ー15ー
「あ、やっぱりヤられましたね」
少しナーバスになっている所へソルトさんが声を上げた。
ソルトさんが指をさした場所の監視カメラが真っ暗になっていた。
「そこは…?」
「うちの部署です」
「え?!?!」
他の監視カメラはしっかり起動しているのに、私たちの部屋だけ映っていなかった。
「さっき、あの人に防犯カメラを起動するように言われて起動してきたんですよ」
「こ、壊れてしまったのでしょうか…」
私が呑気なことを言っていると
「いえ、さっきまでは動いていました」
たしかに、この部屋についたときには、真っ暗い画面なんてなかったのだから、さっきまでは起動していたことは確かだった。
ソルトさんは、持ってきたノートパソコンを取り出すと、コードをどこかへさした。
パソコンには、真っ暗になる前の映像が映し出された。
私たちが部屋を出た所から30分後くらいに別の部署の人が部屋を訪れている。
カメラの存在に気がつくと、いきなりカメラの映像は真っ暗になってしまった。
「ソルトさん!一度!部署に戻りましょう!!」
「いえ、ダメです」
慌てて部署に戻ろうとした私をソルトさんが止める。
「何故です?!」
「あの人が会議に出ている間は、部署に戻るな。と言われたでしょう?」
「で、でも…これは非常事態では?」
ソルトさんは、ノートパソコンをカタカタとまだしている。
「上司の命令は絶対です。たぶん、あの人はこうなる事を分かっていたはずです。だから、僕達をあの部屋からわざわざ移動させたのだとしたら…指示には従うべきです」
「でも、予期せぬ事だったら…?」
上司の考えも及ばないような事が起きてるとしたら、私達がどうにかしなければならないのではないだろうか?
「とりあえず、いまの映像が消される前に動画は保存しました。とりあえず、誰が来たのかを特定しましょう」
カメラの映像を拡大して見ると、それはこないだ書類を再提出させられた人だった。
「あ!この人はこないだの!」
「え?」
「ほら、私が初日に書類を渡しに行った先でソルトさんが物申してた大柄の上官!」
数日前の話だからか、ソルトさんがぽかんとした顔をしている。
「経費二重取り……の?(そもそも僕が上官に物申したことになってんの?」
「そうです!そうです!」
少し興奮気味に私が喋ると、ソルトさんが何故かゲンナリしている。
「なにか、言いに行きますか?!」
「いや、まだこの人が何かしたという証拠もないのに、会いに行くのは…ちょっと…」
そう言われて、たしかにと思った私は自分に出来ることがなくてモヤモヤしてしまう。
「とりあえず、上司の会議が終わるのを待ちましょう。僕達にできることは、案外限られていますから」
「そうですね……………」
いろんな場所へ踏み込めるパスを手に入れたからと言って、私達に何か特別な権利があるわけでもない事が悔やまれた。




