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ー21ー

 今日も今日とて、私は上司を走って追い掛けていた。こういう瞬間に、なんでこの部署に残っちゃったんだろう?って思うときはけっこうある。

「待ちなさいっ!」

 長い黒髪を揺らしながら、廊下を走っている上司を、まるで追いかけっこでもしているように走って追いかける私。

 廊下の角を曲がろうとして、上司が誰かとぶつかったみたいだ。

「イテッ…」

 廊下に尻もちをついた上司に近づき、一応安否確認をすることにした。

「大丈夫ですか?」

「あ、はい」

「え?」

 顔を上げた上司の表情がいつもと違うことに気がついてビックリしてしまう。

 その瞳の色が緑色に変化していたからだ。

「よいしょっと」

 立ち上がった上司は、来た道をUターンし歩き始める。

「ちょっと待って!」

 何かがおかしいような気がする。

「え?」

 そういえば、上司がぶつかった相手も来た道をUターンしている?!

 気づいた時には、すでに遅かったのかもしれない。

「どうされました?」

 上司の顔をした人を呼び止めた私を、振り返った上司が不思議そうに見つめ返している。

「あの、アナタのお名前は?」

「私は小隊の天使ですので、名前はありませんが」

「ちょっと、こっちに来てください!(やっぱり入れ替わってる?!」

 私は、自分の頭を落ち着かせるために、いったん上司もどきを部署まで連れてきた。

「ソルトさん!!大変です!!」

「どうしました?」

 慌てた様子の私にソルトさんもパソコン画面からこちらを見つめてくれた。

「こんにちは、失礼いたします」

「あの!その!これっっ」

 妙に礼儀正しい上司を視界にとらえた瞬間にソルトさんも嫌な予感を感じとってくれたようだ。

「どうも、誰かと中身が入れ替わってしまったみたいなんです」

「奴と誰かが入れ替わったのなら、その上司もどきに貴方が誰か聞けばよいだけなのでは?」

 なるほど!とは思ったけれど、いまのところ名前がないことだけは判明している。

「それが…名前はないらしくて」

「下の階層から来たと言うことですか?」

「はい!」

 ソルトさんが、連れてこられた人に聞くと、すごい頷いてみせてくれた。

 けれど、ソルトさんは深く悩んでいる様子だ。

「あの…ソルトさん、どうしましょう」

「(……本当に入れ替わったんだろうか?奴の演技という可能性はないのか?」

 ソルトさんの眉間のシワが固定してしまいそうになって、ふと何かを思いついたような顔になった。

「リリナさん、ちょっと」

「はい?」

 ソルトさんに呼ばれて、パソコンの方へと私は歩み寄った。

 そんな私の耳元でソルトさんが、あることを提案してきた。

「ええ?!」

「一か八か、やってみてください」

 私は、ソルトさんから言われたことを実行するために、上司の見た目をした人の背後に行った。



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