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ー22ー

「すいませんっ!!」

 私は、謝りながらも上司のモモ裏に回し蹴りをヒットさせた。ドスッという重い音と共に蹴られた上司もどきさんは、床に膝をついて涙目でこちらを振り返った。

「な、な、何するんですか」

 その反応をみたソルトさんが、何かを確信したように呟いた。

「やっぱり偽物か……」

「すいません。すいません。すいません!」

 ソルトさんのせいで被害者を泣かせてしまった申し訳なさでいっぱいになった私は相手に平謝りをする。

「試すようなことをしてすいませんでした。アナタは本当に最下層から来た誰かのようです。ですが、いまはその見た目のため我々の上司ということになります」

「?」

 ソルトさんが丁寧に頭を下げる。

 言われた上司もどきさんも「なんのことを言っているんだろう?」と首を傾げている。

 そんな上司もどきさんの前にソルトさんが鏡を手渡した。

「え、えぇえ!?!これがボクですか?!」

 自分の見た目がいつもと違うことに上司もどきさんは、大きな声を上げた。

「おそらくですが、中身が入れ替わっていたとしてもその見た目である以上は、この部署での仕事をしていただかなくてはなりません」

「そんな無茶苦茶な…」

 絶望を感じている上司もどきさんには、申し訳ないけれど、それでなければ私達が困ってしまう。

「もしくは、職務を放棄して上官を探しに行くのか…ですが」

「下層の無名天使の中から任意の人物を探すのは、無謀にもほどがあります」

 天界の階層は、上に行くごとに偉い人が働いている仕組みだが、下層になればなるほど顔も見た目も同じような天使しかいない。さらに、名前もないのだから、たとえ自分自身を探しに行くとしても見つけることは不可能に近いことだろう。

「いったん、こちらの席に座ってください」

 ソルトさんが上司をデスクへと導く。

 デスクの上に、今日も天井まで届きそうなほどの書類が積み上がっている。

「まず、そもそも書類の文字は読めますか?」

 ソルトさんが、部署の仕事をしてもらおうとして、いろいろ質問している。

「え、あ、はい。読めます」

 確かに、ここで文字が読めなくてはどうしようもないかもしれない。

 偉い位の存在でなければ、手紙の内容をそもそも読むこともできないのだけれど、どうやら私やソルトさんよりも下の階層の天使なのに、機密書類の内容を読むことは出来るみたいだ。

 そういう意味では、上司の権威だけを引き継ぎしている状態なのだろうか?

「内容をお読みいただいて、納得できそうなものにサインをしていただけますか?」

 ソルトさんが手渡した1枚目の書類を読んで、上司が泣き出しそうな声で訴える。

「無視です!ボクにはできません!」




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