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勇者キーワード

勇者が変態だった

作者: リィズ・ブランディシュカ
掲載日:2025/03/10




「勇者様、反撃してください! とっととモンスターをやっつけてくださいよ!」


「まだ、もうちょっとこのまま! もうちょっとだけこのままで!」


「いや、囲まれてますって!」


「そこが良い!」


「そこが良い!?」





 俺の目の前で勇者様がモンスターに囲まれて袋叩きされている。


 ピンチの様に見えるが、楽しんでいるだけだ。


 なぜなら勇者様はドエムだったからだ。


 他者にどつかれる事に快感を覚える変態だったからだ。


 呆れてしまう。


 そんな俺は、サポート系の人間だ。


 勇者様を補佐する兵士達をまとめている。


 普段から勇者様とよく行動を共にしているが、こんな光景はよくある事だった。


 俺は諦めて他の兵士に「夕飯の準備するぞ」と告げた。


「これが放置プレイ! なんて甘美な刺激!」


 恍惚とした表情の勇者様から視線を逸らす。


 俺が何か言っても無駄だろう。


 あれはもうだめだ。






 けれど、勇者様は最初からこうではなかった。


 少なくとも、俺が出会った事はまともだった。


 それがおかしくなったのはなぜか?


 たぶん、初めての強敵と出会った時だろう。


 数か月前。


 魔王が信頼する四天王モンスターと出会った。


 あっ、俺達は魔王を倒すたびに旅をしているんだが、こいつがかなり性悪で、俺達が旅して進む先々にやっかいな配下を配置するんだよな。


 普通の配下モンスターならまだすぐにやっつけられるけど、四天王モンスターはやっかいで、毎回苦戦させられる。


 特に数か月前に出会った、あの四天王は本当にやばかった。


 勇者様が瀕死の重傷を負ってしまったのだ。


 あまりにも多くの攻撃を受けすぎた。


 トラウマを追っていてもおかしくはなかったが、ある意味杞憂だった。


 勇者様は乗り越える事ができた。


 しかし、そのせいで目覚めてしまい、ドエムになってしまったのだ。


「これが痛み! 新しい扉が開いた!」


 追い詰められると、人間は時として目を瞠るほどのパワーを発して覚醒する事があるらしいけど、なぜそんな方面だったんだ。


 変態の覚醒だなんて。


 はぁ、こんな勇者様を人目にお出しするわけにはいかないから、早く何とかしないと。


 幸い、一般市民の前では普通にしていてくれるけど、いつボロがでるか分からないんだよなあ。


 モンスターなんて百害あって一利なし、あれはゴミ以下のゴミ。


 生きているだけ無駄な命なんだから、遊んでいないで早く片付けてほしいもんだ。






 はぁ、こんな演技するのは疲れた。


 俺は勇者として旅をしている。


 人類の希望的な存在だ。


 だが、幼い頃に仲良くしていたモンスターたちへの情があって、上手く戦えないのだ


 そのせいで、倒すのに躊躇って、いつもまごまごしてしまう。


 最初はそれでも頑張って倒していたが、段々心の痛みが増してきて、躊躇う時間が多くなってしまうのだ。


 そんな俺の姿を見て、モンスターと通じているなんて思われた結果、あらぬ疑いをかけられたくはない。


 だから何とか誤魔化してるけど、いつまで続くだろうか。



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