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16/37

ー16ー

 私達が部署に戻ってくると、会議が終了したのか、すでに上司は戻ってきていた。

「なにか、変わった所はありません?」

 ソルトさんが上司にそう言うと、

「うーん…?書類が減っているような…りーにゃんに有休って言ったのに配達した?」

「いえ、私は何もしていません」

 私からの返答に上司もさらに困った顔をしている。そもそも上司は、この膨大な書類の中から、減った減らないを理解しているの…?

「すいません。ちょっとコレを見て欲しいんですけど」

 ソルトさんはノートパソコンの画像を上司へと見せた。

「うんうん。なるほどね。どーりで」

 画像を見ただけで、どうやらほぼほぼの事態を理解したみたいだ。

「それで、二人は仲良くお散歩?」

「いや、僕は仕事してたでしょうがよ」

 そういいながら、ソルトさんは普段使っているパソコンを起動した。

「なるほどなるほど(2人でデートうらやましいなぁ」

「(信じてないな…コイツ」

 ソルトさんから舌打ちが聞こえてきた気がするんだけど…

 上司は、自分のデスクから立ち上がると私に1枚の紙を手渡してきた。

「ソルは変わらず今日はこの部屋にいないでもらってもいい?防犯カメラが壊れたなら、裏で手直しでもしといてよ。代わりに、りーにゃんがそのパソコン使うから」

「え、あの?」

 渡された書類には、めずらしく私にも文面が見える文字で書かれていた。

「りーにゃんはパソコンで文字を打つことできる?」

「た、たぶん(あまりやったことない作業だけど」

 パソコンの前に座ると、すでにパスワードを入れて画面が開いた状態になっていた。

「それじゃ、俺は盗まれた書類がどこかに提出されてないか確認してくるから、席を外すよ」

「いってらっしゃいませ」

 上司がめずらしく仕事をしている。とはいっても、無くなってしまった書類の行方を捜しているだけだから、通常の任務はまったく進んでいない。

 書類を読んでみると『ワードに天界六法を書き出しておいて』という指示だけ書かれていた。

「(…それは、今日中に終わらない仕事なのでは?!」

 どうやら私は、壮大な法律を1から全て入力しなくてはならないらしい。

 …むむむ、そもそも文章が曖昧な部分はどうしたらいいのかしら。普段は使わないパソコンを前に私は悪戦苦闘していた。

 コンコンッ

 そこへ、外からこの部署に誰かやってきたらしい。

「すいません。再提出の書類に承認のハンコを押してもらったのに稟議書が通らないのですが」

「いま、上司は席をはずしておりまして…」

 扉を開けてやってきたのは、私が怪しんでいた大柄の上官だった。




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