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9/37

ー9ー

 今日は、めずらしく式典があるようだ。天界は、朝から大忙しだ。

 例によって、部署にいない上司を探すのも私にとって大忙しだ。

「もう30分前なんですけど?!」

 一度、部署に帰ってくると、めずらしく上司は部署に滞在していた。

「お、おはようございます」

 そこには、キレイな女の人がいて、上司の髪型を結っていた。

「あら、おはよう」

 上司の真っ黒い長髪を華麗に編み込みにしている。紫色の瞳とよく合う宝石の髪飾りでまとめられていく。

 息を呑むほどの美しさだった。ベアリエル様とは、また違った。まるで魅了するかのような美しさだった。

「あ、ごめん。いつも外から人を呼んでいて、席を外していて悪かったね」

「あ、いえ」

 この女の人を出迎えに部署を離れていたのか。

「この方は、いつも式典の髪型をされる会社の人なんです」

「あ、あぁ、なるほど」

 新しく入ったばかりで、勝手にわからない事にモヤモヤする。

「なんかーいつ見てもキレイな髪でうらやましいです」

「それは、どーも」

 あんなに綺麗な人を前に上司は、全然嬉しそうな顔をしていない。

「はーい。出来上がりですよー」

「うん。どうもありがとう」

 髪型のセットが終わり、上司がクローゼットの中から、銀色の洋服を取り出そうとした。

「あ、あのっ今日の式典は紅いやつですっ」

「あーそうだったね。ありがとう」

 上司は、私の指摘にすぐさま紅いほうの服を羽織った。

「前をちゃんとしめてくださいっ」

 正装を着崩していてもなんだか様になっていることが驚きだが、偉い人が集まる中でだらしなさだけ目立ってしまうようで、気が気ではなかった。

「大丈夫、大丈夫。俺なんて見てる人いないから」

「そういう問題でわっ」

 神様にお会いになるのに、その前の開き具合はどうなんだろうか?と思わずにはいられない。

「それじゃ、行ってくるから」

 いつもとは違ったシャンとした上司を見送る。

 これがベアリエル様だったら、あんなちゃらんぽらんな格好で式典には絶対に出ない。

 しっかりと前をしめた正装で、銀色の髪と吸い込まれそうなほどの紫色の瞳で、優しく微笑まれることだろう。

「そういえば、どことなく2人って似ているような気がするけど…気のせいよね」

 ベアリエル様と真面目じゃないうちの上司を比べるなんて、そもそもありえないことだと思った。

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