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家庭教師との面談

作者: purapura

家庭教師との面談のお話です

子どもというものは、親の遺伝、成育環境、

本人の生まれ持った資質などが絡み合って

どんな子どもになるのか決まる、と私は

思っている。

リリー・ホワイトウッド、22歳のナニー

子守と初等教育を行っている。


貴族学院に行き、成績は上位だったのだが

文官になるコネも賄賂もなく、実家は

男爵家で資産も持参金もないため、

家庭教師やナニーをしている。

このリレンザ伯爵家は待遇がいい。 

家庭教師並みの扱いだ。

旦那様は高齢で性的なお誘いの心配がなく

奥様、いえ女伯爵はものすごい美女。

夫婦関係が気になるが目をつぶる。

私と年齢が近いが、上位の貴族令嬢は

家庭教師に教わるため、ここで初めて

お会いした。

すごい美形の副執事さんと怪しいなーとは

思うが、気にしない。

黒髪の子どもたちも黒髪の副執事さんに

似てる気がするけれど、気にしない。

鈍感力とやらが必要な場面はあるのだ。

 

私が気にすべきなのは、目の前で蛇を

振り回しているお子様だ。

「か、カルロ様。蛇は、おやめ下さい」

「リリー先生!蛇を捕まえました!」

ぶんぶんぶん

目をキラキラさせてハイブリッド美形な

7歳の、カルロ様。

「兄様、うっひ」

変な叫び声をあげる弟アンジェロ様6歳。

カルロ様に比べれば地味だが整っている。

ちゃんと勉強もしている子。えらい。


「あ、もう一匹いた。よし!

ほらほら見て見て二刀流!」

ぶんぶんぶんぶん

私とアンジェロ様の悲鳴が庭に響いた。


近くにいたらしい副執事のルーカスさんが

高速移動してきた。微笑みながら

「これはカルロ様。手に持ってるものは

何でしょうか?」

美形のアルカイックスマイルって

怖いですね。

「蛇」ぶんぶんぶんぶんぶん

「カルロ・リレンザ伯爵令息」

あ、微笑みながら滅茶苦茶怒ってる。

子どもをフルネームで呼ぶ時は、

お説教する時と決まっている。

「はいっ!」

軍隊のように真っ直ぐな姿勢になる。

怒られ慣れてますねー。

「あ。リリー先生持ってて」

蛇2匹を手渡され絶叫した。


「今日はお見苦しいところを

おみせしました。蛇と虫は苦手で」

だから幼年学校の教師は無理だった。

虫の授業があるんです。

夕食後の中間報告、2週間ぶりだ。


「それで、二人の様子はどうですか?」

女伯爵の後ろにルーカスさんが控えている。

なんだこの夫婦感。隠す気ないな。

侍女さんもいるのだが、何回見ても顔が

覚えられない人だ。間者向きね。

「カルロ様は理解がとても早く、記憶力も

高いようです。天才型だと思います。

アンジェロ様はコツコツと勉強を積み重ねていき、理解を深める。秀才型といえます」


「わたくし、どちらがいいのか良くわからないわ。先生、教えてくださる?」

水分量の多そうなとんでもない美女を

目にして、魂を抜かれそうな気がする。

私女なんだけれどな。美の暴力だな。


「私の観た限りで申しわけないのですが、

天才型の人はなんとなくで理解できるので

勉強の習慣がつきません。

専門的な知識を学ぶ上で、地頭だけでは

足りなくなり、椅子に座って勉強できないと

それ以上伸びません。

もちろん、やる気の問題や教師との相性も

ございます。

ですので秀才型のほうが結果的に伸びる

ことが多いです。

これは、同じくらいの成績の子と仮定した

場合です。

年齢と共に変わることもございます。

現時点では、お二人ともとてもご優秀だと

思います」

「カルロは、乱暴ではないでしょうか?」

あー、蛇。活発なお子様てすね。

「男の子は急に落ち着く場合もございます。

カルロ様は、動物や虫がお好きで、

動物学者になりたいと仰いました」

「まあ。アンジェロは?」

「アンジェロ様はどんな立場になっても

いいように勉強する、と」

「まあ。足して半分に割れないかしら」

ふふふ、と笑われた。

この微笑みで国の1つや2つ取れそうです。


窓の外に小さな黒い頭が2つ見えました。

隠れて聞いてるつもりかな?


その後自室に戻る際、先程の無個性な顔の

侍女さんに声をかけられた。

やはり間者?接触してきた?

「突然すみません」

思ってたより年上に見える。

「リリー先生。観劇ってお好きですか?」

「??え?」

「私マイカっていいます。観劇が好きで

入場券を買っていたのですが、行けなく

なってしまって。知人も予定が合わないので、先生、良かったらどうぞ」

見たらちょうどお休みの日だった。

「もちろん、料金はいらないです。」


話がうまい気がしたが、見にいった。

「なんですかあれ、すごい。キラキラして

泣いちゃって。言葉にできない。

役者さんはかっこいいし声もいいし」 

「リリー先生、良かったら今度一緒に

行きません?」

「是非!」


(計画通り。このまま観劇沼に)

「マイカさん何が言いました?」

「いえ?」

この時点で

旦那様(75)アナベル(24)ルーカス(28)

カルロ(7)アンジェロ(6)マイカ(43)

消息不明の旦那様の息子は45歳くらい。


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