~第百一話~シグルンの町~イゴールとの会話~
ベゼルバード王国から、シグルンの町に戻る事になった俺……
結局、せっかくこの国に来たのに、あんまり情報は得られないような気がするな……って思えて来る。まあ、人形のレイナが言うには「イゴールに会いましょう」とか言っているので、とりあえず……イゴールの爺さんに会いに行くか……と言う事になったので、俺は移動する事にした。
ベゼルーバード王国からシグルンの町に戻る為、まず転送陣がある場所に向かう事にした。
歩いている途中、見かけるのは色々な人種がいるので、まあ国としては大きいほうなんじゃね?って感じに思えて来る。
ベゼルバード王国の中を歩く事数十分後、転送陣がある場所に辿り着き、そこにいる魔女っぽい格好したねーちゃんに、転送出来るかどうかを聞いてから、転送代を支払って、転送陣の上に乗る事に。
もう何回も経験しているから、移動手段があっと言う間なので、気がつくと……シグルンの町に戻っていた。
シグルンの町に戻った事を確認していると、俺の持っているバッグの中から
「コウ? 無事にシグルンの町に着いたかしら?」と、そんな声が聞えて来やがった。
これ、他の連中に聞かれてないよな……? と、辺りを見渡してみると、俺の事を見ている者とか視線を感じるとかそう言った事は全く感じなかったので、俺はバッグを開けて、人形のレイナに
「おい、いきなり話かけるなよ? 変に思われるだろ?」
「変って何よ? それより……シグルンの町に着いたのかしら?」
「ああ、無事にシグルンの町に辿り着いたぜ?」
「じゃあ早速、イゴールのいる場所に行きましょう?」
「解った、とりあえず大人しくバッグの中に入っとけよ」
「解ったわよ、黙って大人しくしているわね」
レイナがそう言って、バッグの中で大人しくなったので、俺はシグルンの町の中を移動する事にした。
結構な時間が経過したからか、日が落ち始めていて、今の時刻は夕方みたいで、もうそろそろ暗くなりそうなので、急いだ方がいいか……? とか重いながら、イゴールの住んでいる家へと向かう。
町の中を移動する事数十分後、イゴール爺の住んでいる家に辿り着いたので、家の扉をドカドカとぶったたく。これで気がつかなかったら、ぼけてるか居留守使っているかなので、扉ぶっ壊そうか?とか、そんな事を考えていると
「五月蝿いわい! 一体何なんじゃ!」
すげー怒った風な顔をしながら、イゴール爺が出て来たので、俺は
「また用があってやって来たんだが、ちゃんといて安心したぜ」
「お前……! 何しに来たのじゃ! もう二度と会いたくなかったんじゃが?」
「用があるのは俺じゃなく、レイナが用があるから来たんだ」
俺がそう言うと、バッグの中から
「イゴール、私よ?」
そんな事を言った後、勝手にバッグから飛び出して来た。
おいおい、この現象を見て、この爺さん驚くんじゃないか? とか思ったが、思ったとおり、イゴール爺がレイナ人形を見て、驚愕の表情をしていた。
「私って……もしかして……その人形がレイナお嬢様なのか……?」
「そうよ? わけあって今はこの人形に憑依しているのよ、で、イゴール、聞きたい事があるのよ? いいかしら?」
「き、聞きたい事って一体……」
「私の生前の姿とかって残っているかしら? 例えば肖像画とか、そんな感じのよ? 私が覚えているのは、当時生きてた時に、肖像画を書いて貰った記憶があるのよね……けど、その肖像画何所へ行ったか? 全く思い出せないのよ? イゴールは、私、レイナ・オリオンハートの肖像画が何所にあるか知らないかしら?」
「えっと……その肖像画は……じ、実は」
「実は?」
「何か隠しているみたいだな? 素直に吐いちゃった方が楽なんじゃないか?」
「実は……今から約一年前にジャンと言う男が尋ねて来て、その男が言うには「私はお宝と謎を求める探求者です、このシグルンの町にあるお屋敷、オリオンハート家でしたっけ? そのお屋敷は今はほとんど使われてませんよね? その中で不用品とかありますか? 私が鑑定します」と言って来たので、あのお屋敷にあった物を何点か査定した後、お嬢様の描かれた肖像画を見て、「これはいい物だ、値打ちがある。オークションで売れば高額になりますよ?」と言われたので……」
「言われたので……まさか…う、売り払ったの?」
「だって、残っていてもしょうがない品でしたし……オークションで売り払ってしまいました」
「い、一体誰に売り払ったのよ! ねえ!」
「そこまでは……けどオークション会場は、ベゼルバード王国でやりましたぞ? その王国に行けば、何か解るのではないですか?」
「おいおい、またベゼルバード王国かよ……」
何だこれ? すげーめんどくさい事になってないか? 今の状況
「とにかくもう教える事は何もないのじゃ! それではな!」
イゴールがそう言って、扉を閉めやがった。
結局解った事は、再びベゼルバード王国に行かなくちゃ何もわからねーと言う事みたいだった。
「おい……結局またベゼルバード王国に行かなくちゃならんのか?」
「そ、そうみたいね……どうする? コウ? 今からベゼルバード王国に戻る?」
「いや、今日はもう疲れた、家に戻って明日にしたい」
「そう……確かにそうよね? じゃあ明日は再び、ベゼルバード王国よ? いいわよね? コウ」
「いや、その前に」
「その前に?」
「残りの金が少なくなって来たからな? 明日何か冒険者ギルドで依頼を受けてからでいいか? 別に急ぐ事でもないだろ?」
「……そうね……解ったわ、そうして頂戴」
「よし、決まりだな? じゃあ家に戻るとするか 俺の家に」
「俺の家って……元々私が住んでいた家なんだけど……」
レイナがぶつぶつ呟いていたが、ほっとく事にして、俺は自分のマイホームへと戻る事にした。
家に戻ると、家にいた三人からの報告で、食材は買ったが家具は購入しなかったと言う。しかも誰も料理できねーと、おい、それってどうなんだよ? と突っ込みたくなったが、幸い、俺は簡単な料理ぐらいは出来るので、自分で調理する羽目になり、俺は三人に「料理ぐらい作れるようになれよ」とか言ってみると、リムが「努力はするわよ」で、レインは「まあ、私は剣を扱うからな? 切るのは任せろ」で、ユーリが「あ、味付けとか頑張ります」だった。
……こうなりゃ誰か料理の指南役を付けないと駄目っぽいかもな……とか思いながら、やっと今日の一日が終わったのだった。




