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ー12ー

「………………?……はぁ」

 上司が真面目に仕事をしていると安心していたら、どうも重めのため息をつき始めた。なにかあったのだろうか。

「ねぇ、俺がこの部署をよく離れている時間って、いつ?」

『それは、毎日の事………では?』

 質問された部下は、口をそろえてツッコミを入れた。

「あー…聞き方間違えたわ。今度、俺が会議に出る予定の日って、いつ?」

 上司は、私へ聞きたいことを上手く伝えられなかったようで、もう一度質問してきた。

「今日ですけどっ!!」

 今日の朝、会議の時間を伝えてあったのに、もう忘れてしまったというのだろうか。

「あーじゃあ、二人ともその時間は、ココに居ないでくれる?」

『…………え?何故ですか?』

 突然のことに二人して目を丸くしてしまう。

「ソルは仮眠室にいてもいいけど、ここのアレだけ作動させといて」

「………了解です…」

 ソルトさんは、アレと言われただけで、自分がすることをもう理解してしまったようだ。

「あの……私は…?」

「んーそうだな。有休?ほら、君働きすぎだからさ」

「誰のせいで、そうなってると思っているんですか??」

 私から怒られて上司が「ごめんごめん」と、まったく悪いと思ってもいないのに謝ってきた。

「でも、りーにゃんにしか頼めないお願いがあってさ…」

 そういうと、上司が私の上着のボタンに手をかけ、上から3つ目まで開けてしまう。

「!!」

「これ、預かっていて欲しいんだよね」

 指の第二関節ほどの大きさの何かを上司は、私の胸の谷間に押し込んだ。

「………せ、セクハラですよ!!」

「えぇ?!」

 私はすぐさまシャツを自分の手でしめる。

「俺、触ってもないのにセクハラなの?」

 上司がソルトさんに助けを求めている。

「いや……いまのは、ちょっとアウトくさいッス」

「嘘だぁ!ごめん!」

 ソルトさんの判定により訴えられたら救いが薄そうな上司が私に頭を下げる。

「……………私にしか、頼めないというのは…?」

 私はかろうじて言葉を紡いだ。

「ソレを肌身離さず持っていて欲しいんだけど、願わくばソコから出さないでもらえない?かな」

 セクハラをしたわけではない。と言った本人は、わりと真剣な様子で私の胸にしまった物を厳重に管理してほしいようだった。

「………了解いたしました…」

 私は、何を埋め込まれたのかも確認することは出来ないまま任務を与えられた。

「それじゃ、俺は真面目に会議に出席するから、みんなも俺が言ったこと守ってね」

 そう言い残すと、上司は部署を出ていってしまった。

 有休と言われてしまっても、他にすることがなくて困ってしまう。

「ソルトさん、私はどうしたらいいんでしょうか」

 泣き出しそうな私に、ソルトさんもため息をついてしまった。

「できれば、僕も有休扱いにしてほしかったですね。少し待っていてもらってもいいですか?アナタの休日に付き合いますよ」

 私に付き合うって、どういうことだろうか?と考えている間に、ソルトさんはいつものパソコンの電源を切り、部署の奥にある部屋に行くとパーカーを着て戻ってきた。

「準備は出来ましたので、行きましょう」

 私達は上司に言われた通りに、この部屋を出た。



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