私は何番隊?
すると、今まで苦笑いをしていた近藤さんが口を開いた。
「なぁ、皆、そろそろ入隊の話に戻りたいのだが…」
「おっ!そうだったな!!まずは何番隊に所属するか、だ。千優、どこがいい?」
「ど…何処がいいと言われましても…」
「そうだよ土方さん。そんなのを聞いたら千優が困るぜ」
「それもそうだな。んじゃ、千優は一番組で!」
「はぁ!?何でそうなるんだよ!!」
「平助が千優に聞くなって言ったんじゃねーか」
「勝手に決めていいとも言ってない!」
土方さんと藤堂さんが言い争い始めて、あたふたする私に近藤さんが話しかけてきた。
「千優さん、私も一番組がいいと思うんだが、どうかね?」
一番組といえば沖田さんが隊長だよね。
確かに、頼りになりそう。
「私は大丈夫ですけど…」
「僕も大歓迎ですよ」
「よし!なら千優さんは一番組で決定だ!」
近藤さんの宣言に、土方さんと藤堂さんの声が一瞬止まった。
「ちょっと!!近藤さんも何勝手に決めてるんですかっ!?!?」
「勝手ではないぞ?千優さんと総司も同意して…」
「同意というか、まず千優は断んねーだろ!」
「というより平助、お前は何で千優が総司の組に入るのをそんなに嫌がってるんだ?」
土方さんの言葉に藤堂さんが黙りこむ。
それを見た斎藤さんが口の端を引き上げた。
「ははーん。平助、お前千優に八番組に入ってほしいんだろ?」
「あぁ、そんなことですか。僕は手を出しませんから大丈夫ですよ?安心してください」
二人の言葉に藤堂さんの顔がみるみる赤くなっていく。
というかこの話題は、私も恥ずかしいっ・・・!
「ばっ…そうじゃねーって!…なぁ、千優、八番組でもいいよな?」
藤堂さんはしなっとこちらに身を乗り出して、下から顔を覗きこむ。
「ぇ…え!?」
突然目の前に顔がきて動揺してしまう。
(というか、色っぽすぎる!!)
とたんに藤堂さんが視界から消えた。
「ばっきゃろぉう!!男はもっとシャキッとしやがれぃ!!」
何故か江戸なまりの原田さんが藤堂さんの胸ぐらを掴んで持ち上げていた。
(何事!?!?)
「いって!…左之さん!何すんだよ!離せって!!」
藤堂さんは暴れるけど、原田さんはびっくりするほどびくともしない。
「見ろ!こんなに軽いじゃねーか!こんの、もやしっこっ!!」
そう言って原田さんは藤堂さんをひょいひょいと持ち上げる。
藤堂さんは胸ぐらを捕まれたまま上下に揺られて、とても気持ち悪そうにしている。
(今にも吐きそうだけど...大丈夫なのかな?)
「よし、とにもかくにも千優は一番組決定~!」
「ぇ…。いや、私は全然いいんですけど…藤堂さんはアレでいいんですか?」
原田さんにブンブンと振り回されている彼を指差す。
「あぁ。ほっとけほっとけ」
土方さんが苦笑いをする。
(まぁ土方さんがそう言うんなら…いっか。)
二人を切り捨てて私たちは話を進める。
「じゃ、次は処遇だな。千優は幹部同等の方がいいよな。良からぬ事を考える平隊士がいるし」
「確かに、襲われないように僕達の傍にいたほうがいいですね」
(お…襲…)
ゾッと寒気がする。
「何たって男所帯だもんなー!女に飢えてる奴たくさんいるし」
土方さんが何となく言ったその言葉が追い討ちをかける。
(言われてみれば!!男の人が何十何百といるなかで一人女として…しかも同じ屋根の下で!!)
全く考えていなかった当たり前ともいえる事実が、今更ながら私の頭の中を回る。
(どうしよう…襲われたら…何なら斬っちゃおうか、いやダメだよね…)
硬直状態の私に気付いた土方さんが慌てて取り成す。
「ほ、ほら!大丈夫だって!俺たちが守ってやるって!な?」
「そうですよ。私達といれば問題ありません」
「…」
私には、新撰組に入れるというこのチャンスを蹴るという選択肢はない。
土方さんと沖田さんの優しい言葉を信じよう…。
「分かりました。では、よろしくお願いします」
「…というか、どうやって幹部同等の扱いにするんですか?」
「た…確かに…」
斎藤さんの言葉に土方さんが黙り込む。
(え?本当に大丈夫なの!?)
「副組長みたいにすればいいんじゃないですか?組長の僕からそう言えば、一番組内の隊士は納得してくれると思いますよし」
「おっ!総司、その案いいな!!じゃあ千優は一番組副組長けってーい」
土方さんの指揮でてきぱきと色々決まっていく。
「あとは部屋だな。屯所の端に空き部屋あったよな」
「あぁ、あそこの部屋に行くには俺たち幹部の部屋の前を通らなくちゃいけないからな。安全だ」
「じゃあ総司、部屋まで連れてってやってくれ。ついでに局中法度とか屯所の間取りとかも教えてあげな」
「わかりました」
「んじゃ解散!!」
土方さんと近藤さんは去り際に優しく微笑んでくれた。
斎藤さんはチラッと振り返りニヤリと笑った。
永倉さんは寝ている山崎さんを引きずりながら出ていく…それでも尚寝ている山崎さんって…何か凄い。
「では僕たちも行きますか」
沖田さんの微笑みに促され、私はまだ暴れている原田さんと藤堂さんは置き去りに広間を出た。




