ってしまった。だけど、そんな事を言ったら、怒られそうなので
「よく、似合っているぞ」
「ありがと、さ、コウ? 早速、町の中を見て回りましょう?」
そうリムが言ったので、俺とリムは、宿屋「ユーグレ」から外に出る事にした。
外に出ると、結構沢山の人が歩いていて、昨日作っていたお店が立ち並び、お客が品物を買っている風景だった。何かが焼けるいい匂いが漂っていて、早速何か、食べたくなってしまった。
「リム、このお祭りで、美味しい物を食べようと思っているんだが、何か知っているか?」
リムに尋ねて見ると、リムが考え出して
「そうねー……とりあえず、焼いた肉を売っているお店があるから、まずはそこに行って見ましょう?」
「了解」
俺とリムは、焼肉を販売しているお店を、探す事にした。
数分後、簡単に見つかり、鉄板の上に肉を焼いていて、結構美味しそうな匂いがした。
焼いているのが、前に会った事のあるおっちゃんで、俺は、そのおっちゃんに
「おっちゃん、これ、いくら?」
「おい! 俺はおっちゃんじゃねー! って、前に会った事あるな?」
「いいから、おっちゃん、これいくらだって聞いてるの」
「だから、おっちゃんじゃねーって言ってるだろ! 俺はまだ二十代だっつーの! ちなみに今、焼いているのは牛の肉だな、牛肉焼きだが、食うのか?」
「食う、で、いくらだ? おっちゃん」
「だから何度も言わせるなよ! はあ……もういいや……これ一つで、300ベリカな? ちなみにお前さん、祭りは初めてか?」
「ああ」
「じゃあ、教えとくな? 今日のユーグレスト祭りで出されている食品の全てが、均一の300ベリカとなっているぞ」
「それ……儲かるのか?」
「せっかくの祭りだしな? 儲けとか余り気にしてねーんじゃねーか? 俺もそうだしな? ほい、牛肉焼きお待たせ」
「二ついるから、はい、600ベリカ」
そう言って、おっちゃんにお金を払って、リムの分と俺の分、二つ購入した。
焼いたばっかりなのか、結構熱かったが、食べてみると、味付けがいいからか、滅茶苦茶美味しく、はっきり言って、ご飯が欲しくなってしまった。
あっという間に食べ終わり、次は何所の店に行こうかと、考えていると
「あらー? もしかしてー? コウちゃんじゃなーいー?」
後ろから声がしたので、振り向いて見ると……雑貨屋の店主、ロマスだった。ロマスの服装を見て、驚いたのが、ピンク色の明らかに女物の衣装を着ているのである。
しかも、肉体に合っていないからか、ぎちぎちで、今にも服が破れそうだった。
うわ……気持ち悪い物を見てしまった……
「ここで会うとは、運命を感じるわねー? ね? どうせなら、一緒に行かなーい? コウちゃんが望むなら、気持ちよくさせてあげるわよー?」
「け、結構です! 連れがいるので! では!」
俺はリムの手を握って、ロマスから逃げるように、立ち去る事にした。
数分後、追いかけて来なかったので、何とか助かったみたいだった。
あー……嫌なもんを見てしまったなあ……
「コ、コウ……? いきなり手を掴んで、どうしたの?」
「嫌なものから、逃げただけだ……手、掴んで悪かったな?」
「まあ……いいけどね? それより、コウ? 次は何食べる?」
「そうだなあ……あ、あそこでパンを売ってるな? あれでいいか?」
「ええ、いいわよ?」
俺とリムは、パンを売っている出店へと、向かった。
店に辿り着き、店員に
「お勧めのパンって、ある?」
そう聞いてみると、店員が
「こちらのパンが、売れていますよ?」
と、真っ黒のパンを見せてきた。これ……何パンだ? と思ったので
「これは?」
「これは、黒パンと言います、見た目は黒いですが、甘くて美味しいですよ? お一つどうですか?」
そう言ったので、甘いなら食べてみるのもいいかもな?
そう思ったので、俺はリムに
「リム、これ、いるか?」
「ええ、どんなのか気になるしね? 頂きましょう?」
「解った、じゃあ、二つ下さい」
「毎度ありがとうございます、二つで600ベリカになります」
そう言ったので、600ベリカを払って、黒パンを頂いて見る事にした。食べた感じを一言で言うと……これ、チョコレートパンにそっくりだな……と思ってしまった。これがチョコレートなのかは不明だが、ま、甘くて美味しいので、問題はないな? と思う事にして、あっという間に完食
リムも食べ終わった見たいなので、他の店に行って見る事にした。
他の店を見て回ったが、特に欲しいと言う品物は、全くなく、時間だけが過ぎていき、夕方になった。
夕方になると、やっていたお店が解体作業をしているので
どうやら、お祭りが終了になるみたいであった。
「あれって、お祭りの終了って事か?」
「ええ、ユーグレスト祭りは、朝から夕方までとなっているからね? だから、お店を片付けているのよ」
「そうか、じゃあ……宿屋「ユーグレ」に戻るとするか」
「ええ、そうね」
俺とリムは、宿屋「ユーグレ」に戻る事にした。
宿屋「ユーグレ」に戻ると、女将さんが
「お祭りは楽しんで来たかい?」
と言って来たので、俺は
「楽しめました」
そう言うと
「そうか、それは良かった、じゃあ、今日も泊まるのだろ? 今日は食堂を開かなかったけど、明日は開くから、よろしくね」
「はい、じゃあ同じ部屋を希望します」
「了解」
そう言うと、リムが「お祭りで払って貰ったし、今日は、私が払うわね」と言って、女将さんに宿代を払う。払った後、同じ部屋へと移動する事にした。
「じゃあ、私、こっちだから、お休みなさい、コウ」
結局、今日も一緒の部屋になる事はなく、別々の部屋に泊まる事になった。
一人になって、部屋の中に入り、明日はどうしようか……と考える。
少量ながらでも、お金が溜まって来たので、これをもっと貯めるには……と、考えて
まだ術も三つしか覚えてないし、なるべく簡単そうな依頼を受けながら、レベルを上げていくかな? と、そう決める事にして、今日の一日が、終了したのであった。




