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偽物の上司からすると、絶望的な事態となってしまった。
「どうしたらいいんでしょうか…」
「上官達には、嘘を見抜く力が宿っているという噂がありますから、心を見抜かれてしまったのでしょうか」
ソルトさんが、階級のある…天使と私達の違いを教えてくれる。
「そんなぁー嘘なんてついてないのにー」
きっと、言葉での嘘はついていなくても、心のどこかが嘘をついてしまっているのかもしれなかった。
「そもそも、上級天使に暴言を吐いて生きていられるほうが奇跡ですけどね」
「……!!」
小さな天使だから、知らなかったのか、それとも悪いことをしている人に文句を言ってもいいと思ってしまったのか、暴言を吐いてしまった過去は、どうあがいても変えることは出来なそうだ。
「で、でもでも!お二人だって上司への喋り方とか、けっこう冷たい感じじゃありませんでしたか?!」
「この部署は、治外法権なので」
「上司を蹴り飛ばしても、ノロマと罵っても罪にはならないんです」
自分で口にしながら、普段から上司を蹴り飛ばしている事実に、もはや驚かない自分さえいる。慣れって怖いかも。
「(むしろ、ヤツの場合…蹴られて喜んでるふしさえあるしな」苦笑
「でも、ミネルヴァ様がきて、説明してくれたおかげで書類は進みそうですか?」
私が、上司に問いかける。
「いいえ、確かにレアル様が言っている事は、もっともな気がしてしまって…ミネルヴァ様の意見は正当性はあるものの本当にハンコを押してしまっていいのか、余計に躊躇ってしまいます」
「でも、きっとハンコを押さなければ、心根の悪い人達ばかりの世の中になってしまうんだとは思いますよ。人間界が」
悩みは尽きないけれど、ソルトさんが言っていることも確かで、聖光気の数値をあげるためには、致し方ない部分があるのかもしれなかった。
一つの書類を終わらせるにも、ここまで深く考えなくてはならないもんなんだ。
もはや、3日分の資料が溜まってしまってきていて、デスクの上には収まりきらない量が積み上がってしまっていた。
こないだみたいに、経理のミスもあるくらいだし、しっかりと目を通さなければ、大変なことになってしまう物もあるのかもしれなかった。
いったいどれだけの速度で頭を回転させていたら、いつも半日でコレを処理していたというのだろうか。




