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新撰組パラノイア☆  作者: 杏里
序章
9/10

機密の前兆

「ここです」


沖田さんに部屋まで案内される。


屯所の端っていうから薄暗いイメージだったけど、日がよく当たる明るい場所だった。


私は部屋に入り、荷物の入った袋をドスンと置く。


埃はたたない。


(ホントにこの部屋つかってもいいのかな...)


いきなり来たのだから、埃っぽくて狭い部屋も覚悟していたが、きれいで申し分ない広さだ。


軽く動かす片足にかする畳は少しざらついている。前に誰か使っていたということか。


襖付近の壁には刀の傷跡がうっすらと見える。


部屋を一周回るが、上座の方で違和感を感じ足を止める。畳はつるつるとしていた。見回して他のものと比べるが、どうやらこの畳だけ新調したようだ。


(多分……精神疾患だ、この部屋の前の住人は)


私がもう少し観察をしようとしていた時、それまで入り口付近で眩しそうに外を見ていた沖田さんが振り返る。


「では、屯所内を案内しますね。行きながら局中法度について説明します」


「ぁ、はい!」


微笑み部屋を出る沖田さんに続いて私も部屋を後にする。


「局中法度っていくつあるんですか?」


「4つですよ」


「え?それだけなんですか?」


「ええ。ここは諸潘などと比べたら小さいですからね」


(そうなんだ…。


法度っていうから、あのワケわからん制度が並んだ武家諸法度を想像しちゃったけど…よかった。


そんなやつじゃあないみたい)


ホッと胸を撫で下ろす私に、沖田さんが第一条から読み上げる。


「一、士道に背くまじきこと


一、局を脱するを許さず


一、勝手に金策いたすべからず


一、勝手に訴訟を取り扱うべからず」


(離脱するつもりはないし、金策とか訴訟とか分かんないし…


一個目しか私には関係なさそうだな)


「『士道に背きまじきこと』以外は私はよく分からないので、簡単そうですね」


私が安堵しながら言うと沖田さんも微笑む。


「それもそうですね。あ、でもこれには続きがあるんですよ」


「?」


(あれ?でも4つって沖田さん言ってたよね…?)


沖田さんが最後の一分を読み上げた。


「この4箇条に背くときは切腹をもうしつくること」


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