~第九十六話~四人でグリーン洞窟に潜入する事にしました~
シグルンの町の宿屋「ルーンライト」で声を俺達に声をかけて来たのは、レインとユーリだった。
一体……何の用なんだ? と思ったので
「一体何の用なんだ?」
そう尋ねてみると、レインが
「コウ、それにリム……実はだな……ちょっと手伝って欲しい事があるんだが……いいか?」
「手伝って欲しい事って何? レイン」
「実はだな……」
レインが事情を話す。
何でもこの町で依頼、グリーンストーン? とか言う採取依頼を引き受けたのは良いが、そのグリーンストーンがあると思われるグリーン洞窟の奥に危険指定の魔物がいるので、俺達に手伝って欲しいと言う事だった。
「で……手伝ってくれないか?」
「私からもお願いします……二人だけだと、不安なので」
「コウ? 手伝って上げましょうよ? 困ってるのよ?」
じ~っと三人が期待の眼差しを俺に向けてきやがった。
これって、断れる状況じゃ無くなってきてないか? しかもリムまで加勢してやがるし……
まあ……危険指定の魔物がどんなのかが気になるが、それよりグリーンストーンがどんなのかも気になるし……それに……女の子が頼み込んでるんだから、断るとかすげー酷い男に見えそうだったので
「はあ……解った、手伝う事にするよ、けど、明日にしないか? 今日はもう遅いし」
「ありがとう、コウ、じゃあ……明日、詳しい説明をするから、今日はこの宿に泊まって、また、明日話すとする事にしよう、では、ユーリ、部屋に行こうか?」
「あ、はい、二人ともお休みなさいです」
二人がそう言って、俺達から離れて行った。
二人が離れた後、リムが
「じゃあ、私達も部屋に行きましょうか?」
「ああ」
そう決めて、俺達も部屋に泊まる事にした。
前は一緒の部屋とか駄目とかだったけど、結構長く一緒にいるので、同じ部屋でもOkみたいなので、リムと同じ部屋で、一泊を明かす事にした。
次の日、ここの従業員のオリフィアが「朝ですよ~起きて下さいませ~」とか、部屋の外から聞こえて来たので、眼が覚める。
今日で、異世界生活33日目となって、もう……一ヶ月以上もこっちの異世界にいるので、元の俺のいた場所へ戻りたいとか、ほとんど思ってなかった。
朝になったので、リムも起き出したので、リムと一緒に食堂へと行く。
食堂に辿り着くと、既にレインとユーリが席に座っていたので、レイン達に話しかける事にした。
「おはよう」
「お、おはよう、コウにリム」
「おはようございます」
「で……俺達もレインの依頼を手伝えば良いんだよな?」
「ああ、すまないが……そうして貰えると助かるな」
「そっか、じゃあ……食事してから、その場所に案内してくれないか、どの場所にあるか、俺には全くと言って良いほど、解らないからな」
「解った、案内するぞ」
とりあえず……方針は決まったので、朝食を取ってから、レインの引き受けた依頼を引き受ける事にした。
朝食を取り終わった後、受付に行き、受付にいるエリーから、預かって貰っていた武器を受け取ってから、宿代を支払って、ルーンライトを出て行く。
ルーンライトを出た後、レインが
「じゃあ、コウにリム、目的地に案内するから、ついて来てくれ」
「解ったわ、行きましょうか? コウ」
「ああ」
リムとそう決めて、四人で行動する事になった。
うん……町の中を歩いていると、やたら視線を感じるのは気のせいか……? とか思っていたが、理由は解る気がする。
主に俺に向けて、殺気みたいな視線を飛ばしてくるので、多分と言うか、「美少女だらけに俺一人状態」だから、羨ましいとか妬ましいとか思ってるんだろう。
ま、絡んで来なければ別に害は無いので、そのままほっとく事にした。
シグルンの町を出て、レインに案内して貰い、目的地へと歩いていく。
歩いている途中、出くわしたのは、何回も戦った事のある魔物、ロンリーウルフだった。
しかも一体だけだったので、襲い掛かってくるロンリーウルフに対して、俺は一言
「デス・トラップ」
そう言って、俺の術が発動、ロンリーウルフの動きを一時止めて、その隙にレインが剣であっさりと倒していた。
ロンリーウルフを倒した後、レインが
「うん……やはり……コウの術は使えるな? ある意味羨ましいかもな……」
「そうか?」
「ああ」
「確かに……コウさんの術、便利ですね……でも、絶対に私には向けて欲しくないです……」
「あー……解るわよ、ユーリの言うとおりね」
「それはどう言う意味だ? リム」
「何でもなーい、さ……敵もいないみたいだし、先を進みましょうか」
「そうだな」
そう話しながら、先を進んで行き、目的地のグリーン洞窟と呼ばれる場所に辿り着く。
「コウにリム、この中は真っ暗になっているから、灯りが必要になるぞ」
レインがそう言うので、俺はリムに
「リム、明かりの魔法を頼む」
そう言うと
「解った、じゃあ、行くわよ~……ライト・アップ」
リムの術が発動して、光の玉が出現、これで洞窟内が見えるようになったので、おれ達は、グリーン洞窟の中に潜入する事にした。
中に入って見て、思った事……まず、気味が悪い。
壁の色が緑色をしているので、不気味に見えるし、リムも「何かやな場所ね……」とか呟いている。
洞窟の奥に進んでいくと、別れ道が現れた。
この場合、どっちに進めばいいんだ……? と思ったので
「レイン、この場合、どっちに進めばいいんだ?」
そう聞いて見ると
「右の道だな、ユーリが言うには、左は地面が穴だらけで、危険らしいからな? 右の道に進む事にしよう」
「解った」
決まったので、右の道へと進む。
進んでいくと、立て看板と人の形をした石像が、何体も現れた。
立て看板にはご丁寧に「奥は危険、危険指定の魔物あり」とか書かれている。
「……これ、本当か?」
「……だと思う、この石像が証拠じゃないか? コウ」
「……なら……石化を使ってくる危険指定の魔物か……」
「ねえ? コウ……それって……前に戦った魔物、ワンバンキングじゃないかしら……」
「かもな……」
そう……俺とリムが前に、紅蓮の森に向かい、討伐した危険指定の魔物、目が四つあって、石化光線を放って来るワンバンキングと言う魔物だった。
そのワンバンキングが、このグリーン洞窟の奥にいるのだとしたら……
かなり不味い状況かも知れなかった。
けど……もしかしたら、倒せるかも知れないので、俺はレインに
「レイン、この奥にいる危険指定の魔物が、ワンバンキングだとしたら、協力してくれないか?」
「協力?」
「ああ、前はリムの術「スターシャイニング」で倒したんだがな? リム、使えないだろ」
「当たり前よ、ここでそんな大技使ったら、この洞窟が崩れて、生き埋めになってしまうわよ」
「な、なら……どうすればいいんですか?」
「だから、レインのその剣と俺の武器、光夢で叩くと言う事でどうだ?」
「……解った、私はコウの言う通りに行動すれば良いんだな?」
「ああ」
「じゃあ私達は、身体能力の強化魔法をかけましょう、ユーリも手伝って?」
「わ、解りました」
戦闘方針は決まったので、俺とレインが前衛、リムとユーリが後方支援と言う事になった。
リムとユーリが、俺とレインに身体強化の魔法「レッグスピード」をかける。
この魔法は、足を早くする魔法で、一定時間だけ足を早くする魔法だと言う事を覚えていた。
リムにかけて貰って、身軽になったので、洞窟の奥に進むと
赤い眼が四つ見えたのを確認、眼が四つあるのでワンバンキングと断定し、俺は急いで奴が石化光線を放って来る前に、術を食らわす事にした。
「デスト・ドリード!」
俺の術が発動、四つある目が赤く光っただけで、光線らしき物が発射される事は無かったので、その隙をついて、レインに
「レイン、行くぞ!」
「解った!」
俺の光夢とレインの魔法剣でワンバンキングを斬り付ける。
手ごたえはあったので、やったか……? と思い、リムの魔法の光で姿を確認して見ると、まだ動けるみたいだった。
灯りに照らされて現れたのは、思ったとおり、紅蓮の森で見た事のある危険指定の魔物、ワンバンキングだった。
何でこのグリーン洞窟にいるのが、さっぱりと不明だが……まあ、敵は敵なので、さっさと倒す事にして、俺は別の術をかける。
「デットリー・レイ!」
俺の術が発動、ワンバンキングの動きを麻痺させたので、レインと一緒に何度も斬り付ける。
何回か攻撃すると、体力が削られたのか、叫び声らしき物をあげて、ワンバンキングが消滅するのが確認出来た。
地面にワンバンキングが落とすアイテム「真実の眼」が落ちているのを確認
けど、必要な物ではないので、そのままにしておく事にした。
「ふう……ありがとうコウ、コウのおかげで無事に依頼を完遂出来そうだ」
「そうか?」
「ああ、さ、ユーリ、後はグリーンストーンを掘って探すぞ」
「解りました、あ、でも……」
「でも?」
「あんまり長くいるせいか、ちょっと息苦しいです……ここ洞窟の奥ですし」
「む……それもそうだな、じゃあ、危険と感じたらやめるとするか」
「はい」
そう言って二人は、スコップらしき物を取り出して、地面を掘っていくみたいだった。
と言うか……この世界にもスコップあったと言う事が驚きだな……
「コウ……どうする? 私達」
リムがそう聞いて来たので、どうしようかとリムと相談して
結局、レイン達と一緒にグリーンストーンを探す事にした。
で……見つかったグリーンストーンは、個体数で5個ぐらいで、大きさもバラバラだった。
ユーリが「もう限界です~」と言ったので、掘るのを中断して、元に戻して、洞窟内を出る事にして、俺達はシグルンの町へと戻る事にしたのであった。




