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そこからは、毎日通常通りに仕事は動いていた。それほど、書類の期限が遅れることもなく、私もどこの部署からも文句も言われることなく快適だった。
私は、ふと暇そうな上司にあの日の事を聞いてみた。
「なんで、ローマ法王が来日した日、私にもソルトさんと同じように会場の警備につかせてくれなかったんですか?」
「え、女の子が普通にケガでもしたら嫌じゃん」
上司にとって私って女の子っていう扱いだったんですか??
「それに、上層部の意見としては、デモが起こる可能性のほうが高かかったからね」
「そうなんですか…」
ソルトさんと私とで任務に差が生じている事に少し不貞腐れていると、ソルトさんも話に加わってきた。
「この人の中では、もう手放したくない一員ってことですよ」
「そうだね。女の子って、この部署に居着かないからね。なんでだろうね」
「アンタのせいだよ(なんでわからねぇんだ」
私の他にも女子がこの部署にいたときがあるんだろうか?
「お茶だけ出してくれればいいから、残ってほしかったよね」
「ココに上層部の偉い人とかが、たまに来るのもプレッシャーになる人はなると思いますけどね」
たしかに、たまにすごいメンツが来ることはあるけど。
「りーにゃんは、俺に直してほしい所あるの?」
「(面と向かってそーゆーこと言う?」
聞かれたけれど、すぐに頭に思い浮かぶものはなかった。
「うーん。不真面目さを直してほしいっていうのが無理なことは分かりました」
「俺、呆れられてる?」
「呆れるというか、個性なのかなって諦めました」
私が上司への印象を話していると、この部署へどなたかがやってきた。
バタンッと勢いよく扉を開けて入ってきたかと思うと、頭から足元まで真っ青の衣装を着た人がやってきた。
とくに何か喋るわけでもなく、うちの部署の上司に抱きついた。
「どうしたの?充電切れかな?」
まるで小さな子供をあやすように、上司が頭を撫でている。
目を丸くする私の腕をソルトさんが引っ張った。
「今日は、休業です」




