~第十一話~初めての武器~木製の杖〜
コロボンの討伐を完了したので、俺達は、ユーグレストの町に向かっていた。
移動中、出くわした魔物がいた。その魔物とは……
「コウ? この魔物……知っている?」
「ああ、知ってるぞ? ネオクサライムだろ?」
そう、俺達が出くわしたのが、ネオクサライムと呼ばれる魔物である。このネオクサライムは、クサライムが合体して、誕生した魔物で、クサライムの色は、緑色なのだが、このネオクサライムは、どういう訳か、青色に変色しているのである。大きさも、クサライムより、二倍に大きくなっていた。
「リム、このネオクサライムって、倒した事あるか?」
「あるわよ? その時は、風系の術で退治していたわね?」
「そうか……なら、俺が足止めするから、リムが退治してくれ」
「了解」
俺は、そう決めて、この術を言う。
「デス・トラップ!」
そう言った瞬間、ネオクサライムの動きが止まったので
「リム、今だ」
「ええ、リンクシード!」
リムが、杖を振るって、術を発動、この術は、俺は知っていた。
ゲーム「マジカル・クエスト」の、魔術師レベル15で覚える術で、効果は、対象物一体に、風の刃を当てる術である。ゲームだと、100ダメージを与える、そこそこの術であった。
その術が、ネオクサライムに命中、スライム状態なので、真っ二つに千切れた。
消滅はしないみたく、まだ動いていたので、俺は、再び同じ術を言う。
「デス・トラップ!」
片方のネオクサライムが、動きを止めたが、もう片方のネオクサライムが飛びかかってきて、リムの服にくっ付いた。
「うー! 気持ち悪いー!」
リムがそう言って、着ている魔術師の服を脱ぎだして、下着姿になり、服を振り回して、くっ付いた、ネオクサライムを引き離した。引き離した、ネオクサライムに、杖を持って
「ファイヤーボール!」
リムの術が発動して、ネオクサライムに命中、弱い術だったけど、ネオクサライムがあっさりと消滅した。半分になっていたから、体力も少なかったんだと思う。
でも、片方のネオクサライムが残っていたので、デス・トラップの効き目が切れて。動き出したので、俺は、こう言う。
「デス・トラップ!」
二回目のデス・トラップが効いて、再び動かなくなったので、俺は、実験を行う事にした。
対象物をネオクサライムに設定して、効果を毒にしてから、こう言う。
「デットリー・レイ!」
ネオクサライムの色が変化していき、毒状態となったので、俺は、再び対象物をネオクサライムに設定、今度は眠り状態にして、術を発動してみる。
「デットリー・レイ!」
すると、ネオクサライムの動きが止まり、眠った風に見えた。うん……どうやら、実験は、成功したみたいだった。それにしても……毒状態のまま眠りね……凄い卑怯だよなーま、助かるけどな?
うん、この戦法は、滅茶苦茶使えるな……そう思ってると、いつの間にかローブ姿に戻っているリムが
「ね、ねえ…………コウ?」
「ん? 何だ?」
「もしかして……見た?」
「何を?」
「い、いや、いいわ! 」
「そうか」
「ええ……」
「それにしてもな……流石に黒はないだろ?」
そう、リムが服を脱いだ時、バッチリと下着姿を見ていた。俺が見た感想を言うと、黒はないと思ってしまった。ああいうのは、スタイルが良くて胸の大きい女が着用していたら、凄く色っぽくていいと思うのだが、リムはかなりの貧乳なので、色気がないんじゃね?って感じだった。
俺がそう言うと
「しっかりと見てるんじゃないー! 別にいいでしょうがー!」
何か顔を赤くして怒ってる風に見えていた。ま、気にしないことにして、ユーグレストの町へと行くかな? そんな事を考えながら、移動して、ユーグレストの町にたどり着いた頃には、夕暮れ時となっていた。
「やっと、着いたなあ」
「ええ、そうね……まだ、換金所はやっているから、さっさと換金しに行きましょう?」
「ああ、そうだな」
俺達は、そう決めて、ユーグレストの町の換金所に向かった。
換金所に着いて、建物の中に入ると、中にいたのはカウンターに1人だけだった。
水色の髪のサリューさんがいたので、サリューさんに話しかける。
「依頼品を、持ってきたぞ」
「あ、コウ・ドリム様ですね? コウ様の依頼は…………「コロボンの討伐」となっております
では、依頼品を提示してください」
俺は、バッグを開いて、カウンターの上に依頼品を出す。
「これでいい?」
「では、確認作業に入ります…………はい、確認が取れました、では、少々お待ち下さいませ」
奥の部屋に行き、数分後
「お待たせしました、600ベリカになります」
「ありがとう」
俺は、そう言って、受け取った銀貨を受け取る。
「では、またの依頼をお待ちしております」
換金が終わったので、換金所の外に出る。
換金所を出た後、リムに依頼料を半分渡して、残るお金をコイン袋の中に入れた。
「さてと……取りあえず、泊まれる金は入ったな?」
「そうね……ねえ、コウ?」
「ん?」
「余ったお金でさ? コウの武器でも購入しましょうよ? さすがに魔物と戦う時、武器は持たないとね?」
「それもそうだな、じゃあ、そうするかな?」
「じゃあ、決まりね? では、行きましょう」
「行くってまさか……」
「ええ、もちろん、あの雑貨屋さんよ」
「ちょっと待て! 武器なら武器屋だろ? 何であの雑貨屋さん何だよ?」
「こんな時間だからよ、武器屋って夕方には、お店閉めちゃうのよ、雑貨屋ならまだやっているしね」」
「そうなのか……?」
「ええ、だから、買えるとしたら、あの雑貨屋さんなのよ、大丈夫、残りのお金で買えるわ!」
「あーもう解ったよ、結局行くしかないか……」
あの個性的な店長には、余り会いたくなかったが、確かに、何かしら武器っぽいのを持ってないとな……と思ったので、雑貨屋に行く事にする事にした。
町の中を歩いて、雑貨屋「ロマンス」に辿り着く。
俺は、リムにこう言う事にした。
「リム」
「何よ?」
「一緒にお店に入ってくれ」
「何でよ? 一人で入ればいいじゃない」
「だって俺、武器がどんなのか知らないしな? それにな……あの店長と、二人きりとか、かなり嫌だ」
「はあ……解ったわよ、一緒に入ってくあげるわ、感謝しなさいよね?」
「ああ、感謝する」
そう言って、二人でお店の中に入る。店に入ると、出迎えてくれたのは
「いらっしゃい~あら~今日も来たのね~? もしかして、私に会いたくなってきたのかしら~?」
ここの店長のオカマっぽい、ロマスだった。
「いえ、あの……このお金で、武器を購入したいんですけど?」
俺は、ロマスにコイン袋からお金を取り出して、見せる。見せると、ロマスが
「このお金で武器ね~? これだとそうね~……色々あるけど、ちなみにどんなのがいいかしら~?」
「こう見えても、コウは、魔術師だから、杖とかない?」
「あら、そうだったわね? 貴方コウと言うのね? 覚えたわ~じゃあ、ちょっと待ってね~」
ロマスがそう言うと、何所かに行ってしまい、数分後
「その値段だと、これね~」
そう言って一本の杖を持ってきた。木で造られたような感じの杖で、長さも腕ぐらいの長さだった。
「コウ、これにしたら?」
「……ああ、そうする、じゃあ、これ頂きます」
「毎度ありがとうございます~、また買ってね? コウ君」
凄い寒気がしたが、とりあえず……お礼を言って、店を出る事にした。
店を出た後、杖を持って振ってみる。うん、何というか……軽かったので、振り回すのが簡単だった。
「よし、これを武器にするか」
「杖としては使わないの?」
「ああ、俺、別に杖を使って呪文とか、必要ないしな? だから、これで物理攻撃として、殴りかかるよ」
「はあ……まあ、いいんじゃない? さ、もう暗くなってくるし、宿屋に向かいましょうか?」
「ああ、そうだな」
俺は杖をズボンに差し込んで、宿屋に向かう事にした。宿屋「ユーグレ」に辿りつくと、すっかりと暗くなっていた。宿屋の女将さんに、お金を払う時、リムが「今日は私が払うわ」と言って、リムが代金を支払い、部屋を取る。
「じゃあ、今日も別々ね?」
リムが勝手に別の部屋を取ってしまったので、今日も一緒の部屋にはならなかった。
ま……いつか、一緒になるだろ? とか思いながら、予約した部屋の中に入り
凄く眠くなってきたので、そのまま寝る事にして、今日の一日が終了したのであった。




