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なんとか、本物ではない上司をなだめて、自分達の部署に帰ってきてもらった。
「えっと、明日ですが、さきほど言っていた会議に参加していただきたくて」
私が、デスクの前で偽物の上司に説明していると、部署の入り口から声が聞こえた。
「おやおや、全然仕事進んでないじゃないですか」
振り返ると、そこには紫色の瞳の青年がたっていた。腕組みをしながら立っている姿に「誰?」と聞くよりも全員が、知らない訪問者にピン!ときてしまっていた。
「あ!!!!ボクです!!!」
体を入れ替えられてしまった本人は、思わず椅子から立ち上がった。
『上官?!』
思っていたよりも早めに上司を見つけることができた。
「遊んでないで、早くもとに戻ってください!」
「それは出来ないねぇ」
見た目がいつもと違うというのに、話し方がいつも通り過ぎて鼻につく。
「だって、この俺に対して『偉い人は仕事をサボってばかりで、良い御身分です。あんな人よりボクのほうがしっかり仕事できるのに』って、そう言ったのは君だよね?」
「え…………………ぁ」
偽物の上司が、「自分ではないです」と、言わないあたり、本当に上司に暴言を吐いたのかもしれない。
「だから、俺はアンタのお望み通りに中身を入れ替えたのさ。俺は、元々アンタがしていた仕事もきちんとこなす事ができるし、元に戻りたいなんてこれっぽっちも思っちゃいないけど?」
まさか、上司は上司の仕事を他の誰かに譲ろうとでも言うのか?
「だって、それは!知らなかったから…貴方様がこんな大変な任務をされていることを」
「なら、いまからでも知れば良いんじゃない?」
あくまでも上司は、元に戻るつもりがないらしい。
そんな上司の隣りに印象がキツめの 眼鏡の女性がやってきた。
「忙しいのに、呼ばれてやってきました。人間界総人口担当課のミネルヴァです」
『……え?!』
私とソルトさんと偽物の上司が声を上げる。この部署にいると、たまに人生で出会うことがないような上層部の偉い人に出会うことが多いのは、なんでなんだろうか?
「提出している書類に納得ができないためハンコが押せないということでしたので、私なりに説明のために参りました」
「い、い、忙しいのに、すいません!!」
この場にいる全員の代弁を偽物の上司がしている。
「まずもって、どこに納得がいかないのでしょうか?」
「あ、え…それは……その。いきなり1000人の人口を削るというのは…なんでなのかなーと思いましてぇ…」
偽物の上司は、ミネルヴァ様にオズオズと話し始めた。
「いつも察しのいいレアル様でしたら、質問するまでもないと思うのですが…」
レアルというのは、上司の上の階層でのあだ名だ。
「そもそも、聖光気の割合をご存じでしょうか?」
「聖光気……………?」
その場にいる半分くらいの人が、頭からハテナを出している。
「信心深い善人が放つ光の事です。我々、天界の運営としましては、世界の80%のシェアを目指しています」
人間が神を信じて、人に対して優しくできるような人物である証みたいなものだろうか?
「ぃ…いまの水準はいくつなんですか?」
「46%です」
『えぇ?!』
ミネルヴァ様から返された返答の%率があまりにも低くて、3人はびっくりしてしまった。
「…?そのために、信心深くない人を殺し、信心深い人の%の底上げをはかることが目的とされている書類がソチラです」
「な、なるほど。そういう意図があるのでしたら……ハンコは押させていただきます」
偽物の上司が話を聞いた上でデスクのハンコに手を伸ばそうとした瞬間に、いつの間に移動していたのか、紫色の青年がハンコを持った腕を机に固定した。
「…アナタは、その消される人間の素性は頭に入れていますか?」
「え?」
問われて、1000人のリストに目を通した。




