我ら帝都防衛隊
帝国は、3つの大陸にまたがっての領土を誇っている。
現状としては、皇帝陛下をお護りするためのエルハンドラ騎士団が、同時に帝都防衛の軍として機能していたが、昨今の情勢不安定化によって、帝都の防衛と皇帝陛下の守護を別の組織が行うことになった。
情勢不安定化のきっかけは、第6代皇帝陛下の崩御であった。
まだ制圧が終わっていなかった大陸より、領土侵犯がたびたびおこなわれ、それに呼応するように、国内の不穏分子が一斉に蜂起。
現在では大半の戦乱はすでに終結しているが、なおも、僻地にて闘争を行い続けている者たちもいる。
その者たちが、皇帝陛下に危害を加えないとも分からないため、皇帝陛下とそのご家族をお守りするための組織として、既存のエルハンドラ騎士団を。
帝都防衛のために、新たに作る組織である帝都防衛隊を充てることとなった。
「そして、その隊長を、俺に任せる。そういうことでよろしいですか」
行政組織上、エルハンドラ騎士団の指揮下に帝都防衛隊は入ることになっている。
だが、実質的な長は、別に存在する。
「そうだ」
その防衛隊長を、騎士団長閣下から、直々に指名された。
これは受けざるを得ない。
「分かりました、全身全霊を賭け、この職務を全ういたしましょう」
「皇帝陛下から、すでに帝都防衛隊についての裁可は受けている。翌日の仕事始めの時より、管掌する部隊を指揮始めよ。その時より、お前はエルハンドラ騎士団副団長 兼 帝都防衛隊隊長として、任務を全うせよ」
「はっ」
敬礼して、騎士団長閣下の部屋、別名帰らずの部屋から出ていく。
この部屋が帰らずの部屋と呼ばれているのは、後戻りができず、先に進むしかない決断が下されるからだ。
俺も、ここでそのような決断を下した。
「先に進むしかないのさ……」
気付けば独り言をしていた。
そう、俺に課せられた任務を、全力で尽くす。
そのことが、皇帝陛下のためになるならば、国のためになるならば、俺はそれを行い続けるだけだ。
気合を入れ直して、俺はキッと前を向き、新しい部隊の構想を練り始めた。