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ー38ー


 カモミールティーを飲み終わると、上司が立ち上がった。

「送っていくよ」

 そう言った上司は、水のエレメント神へと手を差し出した。

 まるで、お城に住んでいるプリンセスのように水のエレメント神は、上司の手の上にそっと自分の手のひらをのせて立ち上がった。

 見つめ合う二人は、まるで美男美女の恋人同士に見えなくもなかった。2人が歩き出してどこかへ行ってしまいそうだったので、慌てて私は声をかけた。

「あのっ私もついていって良いですか?」

『どうぞ』

 水のエレメント神が、私に向かって微笑む。

「SPが二人もいたなら、安全だね」

 手をつないでいる二人の後ろ姿を見つめながら、私は二人についていくことにした。

 エレメントが集まる場所へ帰るのかしら?

 上官が上の階層へ行くエレベーターのボタンを押した。

 第8階層へ到着した。また、ずいぶんと上の方へやってきてしまった。

 エレベーターが開いたところから、ずっと樹木が生えた空間が続いている。

 天界には、私が知らない場所がたくさんあるんだなと思わされる。

 すこし歩くと広場のような所に老人が集まっていた。

「おやおやジブリール様が帰られた」

「よかったよかった」

「また、天使様にご足労いただいてしまった…」

「申し訳ないねぇ」

 4人のおじいちゃんズが、喜んだりオロオロしたりしている。なんだか、白雪姫の小人を見ているみたいだわ。

「最近は、どう?」

 上官がおじいちゃんズに話しかける。

「炎のエレメント様が、やりたい放題です」

「こちらの話に耳もかさんくて困っております…」

 上官はなにやら考え事をするような素振り見せる。

「なるほどね。少し喋って帰るよ」

 そういうと上官は、おじいちゃんズと水のエレメント神を置いてどこかへ行こうしていた。私は、置いていかれないように上官の後を追いかけた。


 上官が向かった先には、今度は真っ赤な人が立っていた。これまた、髪の毛から洋服まで赤い人物に出くわした。

『いけ!この土地の山を火の海にしてやれぇぇ!!』

 なにやら、鏡のようなものの前に立った赤い人は、どこかを見つめながら何かを叫んでいる様子だった。

「おい!そこの赤いの!」

 上官も炎のエレメント神を赤い奴と呼んだ。

『あぁ?!テメェどこの者だ!コラァ』

「(俺の顔を知らないとか無知すぎる」

 ため息をついた上官は、いきなり炎のエレメント神の胸ぐらを掴んだ。

『ア゛?!』

 そのまま上官は、炎のエレメント神に頭突きをくらわした。ゴスッという音と共に炎のエレメント神が地面に尻もちをつく。

『イテェな………オレにこんな事してどうなるか分かってるんだろうなぁ』

 尻もちをついているのに、炎のエレメント神は上官を指さしながら大きな態度をとった。

「むしろ、俺のほうがお前を消滅させても問題はないんだけどね」

『なんだとーーー?!』

 炎のエレメント神の全身から、炎が湧き上がる。このままでは上官が燃やされてしまうのでわ?!?と喧嘩の間に入ろうか悩んでいると、炎のエレメント神の拳の火が上官にあたるよりも早く上官自身が炎の柱に包まれた。

『キ……キサマは…紅い戦車の天使?!』

 ものすごい勢いでこちらへ向かってきていた炎のエレメント神の勢いが何故かとまってしまった。

 攻撃を受けて炎に包まれたのではなく、上官の見た目は瞳も髪もいまや真っ赤になってしまった。

「煉獄の炎で消し炭にするぞ…アホが」

『な、なんで…紅蓮の特攻隊長がこんなところに…??』

 上官の見た目も気になるけれど、相手の反応も気になるような…特攻隊長??

「お前は1人でツッぱしりすぎ!勝手放題してんじゃねぇ」

『で、でも………アニキ…』

 すごんでいた炎のエレメント神は、すごすごとした態度に変わってしまった。…アニキってなに??誰のこと?

「そもそもだ。火山の噴火や山を焼いて減った人口を知ったらトンガリ眼鏡のババアがすぐに飛んでくんぞ?」

『げげっ!そんな事くらいでネキがくるんスか…?』

 トンガリ眼鏡のババアって、こないだ会ったミネルヴァさんの事かな…。

「火山灰や山火事の後処理をどうするつもりなんだよ」

『そ……それは……』

「自分1人でなんでも出来ると思ってるらしいが、雨を降らせて火事を止める。風を吹かせて灰を風化させて、大地を整える。その全てがお前1人で出来るとか思ってんのか?思い上がってんじゃねぇよ。なんのために4人が力を合わせて存在してんのか、もっかい考えろっ」

 上官が怒鳴ると炎のエレメント神は、申し訳なさそうにその場に正座すると潔く土下座した。

『すいませんス…』

「いいか?今後、勝手なことしたら後釜連れてきて、お前からエレメントの力を取り上げっからな!」

『それだけは勘弁ス……』

 上官は言い終わると、元の姿に戻った。さっきまでの赤い姿は一体なんだったのかしら。

 炎のエレメント神の行動を制限すると、上官はまたおじいちゃんズの所へ戻ってきた。

 すると、そこには緑色の人と黄色い衣装の人が増えていた。

 もしかしなくても、風の方と大地の方なのかしら?そこには、水の方もいらっしゃって、全員になにやら指示を出しているようだ。

 さっき話していた山火事をなんとかする相談をしているのかしら。

 その傍らで、おじいちゃんズがそれぞれのエレメント神の横に立つと、何かメモのようなものを取っているみたいだ。

 もしかして、小人のようなおじいちゃん達はエレメント神の秘書さんみたいな存在なのかしら?

 一通りの話が終わったのか、上官が私の元へ帰ってきた。

「帰ろうか」

「え、あ、もうよろしいんですか?」

「だいたいはミネルヴァに見つかる前に何とかなるんじゃないかな」

 上官の行動は人間の世界も天界の秩序も一瞬にして整えてしまったみたいだ。

 本当に、この上官は何者なんだろうか?

り)「ところで、上官は見た目を変えられるんですね。びっくりしました。だから、私の検問を突破できたんですね」

上官)「ああ…そんなこともあったね。あの時はごめんね」

り)「あと、特攻隊長ってなんですか?」

上官)「それは、秘密w」笑


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